侯爵の愛人だったと誤解された私の結婚は2か月で終わりました

しゃーりん

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アリーズがリズべスに引きこもりの理由を聞き終えて2人でお茶を飲んでいると、扉がノックされた。

侍女ロミーナが扉を開くと、そこにいたのはモリス男爵とウォルター。

モリス男爵の屋敷なので、どこにいてもどこに来ても文句は言えないのだが、リズベスの部屋という思いがけないところでの再会にアリーズは思った以上に驚いてしまった。

通常、父親が娘の部屋を訪れることは別におかしなことでもないのだが、食堂や談話室、サンルームなどで話をすることが多い。しかし、引きこもりのリズべスに会うためには部屋に来るしかない。

だが、アリーズがリズベスと過ごすようになってから一度もここを訪れていないモリス男爵と顔を合わせることになり、リズベスの反応が心配だった。

そのリズベスを見ると、少し驚いているようだった。


「えっと……お父様、よね?」


最後にアリーズの方を見て確認するように聞いてきたリズべスに笑いそうになったが、同時に顔を忘れかけるほど会っていないという事実に胸が痛くなった。

リズベスの母ミリアム様の葬儀は1年半ほど前のこと。まだ6歳だった。それ以来の可能性もあるのだ。

アリーズはリズベスに頷いてから、モリス男爵に話しかけた。


「男爵様、リズベスに何かお話が?」
 

このタイミングでリズベスの部屋に来るということは、ウォルターと図書室で話していた内容を聞いたのだと思う。そして同じように、リズベスの引きこもりにも何か関係あるのか、確認に来たのだろう。

できれば先に、アリーズから話しておきたいところだったが、来てしまったのなら仕方がない。


「あ、ああ。アリーズもいたのか。……入っていいか?」

「私も同席しても構いませんか?」


リズベスを怒鳴りつけないか、見張りたい。


「……一緒でいい。」
 

躊躇したのは多分、過去の自分の行いをアリーズに聞かれたくないとか、そんなところだろう。
もうすでにリズベスから聞いたので意味はないのだが。

アリーズとリズべスが並んでソファに座り、その前にモリス男爵が座った。
ウォルターは少し離れて立っている。


「リズベス、久しぶりだな。大きくなった。」


リズベスは何を言ったらいいのかわからなかったのか、頷いていた。


「……お前が部屋から出てこないのは、俺が部屋から出るなと怒鳴ったから、か?」


リズベスが再び頷いたのを見て、モリス男爵は項垂れた。


「ずっと出るなという意味で言ったんじゃない。部屋から出ても怒らないから、自由に出ろ。」


リズベスはパチパチと瞬きをした後、アリーズを見て笑顔になった。


「怒らないって。」

「よかったわね。」
 

アリーズはリズベスと笑い合った。


その後、アリーズはリズべスから聞いたこと、『赤い髪の侍女』が部屋から出たら怒られると何度も言い聞かせていたということをモリス男爵に話した。


「『赤い髪の侍女』、レベッカのことか。」


この屋敷で赤い髪と言えば真っ先にレベッカのことだと頭に浮かぶ。
モリス男爵は再び項垂れていた。 

自分の愛人が、侍女という立場を利用して嘘をついていたということに気づかなかった。

アリーズとリズべスに嘘をついていたことは間違いない。

しかし、ミリアム様に嘘をついていたかは正確にはわからない。多分間違いないが、証拠がない。


レベッカをどうするかはモリス男爵の判断に任せるしかないが、できれば愛人も侍女も解雇してほしいとアリーズは思っていた。 

 


 
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