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しおりを挟むモリス男爵は、レベッカに侍女と愛人の役割を解雇するから出て行けと言った。
それに対し、レベッカは笑みを浮かべて言った。
「ねぇ、旦那様?私を追い出して本当にいいのですか?旦那様と関係を持っていた。その事実を私、隠すつもりはないので言いふらしますよ?だって、これからお腹が膨らんでくるのですから。父親は誰だって聞かれますよね?」
レベッカのその言葉に、モリス男爵は驚いて固まっていた。ウォルターもだ。
アリーズは男爵のことを『愛人にしてやられる愚かな男』だと呆れた。
「……まさか、子供が?」
「はい。月のものがひと月近く遅れているので調べました。」
「避妊薬を飲んでいただろう?」
「旦那様に渡されていたのが本当に避妊薬なのであれば、飲んでいましたよ?」
レベッカが飲んでいたのは避妊薬ではなかったということ?
「っすり替えたんだな?いつからだ!」
「何のことですか?私は、渡されたものを飲んでいましたから。」
最初に夫婦の寝室で待っていた時には、全てすり替えていたのだろう。
レベッカはアリーズの侍女だったのだ。
部屋を移る前からアリーズの部屋だけでなく寝室にも出入りできた。
似た薬と入れ替えることは簡単にできたはず。
「くそっ!」
モリス男爵は頭を抱え込んだ。
自分の子供を妊娠しているであろうレベッカを追い出すわけにはいかなくなったからだ。
「男の子だったら、モリス男爵家の跡継ぎになれますね?」
レベッカの狙いは自分の子供を貴族にすることだった?
「何を言っている!跡継ぎはリズベスだ。男が生まれようと、庶子のその子を跡継ぎにはしない!」
「だったら、庶子にしなければいいじゃないですか。奥様が産んだことにする。そうすれば、何の問題もないと思いますよ?」
いやいや、勝手になんてことを言うのよ。
レベッカが産んだ子供を私が実子として育てろ、と? 嘘でしょう?
え……モリス男爵もその手があった!みたいな顔をしないでくださる?
「アリーズ、その……」
「お断りします。」
「いや、ちょっと考えてみてくれ。いいと思わないか?庶子がいるとなると、また醜聞だ。君も巻き込まれることになる。リズベスも傷つく。君を慕っているあの子を裏切るのか?」
ひどい。リズベスをダシにするなんて。
どうしてみんな、そんな期待するような目で見てくるの?
リズベスのために?産まれてくる子供のために?
モリス男爵のために?レベッカのために?
私が子供を産んだことにすれば、丸くおさまるの?
私にとって血のつながりのない子供が一人増えるだけ。
そうすることが正しい?
後妻なんて、そんなものなのかな……
でも、もう少し考える時間が欲しい。そう言おうとした時、男爵家の執事が部屋を訪れた。
「お話し中失礼いたします。奥様のご実家から早馬が参りました。」
何事かと思い、渡された手紙をその場で読んだ。
内容は、父が大怪我を負い、意識不明とのことだった。
早馬と同時に子爵家の馬車も向かっているので、それに乗って帰って来いとも書いてあった。
あの父が意識不明?
アリーズには想像もできなかった。
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