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しおりを挟むメルリーはブレイズのことが好きだった。
彼は自分に正直だからである。
嘘をつく男を安心して好きになることはできないから。
結婚前に遊んでいることも正直に認めて、その上で性欲の発散は必要だとメルリーに理解を求め、結婚後は遊ばないと言ったことを守っていたからだ。
だから、キスはブレイズにとって浮気でも遊びでもない。
そういう認識なのだ。
だからこそ、メルリーがそんなに嫌がる理由がわからないらしい。
しかし、相手のアイリーンさんはそうではない。
ブレイズに本気なのか、あるいは夫婦仲を裂くことを楽しんでいるのか。
悪意がある。
ブレイズはそれをわかっていない。
結婚前の遊び相手たちは、後腐れのない相手ばかりで悪意がなかったから、ブレイズも油断している。
メルリーは、これからどうすればいいか悩んでいた。
両親に相談すれば、親経由でブレイズは叱られるに違いない。
メルリーの両親はメルリーに甘いし、ブレイズの両親もメルリーに優しいから。
しかし、ブレイズが叱られても意味はない。
キスを迫られれば、ブレイズは変わらず受け入れるだろうから。
それに、結婚わずか一年で、浮気したわけでもないのにそんなことで口喧嘩をしているなどと知られたら、騎士の妻として恥ずかしいと思われるのではないかと不安だった。
『浮気の一回や二回、引っ叩いて許すくらいでないと騎士の妻は務まらない。』と一般的には言われているから。
キスくらいで親を頼っては、この先やっていけないとわかっている。
ならば、アイリーンさんを止めるしかない。
しかし、第三部隊の誰もがブレイズに押し付けており、止めてくれる様子はないのだろう。
同じ場にいる第三部隊長も止めないのであれば、メルリーが頼んでも笑われるだけかもしれない。
むしろ、ブレイズの評価を下げることに繋がりかねない。
というか、アイリーンさんのキスの相手をしていることが、騎士としての評価に繋がったらおかしくない?
メルリーは、第三部隊自体がおかしいのではないかという気がした。
だから、夫人方も陰湿になるのではないか、と思ってみたり。
とにかく、アイリーンさんに止めるように言う権利はあるように思う。
そのことで、お茶会で笑われることになっても今よりはいい気がした。
ではどこで、アイリーンさんに声をかけるべきか。
仕事中では迷惑になるので、やはり訓練場ということになるだろう。
訓練も仕事中と言われればそうだけれど、休憩もあるはずだから。
第三部隊全員の前で?
いっそのこと、その方がブレイズの妻であるメルリーが嫌がっていると知ってもらえていいかもしれない。
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