女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん

文字の大きさ
7 / 23

7.

 
 
魔術師たちの間では親子や遠縁である確認が水晶で着々と行われていた。
魔術師の子は魔術師や魔道具師になることが多いので、血縁が多い。 
中には、魔力の素質を気に入って孤児院から養子にした子に遠縁の反応が出て喜んだ例もあったという。 
 
そして、当然出る意見として両親や子供と確認したくなる者がいる。
信用しているが、確かめたくなるのが性(さが)というものだろう。

だったら血縁判定できる魔道具が発明されたと公表するのはどうだろうか。 
判定してほしい者同士で神殿に行けばいつでも判定できるとしたら?

水晶に触れに来る貴族はどれぐらいいる?
信用しているから触れに来る者もいるだろうし、疑いを確実にするために触れに来る者もいるだろう。
都合が悪い貴族が圧力をかけて触れさせないようにする可能性もある。

しかし、血縁に問題がない貴族を把握することができるのは今後の調査で助かることだ。

よし。1対を神殿に置くことにしよう。
水晶が盗まれないように台座に固定しなければ。
あとは、万が一破壊行動を起こす者及び親子でなかった者の把握ができるようにしたい。

「魔術師長、魔道具で映像の記録が可能になったものがあるらしいが、時間はどれくらいだ?」

「今はまだ6時間くらいですね。魔石を交換する毎にです。
 もう少し魔道具本体を改良して、せめて1日は持たせたいらしいですよ。」

「6時間か。1日に4回交換が必要なんだな。水晶を1対、神殿に置く。
 水晶の盗まれない固定方法と置き場所、映像記録の魔道具をそれと気づかれない置き場所。
 それぞれ神殿と相談してほしい。」

「わかりました。個室でいいんじゃないですか?人前で触れるのは勇気が要りますよ?」

そうか。こっそりの方が人は来るか。

「そうだな。だが、判定したい者には全員署名をしてもらい、神官が見届けることにしよう。
 神官の立会を断る者は怪しいからその者の映像を後で確認すればいい。これでどうだ?」

「平民はどうします?」

「ひとまず貴族が落ち着いてから平民には知らせようか。
 一度判定したら、次に子が出来るまで水晶に用はなくなるからな。」

「女神様からの祝福の水晶だと公表するのですか?」

「いや、魔道具だと公表しようと思う。
 祝福だと、この水晶さえ壊すか盗むかすれば存在が消えると思うかもしれない。
 しかし、魔道具だとそのうち出回るかもしれないからこの水晶だけ壊しても意味がない。」

「それだと、祝福の方が壊しに来た者を捕まえやすくていいんじゃないんですか?」

「おそらく、それは下っ端だろう。指示したものに繋がりにくい。
 神殿や神官に被害を与えるのは避けたい。
 その代わり、魔道具製作の建物を襲われないように強化しないといけないな。」

「血縁判定の魔道具なんて作っていないのに襲われたら馬鹿らしいですからね。
 建物だけでなく何もかも強化レベルを上げておきます。」




ひとまず、調査対象外の貴族がわかるように篩(ふるい)にかけよう。

  

あなたにおすすめの小説

なんでも奪っていく妹とテセウスの船

七辻ゆゆ
ファンタジー
レミアお姉さまがいなくなった。 全部私が奪ったから。お姉さまのものはぜんぶ、ぜんぶ、もう私のもの。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

逆転した王女姉妹の復讐

碧井 汐桜香
ファンタジー
悪い噂の流れる第四王女と、 明るく美しく、使用人にまで優しい第五王女。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

愛しているから

七辻ゆゆ
ファンタジー
あなたのために頑張って、処刑した。

透明な貴方

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。  私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。  ククルス公爵家の一人娘。  父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。  複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。 (カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)

魔法のせいだから許して?

ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。 どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。 ──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。 しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり…… 魔法のせいなら許せる? 基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

「あたしってこーゆー性格だから」は全然かまいません

あんど もあ
ファンタジー
騎士科のレパルスと婚約した淑女科のフローラ。ラブラブな二人なのに、「あたしってこーゆー性格だから」とずけずけ言う女が割り込んで来て……。