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しおりを挟む屋敷に帰り、ダイアナはダニエルにまた話を聞いてもらえなかったことを侍女に話した。
「お手紙にお聞きしたい内容を書いて渡されてはどうですか?」
そう言ったのはエリス。
「それも考えたけれど、聞いた時の反応を見てみたいの。手紙だと、わたくしの記憶がないのをいいことに嘘だってつけるでしょう?そんな方だとは思えないけれど、直接お聞きしたいのよ。」
「私はダイアナ様がそこまで気にされる必要はないかと思います。成績のことで記憶の片隅に名前が残っていただけだと思いますから。」
そう言ったのはリサ。
リサはダイアナがダニエルと接触することに反対らしい。
「わたくしもその可能性が高いと思っているけれど、それならそれでスッキリさせたいと思うの。」
このまま卒業まで記憶が戻らなければ、ジルベールとの婚約は解消になるため、両親はそれを望んでいることはわかっている。
話を聞いた限り、ダイアナも婚約は解消になった方がいいと思っているが、唯一記憶にあるのがなぜダニエルの名前なのかをダイアナは知りたかった。
昼休憩時、ダイアナは友人たちと一緒に図書館に向かった。
ダニエルの行動パターン、話ができる人気の少ない場所を把握するために。
教室の時みたいに普通に声をかけてしまうと、ダニエルは逃げてしまうから。
そして数日後、本を読んでいるダニエルの背後から素早くメモを渡し、人気のない奥へと導いた。
やってきたダニエルは、ため息をつきながら言った。
「記憶喪失だか何だか知らないが、迷惑なんだ。」
「申し訳ございません。」
「僕には婚約者がいるし、あなたにもいる。婚約者がいないのならともかく、どうしようもないだろう?」
「……どうしようも、ない?」
「あなたは記憶喪失を理由に殿下との婚約を自ら解消しようとしているのかもしれないが、それは上手くいくのか?その後、僕の婚約を解消させるために向こうに慰謝料を払ってくれる気があるのか?」
婚約の解消?慰謝料?
「あの、何のお話でしょう?」
ダニエルはダイアナを不思議そうに見た。
「何って、僕に好意があるという話ではないのか?」
「好意?……いえ、そういうお話ではないのですが。」
ダニエルがダイアナの話を聞こうとしなかったのは、告白されると思っていたからのようだ。
それならば、確かに教室で言われたくないはずである。
「は……?違うのか?それは、すまない。勘違いしていた。」
ダニエルは少し恥ずかしそうにそう言った。
彼はうんざりするほど告白されてきた結果、今のように話しかけられないような態度を取り始めたのかもしれない。
「いえ、こちらこそ、何度も声をかけて噂になるようなことをしてしまい、申し訳ございませんでした。」
「いや、さっさと聞いていればよかった。こちらもすまなかった。それで、どんな話なんだ?」
よかった。
ダニエルは思っていたよりも話しやすい男性らしい。
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