逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。

しゃーりん

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ローレンスは自分のことを見なかったフリをしてくれそうにないジェイドに頭が痛くなる思いをしながら家に帰った。


「ただいま。」

「お帰りなさい。……どうかした?」


疲れた顔でもしていただろうか。普通にしていたつもりだったんだけどな。

メロディーナはローレンスのちょっとした変化にもよく気づく。すごいよな。


「メロディーナ、もし、ここじゃないところに住むことになればどうする?」

「え?家族が一緒なんでしょ?なら、どこでもいいけど?」
 

ジェイドから逃げるために、どこかに引っ越そうかと一瞬考えた。

だけど、ローレンス一人ならともかく、家族が一緒だとバレないわけがない。

幼子2人を抱えて、貸馬車あるいは乗合馬車に乗って移動すれば、いつどこに辿り着いたかなんてジェイドが調べればあっという間にわかるだろう。

逃げても意味のないことだ。

となれば、いつ片がつくかはわからないがオリオール家に残っている奴らの処分を終えてジェイドが再び姿を見せるまで、今まで通りに暮らしていくほかないのだ。

判定キットなるものがいつ手に入るかもわからないから、数年かかるかもしれないし。


正直言って、乗っ取りを罰したいのはジェイドであってローレンスではない。
ローレンスはオリオール家を捨てるつもりで逃げ出したのだ。
だから、父たちの罪を暴く手伝いをする気はない。

自分のことなのに他人に任せて恥ずかしくないのかと責められようが、ローレンスが望んだことではないと言いたい。
ただ、父たちがいなくなったオリオール家のことは確かに放っておくには無責任かもしれないと少し胸が痛んだ。


「この間の貴族の人にまた会った?」

「……ああ。他人事なのにローレンスのために王都で悪者退治をするつもりでいるらしい。」

「あなたをまだローレンスだと思ってるの?っていうか、ローレンスなのでしょうね。」


とうとう、メロディーナも僕がローレンスじゃないとは思わなくなったようだ。


「……このまま暮らすにしても、いつかは王都に呼ばれるかもしれない。」

「貴族になるの?」
 
「まさか、いや、どうかな?……悪者退治次第だし、ちゃんと考えろって言われたよ。
貴族としての責任、役割を放棄することの意味。子供たちが与えられるべき環境の違い。
廃爵を選ぶか、遠縁を探すか。それを考えろって。
平民として生きている僕にそんなこと言われてもな。
ローレンスという貴族か。ランスという平民か。ローレンスという平民になるか。」

「選択肢がいろいろね?もちろん、どれを選んでも家族は一緒でしょ?」

「ああ。でも、本当に悪者退治が済めばの話だ。おそらく、何年も先の話だと思う。
思い通りにならなければ、ランスのままで今までと変わらない暮らしだ。それでもいいよな?」

「ええ。一緒ならどこでもいいの。どこにでもついていくわ。」
 

メロディーナはローレンスが貴族だったらしいと聞いても変わらない。

そういえば、メロディーナも貴族だったのかちゃんと確認したことがないが、前辺境伯と結婚したんだから元貴族だろうな。

でも、今は2人とも平民なんだ。そして2人とも、貴族っぽくないな。


 
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