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しおりを挟む部屋に入ると、公爵夫人がフィルリナを庇うように前に立った。
「あなたには用はない。あぁ、後ろの女性の髪飾りを全部取って。
それが済んだら横に退いて。
おとなしく従えば、体は無傷で返すよ。すぐ終わる。心配ない。」
男の声だ。髪飾り?無傷で返す?狙いは…
「…公爵夫人、従いましょう。飾りを取るのを手伝ってください。」
二人で飾りを外し終えると、フィルリナ髪は真っ直ぐ下ろされた状態だ。
「なるほどね。うん。ちょっとごめん。貰うよ。」
仮面の男は、フィルリナの髪を一つに束ねて……ザクっと切った。
「うん。もう怖い思いはさせない。髪はまた伸びるよ。」
そう言って出て行った。
…やはり、髪が狙いだったか。フィルリナはそんな気がしていた。
「フィーちゃん、大丈夫?」
「はい。…軽くなりました。」
「っもう!警備と夫たちに知らせてくるわ。ここから出ないで。鍵をかけて待っていて。」
公爵夫人が出て行き、フィルリナは大きく息を吐いた。
髪に惑わされる男がまだいたとは…そんなに珍しい?ウンザリだ。
ノックの音が聞こえ、鍵を開けるとクロードに抱きしめられた。
「フィー!怪我は?」
頭と顔、腕を触り確認された。
「髪が負傷?かしら。」
ため息をつきながら再び抱きしめられた。
再びノックの音がして、アラモンド公爵夫妻とショコルテ公爵と騎士団長が入ってきた。
「これは…騎士団長、今から王城を出る者の荷物検査を。
カツラまたは髪の束を持っていないかを調べろ!何を調べているかは漏らすな!」
「はっ!」
ひとまず部下に指示を出しに部屋を出た騎士団長が戻ってきて言った。
「ナフィン侯爵は見かけましたか?」
「奴なのか?!」
「いえ、以前気になったことを思い出して…
あの屋敷には髪がひと房あったはずだと。その髪色がおそらく、伯爵と同じ色。
事件の後、屋敷で探したのですが、見つけられなくて…」
「息子のナフィン侯爵が持って行ったと?」
「その可能性を考えました。」
「会場で探そう!」
ショコルテ公爵と騎士団長が部屋を出て行った。
「…ナフィン侯爵家はどうなってるんだ?頭がおかしい。」
…確かに。まだ犯人と決まったわけではないが、怪しいと言える。
「髪ひと房って誰のでしょうね?」
「秘密の屋敷にあったはずなんだよな。となると、遺髪?」
「お祖母様とか?前前侯爵様が婚約を申し込んだって言ってたから。」
「…そうかもな。」
「今の侯爵様って息子さんはいるの?」
「「「………………」」」
寒気がした。
「いや、確か女の子じゃなかったかな、まだ小さな。」
なら大丈夫か?わからないが…
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