浮気疑惑の後始末

しゃーりん

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ビアンカの大きな声に、夜会場にいた人が庭園に目を向ける。
警備の者も、集まって来た。


「ココミア、どういうことよ!私の婚約者を誘惑したの?」

「ビアンカ嬢、誤解だ。そんな大声を出さずに話を聞いてくれ。」

「嫌よ!誤魔化されないわ。一体いつから私は騙されていたのかしら。」

「だから、違うって。」

「あなたは黙っててよ。
 何よ。泣いてデント様に縋っていたのかしら?
 大人しそうな顔して、人の婚約者を誑かすような女と友人だっただなんて。
 もうあなたとは友人でも何でもないわ!」


その時、主催者でもある侯爵が口を挟んだ。


「ご令嬢は何をそんなに騒いでいるのだ?ここは私の屋敷だ。騒動の問題を知りたい。
 それに、決めつけるのはどうかと思うんだが?話を聞いてから判断しようではないか。」


侯爵の言葉に、周りがシーンとした時、ココミアとデントがいる後ろの道からザッカリーが現れ、少し後ろから令嬢もやってきた。
ザッカリーから顔を背けたココミアを見て、侯爵は気づいた。


「なるほど。この騒動の原因は今やってきた2人にあるのだな。」


侯爵の言葉に、意味がわからないザッカリーは眉をひそめたようだが、ココミアが近くにいることに気づいてハッと息を飲んだ。


「君たち5人、それから彼らの親も来てるなら一緒についてきなさい。別の場所で話そう。」


侯爵に従って、騒ぎの中心になった私たちは移動をした。
私の両親も、ザッカリーの両親も顔色を悪くしていた。
デントの両親はいるかもしれないが、ビアンカの両親はいないだろう。
ザッカリーの相手の令嬢、レイニー嬢の両親も。

なぜなら、侯爵家の夜会だからだ。
招待は伯爵家以上になる。あとは、仕事の関係者か親戚くらいだ。
招待された者のパートナーが子爵・男爵家の者の場合は参加できるが、その親までは無理である。
ビアンカは子爵令嬢。伯爵令息デントのパートナーである。
レイニーは男爵令嬢。……誰と来たのだろうか。



広めの部屋に案内されて、着席を促された。
親は思った通り、私とザッカリー、デントの両親だけのようだ。

話をするように言われたのはデント。一番冷静のように見えるからだろう。


「テラスで、こちらのココミア嬢に会いました。彼女の婚約者であるザッカリーを知らないか、と。
 僕は少し前に庭園の右側の方に歩いて行くのを見たと答えました。
 その方向にココミア嬢は向かいました。
 見送ってから、ザッカリーの少し前に令嬢が向かったことを思い出しました。
 まさか、逢引きの可能性があるのではないか、それをココミア嬢が見るのではないか。
 嫌な予感がした僕は、ココミア嬢を追いかけたのです。
 庭園の奥の木のそばで、ザッカリーとレイニー嬢が……交わっていました。
 それを見てショックを受けたココミア嬢と先ほどの場所まで戻りました。
 涙を流しているココミア嬢がハンカチを落としたので、代わりに僕ので涙を拭いました。
 そこを僕の婚約者であるビアンカ嬢が見たことで、このような騒ぎになりました。
 申し訳ございません。」


デントの謝罪と共に、ココミアも『申し訳ございません』と頭を下げた。


「ふむ。なるほどな。泣いている令嬢にハンカチを渡した。それがこんな騒ぎになったと。」

「違うわ!ザッカリー様がココミアの涙を拭ってたじゃない。浮気だわ。」


ビアンカの言い分に、誰も同意はしない。どうしてそうなるのだろうか。


 



 

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