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しおりを挟むジェイドはブツブツ言いながら、情報を整理しているようだった。
もう帰っていいか?
「ということは、もしローレンスと弟が本当の兄弟だった場合、むしろローレンスが検査をするのは悪手ってことか?」
そうだよ。わかったか?
「そうなりますかね。弟と父親が同じだったら夫人の子供とローレンスでも血縁という判定が出ると思いますよ。そうなれば、乗っ取りの証明どころか、子供がオリオールの血筋と間違って認められてしまいますね。」
「ローレンスで確かめてはダメなんだ。弟が先に夫人の子供と血縁があるか確かめないと。
そして、弟と子供に血の繋がりがあることを証明すれば、弟は侯爵と義母の子供だとバレることになるわけだ。」
弟レナウンがジョスリンと不貞しておらず、ローレンスの子供だと言い張る場合、ローレンスとレナウンが兄弟だから血縁と判定されたと言うしかない。
つまり、父の不貞がバレる。
でも結局、レナウンがジョスリンとの不貞を認めた場合でも、父の不貞はバレることになる。
どちらにしても、レナウンは父の子だとバレて、乗っ取りの疑惑は深まる。
「でもそれだと、子供の証明は難しいことになるな。ローレンスの子ではない証明にはならない。」
「そうですね。他にオリオールの血筋はいないのですか?」
「前侯爵が領地にいるんじゃないかな。王都に来るのは難しいかもしれないが。」
祖父はもう65歳になるんだったかな?
長生きしている方だ。
だが、数日間かけて馬車で移動するのは大変なことだろう。
「まず、血の繋がりが判定できるものがどの程度の精度なのかを調べた方がいいいんじゃないですか?
親子の判定ができるのであれば、ローレンスの夫人が産んだ子供と弟で検査すればわかることです。
大まかにしかわからないのであれば、ローレンスの父親と弟で検査すればいいんじゃないですか。」
「そっか。そうだな。子供が弟の子であればオリオールの血筋ではない。
彼らが乗っ取りで罪に問われることになれば、君も安心して戻って来られるってことだもんな。」
「あのですね、僕はランスです。妻と2人の子供と幸せに暮らしています。もう来ないでください。」
「いや、君はローレンスだ。間違いない。君も子供もオリオールに対して責任がある。
それに、子供たちに与えられる環境は貴族と平民では大きく違うだろう。その機会を奪うのか?
貴族として背負うべき役割を簡単に放棄するな。
オリオールを廃爵にするならば正当な理由と共に陛下に申し入れるべきだろう。」
ジェイドは真面目だな。
跡目を不在として廃爵にするか、祖父より昔に遡って遠縁を探してオリオールを継がせれば済むのに。
「もし、夫人の子供が弟の子だと判明すれば、また来る。それまでにちゃんと考えてくれ。」
ジェイドはそう言い残して去って行った。
ちゃんと考えろと言われても。
本当に記憶喪失で、ただの平民が『お前は貴族だ』と言われたら喜ぶと思うか?
いや、喜ぶのか?
どうなんだろう。
責任だの、役割だの、陛下って言葉に普通は怯むんじゃないか?無理ですって逃げないか?
いや、それ以前にジェイドを不審人物に思って話もせずに逃げるか?
対応を誤ったかな。
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