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後日、侯爵邸に夫人のウエディングドレスを見に伺った。
「すごく、すごくキレイです!素敵です!!」
「そうよね。私もこのドレスを見せていただいた時に着たいと思ったわ。
だけど、実家の両親が既にオーダーで作ってくれようとしていたの。
それを母がすごく楽しみにしていてデザインも一緒に考えたいって張り切っていてね。
お義母様も、実家の両親が作ってくれるのならそれにしなさいって言って下さって。」
義姉になるフレイア様もこのウエディングドレスを見せて貰っていたらしい。
それにしても、30年近く前のドレスとは思えないほどキレイに保管されており、シミの一つもない。
デザインを今風に変える?
そんな必要がどこにあるというのかと思うほど今の時代でも何の違和感もないように思う。
流行に疎いミーシャにとっては、そんなものはどうでもいいとも言える。
「サイズは、あまり手直しが必要なほど変わらないと思うわ。さあ、着てみて!」
侯爵夫人改めお義母様(と呼ぶように言われた)に促されて、侍女の方々に着せてもらった。
うん。確かにサイズに違和感はないけれど………
「まあっ!よく似合ってるわ。手直しもほとんどなさそうね。問題は…………」
お義母様とフレイア様はドレスの裾辺りを注目していた。私も問題はソコだと思う。
「ミーシャさん?高~いヒールを履く練習をしましょうか。」
この美しいレースの裾を手直しするには非常に難しいだろう。
お義母様と私では身長が3~4cm違うと思う。私の方が低い。
私は普段からほとんどヒールのない靴を履いている。
このドレスを裾までキレイに魅せるためには、10cmくらいのヒールが必要かもしれない……
本番でコケなければいいだけの話とは思う。
だけど、やっぱり練習は必要なのよね?……どうしても?
そうよね。仕方ないよね。
カーティス様は身長が高いし、私が少しでも高くなった方がバランスもよさそうだし……
でも、でも。どうしてみんなあんな高いヒールで歩けるのかが不思議だわ。
靴のサイズはフレイア様と同じだったので、とりあえず何種類かの靴が運び込まれた。
するとやはり、10cmヒールが一番ドレスの裾までキレイに見える。
だけど……無理。ムリ。むり。足がつる。ほとんど爪先立ちみたい。
「……歩けません。地面に接地する前の部分の高さが3cmくらい高くなってる靴ってないですかね?」
いっそのこと、靴底の厚みを高くすればヒールの部分だけ高くするよりも楽そうなのに。
「……昔、一時期だけ流行ったことがあったわね。身長が高く見えるって。
だけど、階段で躓く女性が続出したのよ。あと、ダンスで足を挫く女性も。
それで廃れたわ。
でも、そのドレスを着ている間だけだし、10cmヒールで歩けそうにないのならいいかも。
その厚底ヒール靴を注文してみましょうか。」
「はい!」
嬉しくて思わず大声で返事をしてしまった。
7cmくらいならなんとか歩ける。
それに、歩くときは誰かに支えてもらえば転ぶことはないわ!
ドレスの方は、襟回りだけ少し変えることになった。
これは、ちゃんと自分に準備されたドレスの証みたいなもので、親や知り合いのドレスを着る場合は、どこかに手を加えるらしい。
そう言えば、街外れのあの教会で結婚式を数回見たことがある。
花嫁さんは父親や母親と歩いて新郎さんのところまで来ていた。
結婚式ってそういうものなのかな?
だとしたら、私は誰と歩けばいいの?
ふと思った疑問を聞いてみた。すると、思わぬ返答があった。
「あら。主人がミーシャさんと歩く気でいるわよ?」
「え?侯爵様がですか?」
「ええ。カーティスの親だけど、ミーシャさんの親のつもりでもあるもの。
娘のつもりで一緒に歩いてあげてね。」
「はい。嬉しいです。」
本当に侯爵夫妻は素敵な方たちだと思う。
これからも家族でいられることを幸せに思った。
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