好きな人に振り向いてもらえないのはつらいこと。

しゃーりん

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コリタック侯爵家で起こった事件は予想外のことだったが、アミーナは無事に婚約解消できた。
 
もしもあの場にアミーナも訪れていたら、エマの怒りがルースの婚約者だったアミーナにも向いていたかもしれない。

そうならなくてホッとした。



今日は、リゼルはレイフォードと共にレーゲン公爵家を訪れていた。

アナレージュがアミーナも呼んでくれている。
 
婚約解消は学園の長期休暇中に起こったことだったので、レイフォードはアミーナに久しぶりに会う。



「無事に婚約解消できてよかったわね。」


アナレージュの言葉にアミーナは笑顔で答えた。


「叔母様のお陰です。ありがとうございました。」

「実はあまり役に立っていないのよ。兄も調査していたから全部把握していたし。」

「それでも。励ましてくれて、希望を抱かせてくれたのは叔母様です。父からは婚約解消はしないと言われるだけでつらい日々だったから。
こうしてレイフォード様と会える機会を作って下さったのも感謝しています。リゼル様もありがとうございました。」
 

つらかったルースとの婚約から解放されて、アミーナは本当に嬉しそうだった。


「2人の婚約はもう少し先ね。2年生になる前の休暇の間にしたらどうかしら。」

「そうですね。それくらい空ければ批判的な声も少なくなるでしょう。」


リゼルもアナレージュと同意見だった。
婚約解消後、あまり早すぎる次の婚約発表は、浮気を疑われて批判的な声が上がることもある。 

アミーナの場合はルースとの同情的な意見も多かったので祝福もされるだろうが、相手が公爵令息となると悔しがる令嬢もいるだろう。

アミーナとルースの婚約は解消で、破棄ではない。
解消は両家同意のもと、円満だったと見做されるので、その後の縁談に響きにくい。
破棄はどちらかに非があると見做されるが、非がない方も影響を受ける。縁起が悪いと思われるからだ。

なので、アミーナの父ファーブス侯爵も婚約解消としたのだ。

婚約破棄でもレイフォードとアミーナは婚約する意志は変わらなかっただろうが、今後のアミーナためには婚約解消でよかったのだ。


「じゃあ、エドモンド様にはそう伝えておくわね。
昨日ね、ルースとアミーナが婚約解消した経緯と、アミーナはレイフォードの婚約者になる予定だって話をしたら、エドモンド様ったら口をあんぐりと開けたまま驚くから笑っちゃったわ。
レイフォードの婚約者については伯爵家以上なら認めると約束してるから別にいいけど、どうしてお前が先に知ってるんだってブツブツ言ってたわ。」

「あ、そうです。レイの婚約者は自分で選ぶか、私たち伯爵家が選ぶかが公爵家の籍にする条件でしたので。レーゲン公爵家からは伯爵家以上の令嬢が望ましいと言われていました。
レイが選んだ侯爵家の令嬢。エドモンド様も文句が言えないはずです。」

 
自分よりも先にアナレージュが知っているということに驚いたのだろう。

元妻と現妻がいつの間にか連絡を取り合い仲良くしているのだから疎外感もあるのかもしれない。

エドモンドは案外、寂しがりやなのだと思うから。


仕方ない。エヴァンに慰めるように言っておこう。

今のエドモンドは、友人か誘われるということがとても嬉しいらしいから。


 
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