私が嫁ぐ予定の伯爵家はなんだか不穏です。

しゃーりん

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後日、ブルーエ家から今後についての話し合いをしたいと呼び出され、サリューシアは両親と共に屋敷を訪れた。


「レイド伯爵夫妻、そしてサリューシア嬢。お呼び立てして申し訳ないね。
 サリューシア嬢から話は聞いているとは思いますが、ティムに子供がいたことがわかってね。
 いやぁ、こちらとしても驚いたのですよ。
 あ、もちろん平民時代の話ですよ。
 ティムが伯爵家に来た後は会っていませんでしたから。なあ?」

「はい。僕もあの日まで本当に知らなかったのです。  
 一人で育てさせるなど、申し訳のないことをしてしまいました。」


ティムの言葉に、サリューシアも両親も眉をひそめた。

子供は一人では出来ないのだ。
王都に来るギリギリまで恋人として関係を持っていたのであれば、無責任ではないか。
別れた後に万が一のことがあれば、と連絡先を教えていてもおかしくなかった。
領地の平民なのだ。領地の屋敷に連絡を取ってもらう方法だって考えられた。

そもそも、別れていたのだろうか。

サリューシアは、リズはティムが帰るだろうと思って待っていたのではないかと気づいた。
ということは、ちゃんと別れを告げていない?

それに、一人で育てさせるのが申し訳ないということは、リムは引き取るということか。
実の母から引き離し、サリューシアが育ての母になれということ。

既に子供がいる男に嫁ぐのは、後妻になるようだと感じてしまった。


「それでどうだろう。リムを伯爵家に引き取るつもりなんだ。
 出来ればリムを庶子ではなく嫡子にしたいとも考えていてね。
 どうだろう、サリューシア嬢。ティムと君の子供として結婚する時に認めてくれないか?」

「なっ!ブルーエ伯爵、それは非常識ではないですか。
 そのリムという子供は母親が平民なのでしょう?
 サリューシアは伯爵令嬢なのですよ。
 娘が子供を産むより前に嫡子にしてしまえば、その子供が跡継ぎになってしまうではないですか!」

「ですがねぇ、庶子でもティムの息子で私の孫であることに違いはない。
 リムを庶子のまま伯爵令息として育てても、あの子に貴族との結婚は難しい。
 だが、この伯爵家の跡継ぎということになれば嫁ぐ令嬢もいるでしょう。
 サリューシア嬢との間にできる子供が男とも限らないし、男でも他家に婿入りが可能だ。
 リムは母親が平民のため、不憫に思いませんか?」

「これは政略結婚なのですよ?サリューシアの産む子供が跡継ぎになるのが当然でしょう?」

「いやいや、政略結婚でも子供ができない場合もある。
 その場合は親戚から養子をとることもあるし、庶子に継がせることもある。
 それが最初からわかっていると思っていただければいいのでは?」

「そんなバカな。」

「進めている共同事業を停止して結婚も取りやめますか?うちは構いませんがね。」

「………今は答えられません。家族で話し合い、後日また伺います。」

「ええ。構いませんよ。」


サリューシアが両親と立ち上がると、ティムが言った。


「サリューシア嬢、少しだけ話がしたい。帰りの馬車は出しますので。」
 
「……わかりました。」

「じゃあ、場所を変えてテラスで待っています。」

「はい。」


先に帰る両親と玄関先まで共に歩き、今日は一緒に帰った方がいいと心配する両親に言った。


「ティム様の本心が伯爵と同じなのか聞いてみるわ。」


ついでに恋人と別れていたのかをね。
 
   





 


 
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