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しおりを挟むグレイブ伯爵家の長女プリムは学園を卒業したばかりの18歳。
婚約者のクラレンスとは半年後に結婚するはずだった。
なのに、まるでよくある小説のようなことが本当に起こるなんて。
「ごめん、プリム。僕はチェリムが好きになってしまったんだ。婚約を解消したい。」
クラレンスの隣にいるチェリムは私の2つ下の妹。
どうしてチェリムは普通の顔でクラレンスの横に立っていられるのだろう。
別に仲の悪い姉妹ではない。
いじわるしたこともされたこともない。
クラレンスがチェリムを好きになったからと言って、チェリムが受け入れる必要もないのだ。
「チェリム、どういうこと?あなたもクラレンスが好きなの?」
「うん。まぁ。好きって言ってくれるし?」
「私の婚約者だとわかっているのに?」
「でも、私の方がいいならお姉様と結婚しても仕方がないでしょ?」
「そういう問題ではないわ。クラレンスと結婚しても爵位がないわよ?」
「だからね、私がこの伯爵家の跡継ぎになろうと思って。いいでしょ?」
「はぁ?いいわけないでしょ。私が跡継ぎとして教育を受けてきたの。
そんなこと、お父様やお母様が許すわけないでしょ。」
「あ、それは大丈夫。今、クラレンス様のご両親と話をしてるはずだから。」
クラレンスと一緒にネーブル伯爵夫妻も来ていて、下で話をしているらしい。
ということは、うちの両親もチェリムからこの件を私より先に聞いていたということだ。
私は慌てて応接室へと向かった。
「失礼します。お父様、チェリムから今聞きましたが正気ですか?」
「あー。お前から妹に代わるだけなら、まだいいかと思ったが反対か?」
「当然ではないですか。クラレンスは別にもうどうでもいいです。
浮気男だと思うと結婚する気も失せました。
ですが、どうして私が跡継ぎから降ろされなければならないのです?」
「でないとチェリムが貴族のまま暮らすのは難しいだろう?」
「では私はどうなのです?もう18歳になりました。
跡継ぎではなくなると、私の方が次の婚約者が見つからないではないですか。」
「あー。だからね、プリムはもう見つからないだろうからチェリムを手伝ったらどうかと思って。
そうすると、跡継ぎではないけれどこのままここで暮らせるだろう?」
この父は、跡継ぎでもなくなる私に跡継ぎと同等の仕事をこのまま続けろと言っているのか。
独身のまま、妹夫婦を支える姉になれ、と?
怒りが湧いてくる。
「あ、お姉様がもし年下でもいいなら、お父様が私に持ってきた縁談はどう?
私と同い年だから2歳下で子爵家なんだけど、背が低くて太ってるの。ニキビ顔だし。
私の好みじゃなくて。それならクラレンス様との結婚の方がいいかなって。」
そうか。そういうことか。
つまり、婚約者候補が自分の好みでなかったために、姉の婚約者からの告白を受けたということか。
「チェリムに来た縁談を姉が受けるような恥知らずなことはできません。
常識を考えなさい。」
両親も妹も、こんなに常識外れのことを言う人たちだったなんて、今まで知らなかったわ。
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