好きな人に振り向いてもらえないのはつらいこと。

しゃーりん

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レイフォードの15歳の誕生日までひと月を切ったある日、リゼルとエヴァンはレイフォードから話があると言われた。


「実は、1年半ほど前から気になる令嬢がいるんだ。だけど、彼女には婚約者がいて……」

「あら。そうなの。残念ね。」


リゼルは当たり前の対応をした。
政略結婚の場合、より条件のいい相手を紹介したり、金額次第で婚約解消を受け入れさせることもある。
しかしリゼルは結ばれている婚約を息子可愛さに金を積んで婚約解消を願うような真似をする気はない。
だからそれをレイフォードが期待していたのであれば、残念なことだ。


「彼女はいつも婚約者に命令されていて大切にされていないようなんだ。可哀想で何とかしてやりたい。」

「その令嬢があなたに助けを求めたの?」

「そうじゃないけど。」

「婚約者がいる令嬢を助けたいと思うほどあなたはその令嬢と親しくしているの?」

「ほとんど話したことはない。彼女はいつも婚約者といるし。」

「ならどうしてあなたが何とかしようとするの?その令嬢が実際にはどう思っているかはわからないし、あなたのことが好きなわけでもないのよね?
その婚約者と婚約解消させて今度は自分と婚約させるの?令嬢の意思を無視して?
今、この話をしたってことは公爵家の籍になれば、そうできると思ってるってこと?」


公爵家という身分を利用して婚約者を奪うつもりなのか。そう問うた。
望んでいない男の婚約者になるのであれば、今の婚約者もレイフォードも彼女にとっては同じことなのではないか、と。それはわかっているのだろうか。
 

「違うっ!爵位を利用しようと思ってるんじゃない。ただ僕は、アナレージュ様に協力してもらいたくて母様たちも一緒にお願いしてもらえないかと思ったんだ。彼女は……アナレージュ様の姪だから。」


よかった。レイフォードは公爵令息になるからといって、思い上がるような考えはもっていなかった。
 

「アナレージュ様の姪、ファーブス侯爵家のアミーナ嬢のことね。」


レイフォードは頷いた。


「僕は彼女のことを気になっているけれど、それは以前は明るくて笑顔が素敵な令嬢だったのに今は辛そうから。そんな顔をさせるってことは婚約者が嫌なんだと思う。
だから、彼女の本心とファーブス侯爵夫妻がどういうつもりで婚約を続けているのかをアナレージュ様に探ってもらえないかと思ったんだ。
もちろん、僕はまだアミーナ嬢のことをよく知らないから、奪って婚約者にしたいわけじゃない。
婚約が解消されたら、お互いのことを知り合いたいとは思ってるけど。」


なるほど。レイフォードが直接アナレージュに頼んでしまえば、アナレージュはレイフォードの望みを叶えるために兄のファーブス侯爵に、アミーナをコリタック侯爵家に嫁がせるよりもレーゲン公爵家に嫁がせる方がいいと言ってしまうだろう。

アミーナの気持ちは確認されることなく、レイフォードの婚約者にされてしまう。

レイフォードはそれが嫌なのだろう。

でもね?それが政略結婚というもの。

アミーナにとっては絶対ルースよりもレイフォードの方が嬉しいはず。親目線だけでなく……


だけど、結婚相手はなるべく自分がいいと思える女性を選ぶようにと恋愛結婚をレイフォードには進めていたから、お互いのことをよく知ってから婚約すべきと思っているレイフォードは婚約してから恋愛すればいいと思っていないのだ。

 

 
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