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エドワードはクレックス伯爵の子ではない可能性が高い。
アメリアの母ルチェリアはそう指摘した。
「だから、エドワードが浮気していなくても婚約は解消するつもりだったの。ただ、理由を突きつけるとクレックス伯爵家は大変になるわ。そのために婚約解消理由を別のことにできないか考えていたら、エドワードの周りをウロチョロする令嬢が現れたのよ。丁度いいと思って、深い仲になるのを待っていたの。」
エドワードの浮気に気づいてアメリアが婚約を破棄すると言ってくるのを待っていたのに、浮気相手サミアの妊娠発覚の方が早かったために、こんな形になってしまったということだ。
「その、クレックス伯爵家が大変になる理由って、夫人が伯爵以外の男性と関係を持っていたってことですよね?エドワードが伯爵の子ではないのですから。」
「そうね。しかも未だに関係は続いているそうよ。金銭でね。」
「エドワードがその男性の子だから、夫人は脅されているということ?」
「いえ、金銭は自主的に、みたいね。舞台俳優だったらしいわ。エドワードに似た顔のいい男。大きな舞台に立っていたわけじゃないから、顔を覚えている貴族もほとんどいないのでしょう。私も知らなかったわ。
顔を怪我して引退したみたい。夫人はその男に尽くしているのね。」
尽くしているというか、貢いでいるというか。要はヒモ男である。
伯爵夫人はその男の後ろ盾になりたくて、伯爵の愛人になり、妻を追い出して後妻の座を手に入れたのかもしれない。
引退した後は、その男が自分だけのものだと金銭で囲っているのだろう。
「つまり、その男性は平民?」
「そういうこと。」
エドワードは、その平民男と元男爵家の夫人から産まれたということだ。
確定ではないが、エドワードはどう見てもその男に似ているのだから、クレックス伯爵の子ではない。
確かに、そんな理由で婚約解消を求めれば、クレックス伯爵家は大変なことになるだろう。
妹リリアンは誰の子なのか。
そこまで疑われることになるのは確実だ。
両親が別の婚約解消理由を考えたということも理解できた。
ノースフィールド伯爵家としては、エドワードとの婚約を解消することができれば、エドワードがクレックス伯爵の子ではないということをわざわざ教える必要もない。
夫人の浮気も知ったことではない。
ただ、何かあった時の交渉材料に残しておくことはできる。
「エドワードと婚約して何年も経つのに、どうして今になってエドワードの出生を知ることに?」
「ある人が、アメリアとの婚約を望んで、クレックス伯爵家に汚点がないかいろいろ調べたみたい。もちろん、その情報を鵜呑みにせずにこちらでも調べたわ。彼の情報は正しいと判断したの。」
「ある人?」
「アメリアも最近よく見かけるようになったと思うけど?」
からかうような母の言葉にアメリアはため息をついた。
四か月ほど前から父の下で働き始めた伯爵令息がいる。
彼はアメリアの一歳上で、学園で二年間、同じ委員だった。
エドワードとは少し違った部類の顔のいい男で、アメリアの好みの範疇だった。
エドワードと婚約していなかったら、間違いなく彼、ディオルに婚約の打診をしていたことだろう。
婚約が解消になることがわかっていて、両親はディオルを雇っていた。
アメリアの次の婚約者になることを見込んで。
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