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しおりを挟む500年が経つまであと数年になり、このまま聖堂で過ごすことになりそうだとリリスティーナは思っていた。
最初の結婚相手クローヴィスが亡くなってからも、何度も女性を乗っ取って結婚して子供を産んできた。
それなりに幸せな暮らしもあったが、どうしようもない男との結婚生活に見切りをつけたこともある。
しかし、やはり一番愛し愛されたと思えるのはクローヴィスだった。
結婚を繰り返すのは、彼以上を望んでいるわけではない。
精神体でいるのはどうしても寂しくて、聖力を繋ぐことを言い訳に一時の幸せを求めてしまうだけ。
そんな暮らしも終わったと思っていたが、リリスティーナを求める声があった。
ヴィオラ・クレベール公爵令嬢。
またしても、リリスティーナ、そしてセレンティナの実家であるクレベール家の令嬢である。
彼女は王太子の婚約者であるが、ヴィオラにも王太子にもそれぞれ思い人がいる。
ヴィオラは自分の護衛騎士を、王太子は子爵令嬢を。
それでもこの結婚は決定事項だった。
(リリスティーナ様、まだこちらにおられるのでしたらお助けください。)
ヴィオラは『リリスティーナ聖堂』で何度もそう祈っていた。
今、17歳のヴィオラと、消えるまであと数年のリリスティーナ。
彼女を乗っ取っても、途中までとなる。
リリスティーナはヴィオラに触れた。
(ヴィオラ、リリスティーナよ。どうしたの?)
(リリスティーナ様っ!!本当におられたのですね。お待ち申し上げておりました。どうかわたしになって子供を産んで下さい。)
クレベール家ではリリスティーナが聖女を辞めてセレンティナを乗っ取り、聖力を子供に繋いでいったことまで記録を残してある。
後に、ボッティ家を通じて残したのだ。
それで、ヴィオラはリリスティーナに縋りに来たらしい。
(私があなたになることはできるわ。でもあなたが婚約者と幸せになる道もあるのよ?)
好きな人がいても王太子と結婚して自分の役割を果たすのであれば、ヴィオラのために、王太子の気持ちを変えてやってもいい。
(いえ、私は殿下に幻滅しているのです。あの令嬢の狡猾さに気づかないのですから。)
(それを証明すれば王太子も目が覚めるんじゃない?)
(でも、私が殿下を好きになることはもうないです。)
ヴィオラは王太子のことを好意的に思っていた時期もあった。
だが、王太子は子爵令嬢に誑かされて彼女を愛人にすると言った。
そのため、王太子は、ヴィオラに子供を産ませた後は形だけの夫婦になる気でいるらしい。
(あの令嬢に触れた手で抱かれるなんて気持ち悪いのっ!あっ……ごめんなさい。これって、リリスティーナ様に押し付けようとしているってことですよね。)
そこまで考えていなかったと落ち込むヴィオラに、リリスティーナは苦笑した。
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