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しおりを挟む来月に向けて、いろいろな恋愛小説を読んでみた。
すると、シーラが新しい本を何冊か用意してくれた。
「こちらの小説は、既婚女性が密かに好まれている小説です。
つまり、未婚の令嬢向けよりも閨事について官能的に描かれた部分もあります。
好みの男性は恋愛小説でも見つけられますが、体の反応などはこちらの方がわかるかと。」
恋愛小説は、せいぜいキスの描写まで。
結婚して初夜となっても、細かい描写はなく朝を迎えている。
閨事を経験済の既婚女性は刺激のある小説を好むということね。
夫や娘には内緒で、経験済の女性が読んで楽しむものらしい。
そう言えば、旦那様はキスはなさらなかった。
子作りには必要ないといえばないものね。
キスが未経験のまま純潔を失った女性っていないんじゃないかしら………
シーラが用意してくれた小説を読んだ私が衝撃を受けたのは言うまでもない。
閨事は男性を満足させるために女性は受け入れるものなのだと思っていた。
しかし、小説の女性は男性に負けることなく快感を得ている。
お互いがそんなに満足する行為だとは思っていなかった。
こんな快感を経験したことのある女性だから、読んでいて楽しいのかもしれない。
男性が女性の体を愛撫するのは、それによって快感を得た女性が潤って男性を受け入れやすくするためだったなど、知らなかったわ。
男性が興奮するためだと思っていたから。
緊張していると、体は解れず潤いも少ないために挿入時に痛みが伴う。
なるほど。最初の私はそんな感じだった。
シーラが言っていた、好みの男性だとか割り切るだとか、ようやく納得できた気がする。
期間限定なのだから、小説のような疑似体験をしていると思えばいいのだ。
そう、これが割り切りというものね。
一度目の閨事で妊娠していなかった私は、翌月の妊娠しやすい時期を迎えた。
一日目、二日目、三日目となり、続けて抱かれていると目隠ししていても手順に慣れてきて体が旦那様に馴染んできたような気がした。
気持ち良くはないけれど………
会話もないけれど、三日目に頭を撫でられたような気がした。
しかし、残念ながら妊娠はしていなかった。
更に翌月、驚いたのは、終わったと思っていたら再び始まったこと。
つまり、一日で二度の行為があった。
小説でも一晩に何度も求められる描写があったけれど、そんなことが本当に可能なんだと驚いた。
三日間とも二度の行為があり、その数週間後、私は妊娠したことが確実になった。
旦那様は早く妊娠させるために、子種を多く入れようと思ったのかもしれない。
子供をつくるためだけに奥様ではない私を抱いていたのだから、嫌々ながらでも早く出来ることを望んでいたのだと思った。
私が妊娠したことにより、旦那様の訪れはなくなった。
思っていたよりも早く妊娠したことにより、契約して約1年で終了することになるはず。
早く実家に帰ることができれば、兄は安心するに違いない。
私がどんな手段で借金を返済したかは言えないけれど、いろいろ想像していることは間違いないから。
シーラに妊娠中の妊婦についての本を取り寄せてもらい、気を付けるべきことを覚えた。
にも関わらず、私はウッカリと浴槽の中で滑ってしまったのだ。
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