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しおりを挟むルチェリアは学園に入学し、兄のレンフォードは2年生になった。
学園に公爵令嬢はルチェリアしかおらず注目の的になっていたけれど、一緒にいたレンフォードが睨みをきかせたために下位貴族はルチェリアに声すらかけることができなくなるはずだ。
ルチェリアが無事に友人たちと合流するのを見届けて、レンフォードは自分のクラスへと向かった。
おそらく、これが毎日の流れになるだろう。
レンフォードにとってルチェリアは友人や勉強、人脈を作ることよりも大事なのだから。
過保護だと思われても気にしない。
邪魔な兄だと思われても、むしろ自分が認める相手でないとルチェリアを任せられないことをわかってくれる相手が現れるかどうか。
ルチェリアの考えた契約条件は当たり前のことばかりだけど罰が厳しいこともあり、自信を持って立候補するような男はなかなか現れないだろう。
エドガーが躊躇した反応。あれが普通の男の反応だと思う。
だけど、エドガーはいつかルチェリアに求婚するはずだ。
彼の狙いは僕の友人であることとルチェリアとの結婚だろうから。
契約結婚の条件の相談に乗ったのも、探るためとルチェリアと仲良くなることが目的だろう。
エドガー以外にもうちに連れてきた令息はいる。
他の令息ともルチェリアはお茶の時間を楽しんだこともある。
ルチェリアはその一人ひとりの性格や好みなどをさりげなく探っている。
簡易的なお見合いみたいなもの。
その中にはルチェリアがまた会いたいと思う者はいなかった。
例外はエドガーだ。
役に立ったわけではないが、条件の手伝いをすると言って会う機会が増えた。
だから、ルチェリアに一番近いのは自分だとエドガーは思っている。
自信と野心。悪いことではない。
悪い男でもないことはわかっている。
わかっているのに、父同様に何かが気にかかるのは嫉妬なのかもしれない。
ルチェリアとはお互いの友人を交えて週に2度ほど昼休憩の時間を過ごすことにした。
レンフォードが大切にしていると見せつけるためでもある。
兄妹仲が悪いとルチェリアの価値が下がる。ぞんざいに扱われては困るから。
「さっき、お兄様たちの前でわざとらしく転んだ令嬢を見たわ。」
「あぁ、よくあることだ。見なかったことにして通り過ぎることにしている。」
「あれは、君たちと同じ新入生だね。ああいうのは誰から教わるんだろう?」
「小説からじゃないですか?躓いたり転んだり貧血のフリをしたりいろいろありますよ。」
「恋愛小説を読んでみるのも面白そうだね。令嬢たちの心理がわかりそうだから。」
「いえいえ、ありえない令嬢も多く出てきますから参考にしないでくださいね。」
「ああいう小説って絶対に貴族が書いてますよね。」
「そうよね。あるいはメイドか侍女経験者か。
貴族の屋敷内や学園のことが詳しく書いてあるものね。」
「実体験を脚色してるんだろうね。どの時代でも何かしらの揉め事はあるから。」
「婚約破棄ですか?さすがに人前での断罪は考えられないですよね。」
「パーティが台無しにされるから禁止になったしな。」
「え?小説に影響されて本当に断罪した人がいるんですか?」
「いるいる。大体が浮気を正当化しようとして返り討ちにされたらしいよ。
政略結婚時代のあるあるらしい。」
いつの間にか、私の友人たちとお兄様の友人たちは楽しく会話する仲になっていた。
もちろん、兄の友人たちにも契約結婚の条件を見せたことがある。
するとやはり、『条件を守れると思うけど守れなかった時が怖い』『公爵家に家を潰される気がする』など言われた。
私の後ろにクールな父と兄が凍えるような冷たい目で睨みつけてくるような幻影が見える気がするらしい。
私よりも公爵家を恐れて契約結婚はできないかもしれないわ。
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