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しおりを挟む図書館でダニエルと話をしてから、週に二度ほどダイアナはダニエルと図書館で過ごすようになった。
もちろん、友人たちも一緒に。
図書館を訪れた者は、ダイアナがダニエルと過ごす姿に、記憶を無くしたダイアナがダニエルに言い寄っているという噂は本当だったのか?と思ったこともあったが、二人の会話が堅苦しいこともあり、別の意図があるようだと思われるようになった。
あの時ダニエルは図書館で、婚約者の領地に発生したという害虫について調べており、ダイアナはその害虫に心当たりがあった。この国ではなく、他国で見られるものだということを。
なので、学園の図書館ではなく他国の蔵書が豊富な王立図書館で対処法を探したほうがいいと伝えたのだ。
それがきっかけで、ダニエルのストーンズ侯爵領の話や国の制度の改善点など、色恋じみた話とはかけ離れた話ばかりで盛り上がっている。
友人たちはついてこれず、隣で別の話をしていた。
「わたくし、美味しいお菓子や綺麗なドレスの話題を友人たちとするのも楽しいけれど、領地や国をよくするためにどうすればいいかをストーンズ様とお話するのも楽しいわ。」
ダイアナは侍女たちにそう言った。今日はクラリーチェとリサだった。
「ダイアナお嬢様は以前の記憶がなくても、国のためをお考えですね。」
クラリーチェがそう言った。
「ストーンズ様とはあまりお近づきになりすぎないほうがいいのではないですか?ダイアナお嬢様が不利になってしまいます。」
リサがそう言った。
「わたくしが、不利?リサはどういう意味でそんなことを?」
「え?……ジルベール王太子殿下との婚約解消の際に、問題視されるのではないかと。」
侍女たちには、ダイアナの記憶が学園卒業まで戻らなければ婚約が解消になることを伝えていない。
それにも関わらず、リサはジルベールとの婚約は解消されるものだと思っていることが不思議だった。
「殿下が男爵令嬢を側に置いていることより、わたくしが不利になるかしら?図書館でしかストーンズ様とは話していないし、友人たちも一緒だわ。」
教室内でも一緒に過ごしているというジルベールと男爵令嬢の方が不利に思える。
「差し出がましいことを言ってしまい、申し訳ございません。万が一にもダイアナお嬢様の名に傷がついてしまうようなことになれば、と危惧してしまいました。」
「リサはわたくしと殿下の婚約が、なぜ解消されると思っているのかしら。」
「え……?それは、……記憶を失う前のダイアナお嬢様はそのおつもりでいらしたので。」
ジルベールが婚約解消を宣言しようとしたのを二度も止めたという以前のダイアナが?
リサの言葉には、今までに聞いたことがない以前のダイアナがいるように思えて、どこか疑わしくも感じた。
リサが結婚するので退職したいと願い出たのは、それから少し経った頃のことだった。
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