両親のような契約結婚がしたい!

しゃーりん

文字の大きさ
9 / 16

9.

しおりを挟む
 
 
ルチェリアは、もうすぐ学園に入学する。 

そんな頃、またエドガー様が家に遊びに来た。


「やあ、ルチェリア嬢。あれからまた条件は考えたの?」

「ええ。ですが、意外と誰もが結婚相手に望むようなことばかりですね。」

「そうなの?参考までに聞かせてくれる?」


エドガー様の横にいるお兄様が頷いたので、また3人でサンルームでお茶をした。


『家族を大切にする(無関心や無視をしない)』

『愛人をつくらない(もちろん一晩の浮気も娼婦もダメ)』

『ギャンブルに嵌らない』

『お酒に溺れない(家以外では絶対)』

『理不尽な暴力を振るわない』

『仕事を真面目にする』

『喧嘩をしても謝れる(自分が悪かったと思えば謝罪の言葉を言う)』

『感謝の言葉を言う』


思いついた条件を書き出してみたら、エドガー様も何かに引っかかったようで考え込み、お兄様は拍子抜けした顔だった。


「……うん。女性が結婚相手の男に誰もが望むような条件だね。だけど……どうだろう?」

「こんなの当たり前のことばかりだな。ルチェ、自分で考えたのか?」

「ほとんどが小説を読んで、自分の結婚相手がこんな人だったら嫌だなって思ったことかな。
 あ、もう一つあった。」


ルチェリアは、『勘違いするような優しさを他の女性に対してふりまかない』と書き足した。


「人間関係を円滑にするには笑顔や会話も大切だとは思いますが、毅然とした態度も必要です。
 はっきりしない態度は勘違いを生みますから。
 自分の婚約者や夫が女性を誘っただなんて勘違いされるのは嫌です。」

「そうだな。女性に限らず、男にも思い込みの激しい者はいるからな。」

「うん。その点、レンはクールだから勘違いされるも何もないか。
 でも、お前はそんなんで婚約者になる令嬢を探せるのか?」

「僕は急いでないから。ルチェが決めてからでいい。」

「公爵令息だもんな。恋愛じゃなくても嫁ぎたい令嬢はいっぱいいるか。」


ルチェリアは、これらの条件を飲んでくれても破られた場合の条件を厳しくしたいと言った。


「慰謝料じゃないの?婚約破棄とか離婚はそうだよね。」


エドガー様の言葉に、レンフォードが答えた。


「ルチェは、慰謝料じゃ納得しないってことだな。確かに条件を飲んだ上での契約破棄は重い。
 どんなことを考えてる?」 

「例えば、子供がいるのに浮気した場合は、離婚して本人が出ていくとか。」

「子供に爵位を継がせて、元夫から爵位を奪うのか?子供が小さい場合は?」

「私が代理になればいいわ。元夫は肩書無しで雇ってもいいし。」

「他の文官と同じ扱いにするのか。屈辱だな。だが、いいかもしれない。
 子供がいない場合や爵位をまだ継いでいない場合は?」

「その場合は、兄弟や親戚に爵位を譲ったらいいのよ。」

「要するに契約を破ればどの道、爵位を失うか継げないってことか。
 そんな目にあいたくなければ契約を破らなければいいだけの話だな。
 守る自信がないのなら、始めから契約結婚するべきじゃない。」


さすがお兄様。私が言いたいことをよくわかってくれるわ。


「契約条件の内容も破られた場合の内容も、相手と話し合った上で決めるんだよね?」


納得し合っている私たち兄妹を見て、エドガー様が聞いてきた。


「もちろんです。
 相手が私に望む条件を守れるか考える必要もありますし、相手によって条件は変わるでしょうし。
 ですが、お互いに契約を破る気がない上で厳しい破棄条件を考えるつもりです。」


驚いているエドガー様の表情を見て、やはりうちは他の貴族とは違うと感じた。

私たちは離婚することはあり得ない結婚のつもりだから、どんなに厳しい破棄条件でも受け入れられる。
だけど他の貴族は、契約を破る気がなくても破ってしまった時のために条件を軽くすることを考えるのだ。
逃げ道を確保して契約したい。
つまり、結婚に対する覚悟が違うのだ。

ルチェリアは、自分と同じように覚悟を持ってくれる令息がいない気がした。

 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

ワケあってこっそり歩いていた王宮で愛妾にされました。

しゃーりん
恋愛
ルーチェは夫を亡くして実家に戻り、気持ち的に肩身の狭い思いをしていた。 そこに、王宮から仕事を依頼したいと言われ、実家から出られるのであればと安易に引き受けてしまった。 王宮を訪れたルーチェに指示された仕事とは、第二王子殿下の閨教育だった。 断りきれず、ルーチェは一度限りという条件で了承することになった。 閨教育の夜、第二王子殿下のもとへ向かう途中のルーチェを連れ去ったのは王太子殿下で…… ルーチェを逃がさないように愛妾にした王太子殿下のお話です。

居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤

しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。 父親は怒り、修道院に入れようとする。 そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。 学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。 ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。

要らないと思ったのに人に取られると欲しくなるのはわからなくもないけれど。

しゃーりん
恋愛
フェルナンドは侯爵家の三男で騎士をしている。 同僚のアルベールが親に見合いしろと強要されたと愚痴を言い、その相手が先日、婚約が破棄になった令嬢だということを知った。 その令嬢、ミュリエルは学園での成績も首席で才媛と言われ、一部では名高い令嬢であった。 アルベールはミュリエルの顔を知らないらしく、婚約破棄されるくらいだから頭の固い不細工な女だと思い込んでいたが、ミュリエルは美人である。 ならば、アルベールが見合いをする前に、自分と見合いができないかとフェルナンドは考えた。 フェルナンドは騎士を辞めて実家の領地で働くために、妻を必要としていたからである。 フェルナンドとミュリエルの結婚を知ったアルベールは、ミュリエルを見て『返せ』と言い出す、というお話です。

従姉の子を義母から守るために婚約しました。

しゃーりん
恋愛
ジェットには6歳年上の従姉チェルシーがいた。 しかし、彼女は事故で亡くなってしまった。まだ小さい娘を残して。 再婚した従姉の夫ウォルトは娘シャルロッテの立場が不安になり、娘をジェットの家に預けてきた。婚約者として。 シャルロッテが15歳になるまでは、婚約者でいる必要があるらしい。 ところが、シャルロッテが13歳の時、公爵家に帰ることになった。 当然、婚約は白紙に戻ると思っていたジェットだが、シャルロッテの気持ち次第となって… 歳の差13歳のジェットとシャルロッテのお話です。

突然の契約結婚は……楽、でした。

しゃーりん
恋愛
幼い頃は病弱で、今は元気だと言うのに過保護な両親のせいで婚約者がいないまま18歳になり学園を卒業したサラーナは、両親から突然嫁ぐように言われた。 両親からは名前だけの妻だから心配ないと言われ、サラーナを嫌っていた弟からは穴埋めの金のための結婚だと笑われた。訳も分からず訪れた嫁ぎ先で、この結婚が契約結婚であることを知る。 夫となるゲオルドには恋人がいたからだ。 そして契約内容を知り、『いいんじゃない?』と思うお話です。

処理中です...