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リルベルの家庭教師と礼儀作法の教育について、モリス男爵がどう考えているかを確認しようと執務室へと向かうと扉がキチンと閉まっていないらしく、中から人の声はするので仕事の邪魔になるだろうかと躊躇っていると、女性の声も聞こえた。
侍女がお茶でも運んできて話をしているのかと思い、それなら構わないだろうとノックしながら扉を開くと、中にいたのはモリス男爵とアリーズの専属侍女レベッカだった。
しかもレベッカは、モリス男爵の隣に立っている。
執務室の机を挟んだ前ではなく、隣に。正直言って、侍女がそこに立っている意味がわからない。
ということは、侍女としての仕事ではなく、女としてそこにいるのだろう。
モリス男爵とレベッカの関係は、やはりそういうことか。
「あら、男爵様。侍女と言えども部屋に2人きりになることは有り得ないことだったのでは?」
王都から領地に向かう馬車の中で、彼はアリーズの『侍女と2人きりになることはないのか?』という問いに答えなかったが、逆にその沈黙を利用して『決して男爵様は女性と2人きりになることはない』と覚えておくとアリーズは言ったのだ。
「い、いや、これはたまたまウォルターが席を外していたからで。」
ほらね。疚しいからそういう言い訳しか出てこないでしょう?
サリオン様は疚しい気持ちがなかったから、奥様に浮気と言われた時もアリーズが浮気ではないと弁明していた時も何が起こっているかわからなくて呆然としていた。……酔っていたせいもあるけど。
男爵の言い訳にアリーズが呆れていると、何故かレベッカがアリーズに向かって怒り出した。
「もう!奥様ったらどこに隠れていたのですか?私、屋敷中を探し回ったのですよ?まさか、前の奥様みたいにどこかで逢引きでもしてるのかと思っちゃって!」
「その話はするな!」
レベッカの言葉をモリス男爵が止めたけど、ミリアム様が屋敷内で逢引きしていたとは知らなかった。
そう言えば、心中相手は屋敷の使用人、庭師だったかな?
となると、確かに屋敷、あるいは庭のどこかで逢引きすることになってしまうかもね。
この2人だって屋敷内なんだし。
「ダッチス様、お待たせしました。」
そう言って入ってきたのはウォルターだ。手には何かの資料とお茶を持っていた。
「あれ?奥様……とレベッカ?執務室に来る用事があったのならお茶を運んでくれたらよかったのに。」
ウォルターがレベッカにそう言うと、レベッカはそそくさと執務室から出て行った。
つまり、レベッカは主であるアリーズを探していたわけではなく、厨房か休憩室にいたのだろう。
ウォルターがお茶を取りに来た姿を見て、男爵が今一人でいるかもしれないと思い、レベッカはここに来たということ。
よくあることなのかも?とモリス男爵を見ると、彼は視線を外した。
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