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アリーズはちょうどいい機会だと思い、モリス男爵に言った。
「男爵様。私には子供を産ませないとおっしゃいましたよね。でしたら今後の閨事を拒否させていただきますね。私の代わりに相手をしてくれる女性もいるようですし?」
「なっ!」
「ダッチス様!!まさか、またレベッカと関係を?それより子供を産ませないって本気ですか?」
ウォルターの言葉で男爵とレベッカに関係があることは明らかだった。
一度は別れたのかもしれないが、妻であるアリーズの専属侍女にする気が知れない。
再婚が理由で関係を終わらせたのであれば、解雇しておくべきだと思う。
侍女長ミラは2人の関係を知らずに、レベッカをアリーズの専属侍女に選んだのだろう。
「ウォルター、ちょっと黙ってくれ。アリーズ、閨事の拒否とはなんだ?お前は妻なんだぞ?」
「初夜さえ終えればデッカード侯爵様に文句は言わせない、というようなことをおっしゃいましたよね?
初夜は終わりました。まぁ、散々な扱いをされましたが。慣れていない私ではご不満のようでしたので、慣れ親しんだ方でも娼婦でもご自由にどうぞ?」
「ふざけるなっ!」
「ふざけておりません。私は愛人や娼婦と同等に扱われたくはありません。私を選ぶなら愛人や娼婦は許しません。一度でも他の女性に手を出せば、二度と私に触れてほしくない。そう思っています。
どちらを選びますか?私か、愛人か。」
「お前にそんなこと言う権利などないっ!」
「そうですか?一応、妻ですが。妻の不貞は許せず、自分の不貞は許すのですか?
私は、私に触れないのであれば不貞を許すと言っているのです。ですが万が一、子供でも作れば離婚の慰謝料は払ってくださいね?」
「俺は不貞などしていないっ!」
そうなの?じゃあ、レベッカとの関係は奥様が亡くなった後のことなのね。
「でも、先ほどレベッカと2人きりでしたよね?しかも、真横に立って。
私は似た状況でデッカード侯爵夫人に誤解されて夫を誘惑する悪女だと社交界に広められました。
男爵様はどうされます?元妻が不貞していただけでなく自分も不貞していたと広まってもかまいませんか?事実がどうとか、社交界には関係ないようなので。」
「……俺を脅すのか?」
「そんなつもりはありません。ただ、自分が関係を持った侍女を妻の専属侍女にするなんて悪趣味と思っているだけです。」
「それは、ミラが勝手にしたことだ!侍女の配置は侍女長の仕事だろう?」
妻の気持ちは何も考えてくれないんだ。
ウォルターはまともかと思っていたけれど、男爵に進言しなかったようだから、関係が終わっているなら構わないという考えだったってこと。
身近にいて信頼していた侍女が夫の元愛人だったと知った妻がどんなにショックを受けるかなんて、想像したこともないのでしょう。
まぁ、レベッカの場合は信頼もないし、そうかもしれないと思っていたからショックもないけど。
「で、どうします?愛人を選びますか?」
「当たり前だろう!お前なんか、ごめんだ!」
「承知いたしました。では今後、私との閨事はなしということでお願いします。」
そう言ってアリーズは執務室を出た。
リズベスのことについて話そうと思っていたのに、違う話になってしまったけど。
まぁ、近々話そうとしていたことだったので、いい機会ではあった。
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