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しおりを挟むフルールと結婚して半年。
ただ抱きしめて眠るだけで、性的なことをなにもしないアトラスに焦れたのはフルールだった。
「アトラス、本当に、その、閨事はしなくていいの?」
「ああ、構わないよ。私はほんの少しでもフルールを怖がらせたくないからね。」
「だけど、私、多分、大丈夫だと思うの。」
「多分、だろう?怖い思いをさせて、こうして抱きしめることさえできなくなれば辛い。だったらこのままでも十分だよ。」
「だけど、誰でも最初は怖いって少しは思うのではないかしら?」
「うーん。じゃあ、また少しずつ練習する?初夜の目標は半年後。」
「半年後?!」
「ああ。週に一度、少しずつ触れていく。まずは夜着の上から。首や腕、脚、背中、胸に腹、そして秘部。フルールが怖がらないように気持ちのいいところを探していこう。」
フルールは目を丸くしていた。しかし、真っ赤になった後、頷いた。
おそらく、最後までしないことに先に焦れてもどかしくなるのはフルールだ。
アトラスは、友人期間の六年と結婚までの一年、結婚後の半年で随分と忍耐強くなった。
今から抱いても、フルールは受け入れてくれるだろう。
それはわかっていたが、敢えて時間をかけることにした。
この結婚で跡継ぎは望まれていない。
月のものが止まってしまったフルールは子供が産めないから。
なので慌てる必要はないのだ。
もちろん、フルールと繋がりたいという思いはある。
だが、ゆっくりと、じっくりと、フルールの体を堪能したい。
どんな表情のフルールも見逃したくないから。
ちょうど半年後で結婚一周年になる。
言葉で『その日』と決めたわけではないが、お互いに自然とその日を初夜にしようと思っていた。
しかもフルールは、自分ばかり翻弄されている反撃なのかアトラスの体を見たいと言い出した。
スタッドを思い出して怖がらないかと不安に思ったが、これを乗り越えなければ初夜は難しいかもしれないと考え直し、フルールにアトラスの体を触らせた。
最初は恥ずかしそうにしていたが、慣れてくると下半身にも興味を持ったらしい。
……怖がられなくてホッとした。
そして迎えた結婚一周年の『初夜』は、この上なく幸せだった。
待ちに待った甲斐があった。
さんざん慣らしておいてよかった。
それほど痛みを与えることなく、一つに繋がることができた。
そして、アトラスの愛の言葉に初めて『愛しているわ』と応えてくれたのも繋がった状態でだった。
この喜びは一生忘れられない!!
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