あなたに最後の贈り物を

しゃーりん

文字の大きさ
27 / 30

27.

しおりを挟む
 
 
「ブレイズ、最近、遊びすぎなんじゃないのか?」


ブレイズがどういうつもりなのか、イーサンが聞いてきた。
同じ隊の騎士も近くにいる。
みんな、アイリーンとうまくいっていないのかと心配しているらしい。


「元から俺は遊んでいた男だ。そんな男だからメルリーと結婚してからもアンタたちは罪悪感なくアイリーンを押しつけていたんだろう?」


結婚したのにいいのか?と聞かれたが、自分が変わるとは誰も言わなかった。
そのことは悪いと思っているらしい。


「だけど、子供も生まれたのに。」

「あぁ、あの子は俺の子じゃない。俺がアイリーンと関係を持ったのは離婚後、一度だけだ。」

「え?!噂になった時、部屋で抱いたんじゃないのか?あの時の子だと思ってたが。」


孕んだ時期がちゃんとわかる男もいるんだな。


「抱いてない。俺の子でもないしアイリーンを好きでもない。騙されて結婚してそれでも養ってやっているんだ。遊びに文句を言うなら喜んで離婚するさ。」


自分が俺の立場ならどうする?

そう問いかけると、誰もブレイズの遊びを否定できなくなった。




 
ブレイズの遊びを耳にしたアイリーンが怒りながら問い詰めてきた。

 
「ちょっと、ブレイズ。浮気してるってどういうこと?」

「どうって?」

「あなた、結婚してるのよ?私がいるじゃないっ!」 

「それがどうした。俺がこういう男だとお前が一番知っていただろう?」


アイリーンは目を見開いた。


「俺がメルリーと結婚していた時、お前は俺が既婚者と知りながら誘ってきたじゃないか。」

「でも、だって、それでも最後まではしなかったじゃない!」

「メルリーと約束していたからな。浮気しないって。メルリーが好きだったからそれだけは約束を破らないでいるつもりだった。まぁ、俺の浮気の基準は他人とズレていたみたいだが。」


キスを受け入れる時点で、浮気だと思う者が多いと知った。
二人きりでの食事も、相手がデートだと思えば浮気になるらしい。


「それなら、私とも約束してよっ!!抱きたいなら私がいるじゃない!」

「お前を抱きたいという気にならない。」

「え……?」

「そもそも、俺はお前のことは好みじゃない。好きだと思ったこともない。」

「え……なら、どうして?」

「どうしてって、キスしてきたのはお前だろう?俺に跨って腰を振ったのはお前だろう?子供ができたと言ったのはお前だろう?結婚しろと言ったのはお前だろう?俺は喜んだか?結婚しようと言ったか?」

「そんな……」

「そんなお前を養ってやっているだろう?俺の子でもないマーカスも養ってやっているだろう?」

「……知って、」


俺の子じゃないと認めたな。


「お前を抱きたいと思わないんだから、外で発散するのは当然だろう?好みの女とな。」


誘われたら応えないとな。
そう言って、呆然とするアイリーンを放って女を抱きに行った。
 
離婚を選びたくなるようにしてやる。
 

メルリーの苦しみを味わえ。





 
 
アイリーンは呆然としたまま、出て行くブレイズを見ていた。

今、帰って来たばかりなのに出て行った。
今日、早く帰ったのは女を抱いてこなかったからなのに、出て行ったということは抱きに行くのだろう。
 
妊娠中、誘ってもブレイズは触れてこなかった。
ブレイズは激しい行為を望むから、子供によくないと我慢してくれているのだと思っていた。
手と口で慰めてあげようと思っても断られたのは、家事をしたくなくて悪阻がひどいのだと言ったために遠慮しているのだと思っていた。

出産後、悪露が無くなってそろそろ体を繋げたいと思っていたのに、ブレイズの帰りが遅くなった。
マーカスが泣くたびに起きる羽目になるので、アイリーンの機嫌も悪くなる。
そのせいで、外で食事をしてくるようになったからだと思っていた。

しかし、それが浮気しているせいだと知った。


マーカスがブレイズの子でないことも、知っていた。

どうして?

ひと月くらい、ブレイズなら誤魔化せると思っていたのに。
いつ、孕んだのかなんて、気にするような男とは思っていなかったのに。


子供なんか、産むんじゃなかった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹を選んで婚約破棄した婚約者は、平民になる現実を理解していなかったようです

藤原遊
恋愛
跡継ぎとして育てられた私には、将来を約束された婚約者がいた。 ――けれど彼は、私ではなく「妹」を選んだ。 妹は父の愛人の子。 身分も立場も分かったうえでの選択だと思っていたのに、 彼はどうやら、何も理解していなかったらしい。 婚約を破棄し、妹と結ばれた彼は、 当然のように貴族の立場を失い、平民として生きることになる。 一方で、妹は覚悟を決めて現実に向き合っていく。 だが彼だけが、最後まで「元に戻れる」と信じ続けていた。 これは、誰かが罰した物語ではない。 ただ、選んだ道の先にあった現実の話。 覚悟のなかった婚約者が、 自分の選択と向き合うまでを描いた、静かなざまぁ物語。

完結 婚約破棄は都合が良すぎる戯言

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子の心が離れたと気づいたのはいつだったか。 婚姻直前にも拘わらず、すっかり冷えた関係。いまでは王太子は堂々と愛人を侍らせていた。 愛人を側妃として置きたいと切望する、だがそれは継承権に抵触する事だと王に叱責され叶わない。 絶望した彼は「いっそのこと市井に下ってしまおうか」と思い悩む……

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

奪われたものは、全て要らないものでした

編端みどり
恋愛
あげなさい、お姉様でしょ。その合言葉で、わたくしのものは妹に奪われます。ドレスやアクセサリーだけでなく、夫も妹に奪われました。 だけど、妹が奪ったものはわたくしにとっては全て要らないものなんです。 モラハラ夫と離婚して、行き倒れかけたフローライトは、遠くの国で幸せを掴みます。

ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~

水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。 婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。 5話で完結の短いお話です。 いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。 お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら

赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。 問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。 もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?

処理中です...