傷物扱いされていても私はあなたと結婚したい

しゃーりん

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アレンの婚約者は伯爵令嬢カロリーナである。
父親同士が友人で結ばれた縁組だ。
もう10年も婚約者である2歳下の彼女がアレンは苦手だった。

喜怒哀楽がはっきりしており、少し我儘だ。
両親の前では良い子を演じている。
うちの侍女やメイドからは好かれていない。 
何度か婚約解消を父に言ったが、納得してくれなかった。…父の前では淑女ぶってるからな。 
 
彼女が学園を卒業するまであと半年。それから半年後に結婚だ。つまりあと一年。
それが俺に残された自由な時間だ。
その自由な時間に時々目に入っていたのがユラ様だった。
図書室や庭園、学園に行く時。遠くから見かけるだけだが勝手に笑顔に癒されていた。
今、思えば単に好みの外見だったのだろう。自分の好みなど気づかなかった。
それが数日前あんなことに…幻かと思った。
欲情した赤い顔、固くなった乳首、指を締めつけた…

「アレン様、カロリーナ様がお越しです。」

「…ああ。」

婚約者の義務を果たすか。



お茶を飲みながら、カロリーナの話に相槌を打つ。いつものことだ。

「この間、学園で面白いことがあったのよ。
 隣国から来た王宮にいるあの女が傷物になったって張り紙があったの。
 いい気味だとみんな笑って言ってたわ。
 この国の令嬢を差し置いて王女でもないのに王太子殿下の婚約者候補になろうとするからよね。」

「…何を言っているんだ?婚約者候補だなんて誰にそんなことを聞いた?」

「誰って…誰かしら?いつものグループでそんな話になったわ。」

「王太子殿下にはシルビア様という婚約者がおられる。新たな候補の話など不敬だ。」

「でもシルビア様って毒で体調不良になって子供も産めないって聞いたわ。」

「…それも学園のグループでの話か?」

「そうよ?情報が早いでしょ?だから私たちはキャスリン様が選ばれると思ってるの。」

「トフィト公爵家の?」

「そうよ!私たちのグループにおられる憧れの方よ。
 だから隣国の女が傷物になって、みんなで喜んだわ。王宮に滞在するなんて厚かましいわ。」

「俺は心底、君に失望したよ。
 傷ついたかもしれない女性を笑った?喜んだ?
 シルビア様のことも正確といえない噂話を鵜呑みにして貶めるなんて。
 そんな考えの女性を妻にはできない。すまないが、君との婚約を考え直すよ。」

「はぁ?何を言うの?あと一年で結婚よ?ふざけないで!」

「ふざけてないよ。シルビア様のこともユラ様のことも君に貶す資格はない。
 醜い感情を喜べるなんて、悪意としか思えない。君とはやっていけない。」

「そうね。私もそう思うわ。」
 
自分たち以外の声がして振り返ると両親がいた。

「カロリーナ、私もアレンと妻に同意見だ。
残念だよ。君がそんなことを平気で言える子だったなんて。
君の父上と婚約解消の話をさせてもらうよ。」

「おじさま、そんな…」

こうして、カロリーナとの婚約は解消となった。












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