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ナターシャがカーマイン侯爵令嬢である可能性が高い。
父は再度ナターシャの素性調査を依頼しつつも、そうであった場合の今後のことを話し合おうと言った。
「ナターシャはやはり、カーマイン侯爵家に帰すべきだろうな。」
そうであると知ってしまったからには、勘当されて縁を切ったミオナの実家の子爵家の時と同じ沈黙を選ぶわけにはいかないだろう。
「そうね。14年も侯爵夫人は待っているのですもの。知らぬフリはできないわ。」
侯爵家の攫われた令嬢なのだ。
たとえ、平民として育っていたとしても、温かく迎え入れるに違いない。
優しいジェシカ嬢も、可愛がるに違いない。
しかも、ナターシャは祖母が礼儀作法を仕込んでいる最中であるため、すぐに貴族令嬢として表に出て来られるような気もする。
あー……ナターシャが遠のいていく気分だ。
そう思ってようやく、本気でナターシャを好きになっていたのだと自覚した。
「ルーズベルト、メリッサのことが苦手だろう?」
「ええ、まあ。」
「ベック侯爵に押し切られてメリッサとお前が婚約することになったが、解消できるものなら解消したい。そしてナターシャをお前の婚約者にすることができれば、いいと思わないか?」
ナターシャを婚約者に?そんなことが可能なのか?
「それは望むところですが、ベック侯爵が婚約を解消するとは思えませんし、カーマイン侯爵が僕との婚約を許すでしょうか。」
コダック家は伯爵家だ。ジェシカ嬢は公爵家に嫁ぐのに、ナターシャを伯爵家に嫁がせるだろうか。
「カーマイン侯爵にはある程度、交渉できるのではないかと思っている。
うちはナターシャを保護した貴族だからな。しかも、みんなで可愛がっているだろう?
ナターシャも知らないところに嫁ぐよりかはいいと言ってくれるかもしれないからな。」
確かにそれは言える。だが僕のことを男として好意的に見てくれているとは思えない。
もちろん、嫌われているとは思わないが、恋愛感情を持っていないことは確かだろう。
立場が変わることで、意識してもらえるように努力しろってことだよな。
「ベック侯爵家の方は?」
「問題はそっちだな。メリッサに問題行動は見受けられないのか?」
「婚約解消に持ち込めそうな問題とまでは……学年が違うので、確認してみます。」
「ああ。私の方でも婚約解消のきっかけになりそうなネタを探してみる。」
ひとまずナターシャは領地にいるのだから口説きようもない。
それに、まだ婚約者のいる身でそんなことをすると嫌われる可能性もある。
それでも、手紙を送るくらいはいいだろうか。
ナターシャと結婚できるのであれば、とても嬉しい。
しかし、カーマイン侯爵夫妻が手放さない可能性もある。
その場合は諦めざるを得ないだろうが、それでもメリッサとの婚約は解消したい。
メリッサ嬢との結婚は苦行のようだと将来を諦めていたが、婚約解消できるかもしれないと少し希望を抱くことができた。
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