認知裁判とその後

しゃーりん

文字の大きさ
18 / 20

18.

しおりを挟む
 
 
エドワードはクレックス伯爵の子ではない可能性が高い。 
 
アメリアの母ルチェリアはそう指摘した。


「だから、エドワードが浮気していなくても婚約は解消するつもりだったの。ただ、理由を突きつけるとクレックス伯爵家は大変になるわ。そのために婚約解消理由を別のことにできないか考えていたら、エドワードの周りをウロチョロする令嬢が現れたのよ。丁度いいと思って、深い仲になるのを待っていたの。」
 

エドワードの浮気に気づいてアメリアが婚約を破棄すると言ってくるのを待っていたのに、浮気相手サミアの妊娠発覚の方が早かったために、こんな形になってしまったということだ。
 

「その、クレックス伯爵家が大変になる理由って、夫人が伯爵以外の男性と関係を持っていたってことですよね?エドワードが伯爵の子ではないのですから。」

「そうね。しかも未だに関係は続いているそうよ。金銭でね。」

「エドワードがその男性の子だから、夫人は脅されているということ?」

「いえ、金銭は自主的に、みたいね。舞台俳優だったらしいわ。エドワードに似た顔のいい男。大きな舞台に立っていたわけじゃないから、顔を覚えている貴族もほとんどいないのでしょう。私も知らなかったわ。
顔を怪我して引退したみたい。夫人はその男に尽くしているのね。」


尽くしているというか、貢いでいるというか。要はヒモ男である。

伯爵夫人はその男の後ろ盾になりたくて、伯爵の愛人になり、妻を追い出して後妻の座を手に入れたのかもしれない。
引退した後は、その男が自分だけのものだと金銭で囲っているのだろう。


「つまり、その男性は平民?」

「そういうこと。」


エドワードは、その平民男と元男爵家の夫人から産まれたということだ。
確定ではないが、エドワードはどう見てもその男に似ているのだから、クレックス伯爵の子ではない。

確かに、そんな理由で婚約解消を求めれば、クレックス伯爵家は大変なことになるだろう。

妹リリアンは誰の子なのか。
そこまで疑われることになるのは確実だ。

両親が別の婚約解消理由を考えたということも理解できた。

ノースフィールド伯爵家としては、エドワードとの婚約を解消することができれば、エドワードがクレックス伯爵の子ではないということをわざわざ教える必要もない。 

夫人の浮気も知ったことではない。

ただ、何かあった時の交渉材料に残しておくことはできる。


「エドワードと婚約して何年も経つのに、どうして今になってエドワードの出生を知ることに?」
 
「ある人が、アメリアとの婚約を望んで、クレックス伯爵家に汚点がないかいろいろ調べたみたい。もちろん、その情報を鵜呑みにせずにこちらでも調べたわ。彼の情報は正しいと判断したの。」

「ある人?」

「アメリアも最近よく見かけるようになったと思うけど?」 


からかうような母の言葉にアメリアはため息をついた。

四か月ほど前から父の下で働き始めた伯爵令息がいる。
彼はアメリアの一歳上で、学園で二年間、同じ委員だった。

エドワードとは少し違った部類の顔のいい男で、アメリアの好みの範疇だった。

エドワードと婚約していなかったら、間違いなく彼、ディオルに婚約の打診をしていたことだろう。


婚約が解消になることがわかっていて、両親はディオルを雇っていた。 

アメリアの次の婚約者になることを見込んで。
 
 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。

あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。 そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。 貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。 設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。

私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。 

さら
恋愛
 私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。  そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。  王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。  私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。  ――でも、それは間違いだった。  辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。  やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。  王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。  無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。  裏切りから始まる癒しの恋。  厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。

【完結】我儘で何でも欲しがる元病弱な妹の末路。私は王太子殿下と幸せに過ごしていますのでどうぞご勝手に。

白井ライス
恋愛
シャーリー・レインズ子爵令嬢には、1つ下の妹ラウラが居た。 ブラウンの髪と目をしている地味なシャーリーに比べてラウラは金髪に青い目という美しい見た目をしていた。 ラウラは幼少期身体が弱く両親はいつもラウラを優先していた。 それは大人になった今でも変わらなかった。 そのせいかラウラはとんでもなく我儘な女に成長してしまう。 そして、ラウラはとうとうシャーリーの婚約者ジェイク・カールソン子爵令息にまで手を出してしまう。 彼の子を宿してーー

私を見下していた婚約者が破滅する未来が見えましたので、静かに離縁いたします

ほーみ
恋愛
 その日、私は十六歳の誕生日を迎えた。  そして目を覚ました瞬間――未来の記憶を手に入れていた。  冷たい床に倒れ込んでいる私の姿。  誰にも手を差し伸べられることなく、泥水をすするように生きる未来。  それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。  だが、彼の言葉は、決定的だった。 「――君のような役立たずが、僕の婚約者だったことが恥ずかしい」

無表情な奴と結婚したくない?大丈夫ですよ、貴方の前だけですから

榎夜
恋愛
「スカーレット!貴様のような感情のない女となんて結婚できるか!婚約破棄だ!」 ......そう言われましても、貴方が私をこうしたのでしょう? まぁ、別に構いませんわ。 これからは好きにしてもいいですよね。

頭の中が少々お花畑の子爵令嬢が朝から茶番を始めたようです

恋愛
ある日、伯爵令嬢のグレイスは頭の中が少しだけお花畑の子爵令嬢の茶番に付き合わされることになる。 グレイスを糾弾しているはずが、巻き込まれて過去を掘り返されていくクラスメイトたち……。 そこへグレイスの婚約者のリカルド殿下がきて……? ※10,000文字以下の短編です

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

処理中です...