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しおりを挟むいよいよ王宮侍女の採用試験の日になった。
王宮侍女というのは通称みたいなもの。
実際には、王宮だけでなく王城で働く侍女の方が多い。
王宮は王族の住まいで、王族の方々の身の回りの世話や維持管理をする者。
王城は国のために関わる仕事をする場所で、多くの人が働いている。
文官として採用されるのはまだ男性だけで、女性は侍女として書類運びやお茶出しなどをする。
最近は、女性騎士が採用されることになり、文官もそのうち女性でもなれるだろうと言われている。
侍女はほとんどが貴族令嬢。平民はごくわずかで主に商人の娘の婿探し。
メイドはほとんどが平民。貴族の目に触れない裏方の仕事が多い。
ソレーユの希望は王城で働くこと。
そのうち、女性でも文官になれることになれば、真っ先に採用試験を受けたいくらい。
領地の復興はほど遠い。
持参金を準備できないソレーユに来る縁談は、後妻か使用人扱いの妻か、だ。
援助するから是非ともソレーユを娶りたいという令息なんているわけない。
それならば、独身で長く働きたい。
領地にいると、いつか兄に嫁ぐであろう令嬢に嫌な顔されるかもしれないから。
一次試験は、筆記試験。ここで大半が落とされる。
しかし、頭のいいソレーユはもちろん合格した。
二次試験は、礼儀作法の確認。
ここで落とされるのは、短気な令嬢や顔に思ったことが表れやすい令嬢。
ソレーユはもちろん合格した。
三次試験は、面接。ここまで来れば、ほぼ採用。
志望動機や長期か短期か、希望配属先などを受け答えする。
ソレーユはもちろん、王城勤務に合格した。
「伯父様、無事、王城勤務が決まりました。」
「おお、そうか。よく頑張ったね。ここから通うかい?」
「いえ、寮がありますので、そちらを申し込みます。あと4か月、勤務前までお世話になります。」
「そうか。ソレーユは仕事、ローザリンデも結婚で2人共いなくなるんだな。」
「ネルソン様のご結婚ももうすぐですね。私と入れ違いで義娘ができますよ。」
ネルソンはローザリンデの兄で、4か月後に侯爵令嬢と結婚する。
「そうだなぁ。でもソレーユは妹に似てるから余計に寂しく感じるよ。」
公爵の妹がソレーユの母。ソレーユは亡くなった母似だった。
仲の良い兄妹だったらしい。
だけど、母が伯爵令息との結婚を望んだことで祖父である前公爵が反対した。
結果的には結婚を認めたけれど、結婚以来、疎遠というほどではないが、交流は少なかった。
公爵である伯父夫婦は良い人たちだと思う。
ネルソンも、雑談が弾むわけではないけれど、お互いに負の感情はない。
ローザリンデも表の顔だけ見せてくれていれば、問題はない。
まぁ、裏の顔も、どうしようもない嫌がらせというのはないので許せる範囲だし。
それでも、あと4か月。
そう思って指折り数えたくなるほど、自分はここから出ていきたいのだと思っていた。
その残り数か月の平穏を打ち砕いたのは、王城で王太子殿下の側妃を選定しているという噂だった。
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