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序章 仇討ち編
7.隊長交代
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この日は呼び出しを受けて会議室に来ていた。
呼び出された人をみると俺だけではないようだ。
一応紹介されたが、聞き流していいだろう。
第一部隊 魔法銃部隊 隊長 飛田 純希。
第二部隊 刀剣部隊 隊長 萬田 影虎。
第三部隊 遠距離魔法部隊 隊長 波多野 美優。
第四部隊 生産部隊 隊長 皇佐 拓磨。
刀剣班 班長 武藤 刃。
魔法銃班 班長 有真 有栖。
第五部隊 治癒部隊 隊長 成須 麻里亜。
総勢七人と武岩総長が席についている。
胃が痛い。それには理由がある。この後に総長から俺が正式に刀剣部隊の隊長になると発表があるからだ。
「集まって貰ってすまないな。今日はな、先日牛鬼の討伐に行った部隊が全滅したのは知っているな?」
皆一様にコクリと頷く。
「牛鬼の討伐をするべく再び出動する」
「いよいよですかぁ!?」
元気よくそう声を上げたのは萬田である。コイツが天地を送り出した張本人なのだ。俺は腸が煮えくり返りそうになる。拳に力が入ってしまう。
「そうだ。だが、ここで隊長の変更をする。萬田。お前は下ろす。刀剣班の現班長である武藤刃に兼任してもらうことになった」
萬田は歯を食いしばりながらこちらを睨み付けた。だが、俺も頭に来ていた為睨み返す。
「刃、貴様、俺に向かってなんて目ぇしてやがんだぁ?」
「お言葉ですが、あなたのせいで天地が死んだと言っても過言ではないかと思いますけど?」
「なぁんだとぉ? あれはアイツの実力不足だろうがぁ!」
その言葉を聞き、さらに怒りがつのる。
「武岩総長へ刀剣部隊は天地の一パーティだけでいいと進言したそうじゃないですか? 未知の戦力に対して、些か軽率な意見ではないですか?」
「あぁ? 俺がわりいっていいてえのかぁ?」
「そうです。わかりづらかったですか?」
「魔人になったからって強くなった気でいるのかぁ? 力の差をわからせてやろうかぁ?」
「そうしましょう」
そういうと俺は部屋を出て訓練場へと向かった。そこでは刀剣部隊が訓練をしていた。そこに隊長達が集まった為、異様な空気である。
訓練用の刃引きされた刀を手に取る。
「なぁ。俺は使い慣れた刀がいい。このままでいいかぁ?」
口角をあげてそういう萬田。刀で俺の事を切りたいのだろうと考えた。
(どこまでも馬鹿なやつだ。自分の実力不足を露呈することになるとも知らず。まぁ、いいだろう)
「いいですよ。その方がいい訳できないでしょうから」
「きぃさぁまぁ! どこまで俺を侮辱すれば気が済むんだぁぁ!」
刀を抜き去ってぶん回しながら大声で罵倒してくる。
こいつは昔から気に入らなかったのだ。偉そうなうえに何もしない。戦闘ともなれば後輩に戦わせていい所だけ持っていくと聞き及んでいる。
こんな奴の下に秀人がいたかと思うと哀れでしょうがない。いっそのこと葬ってしまおうかと思ってしまう。
「御託はいいからかかってきてくださいよ」
「きさまぁぁぁ!」
真っ正面から最上段に構えた刀を一気に振り下ろしてくる。
刃を合わせるように添える。そして斜め下へと受け流す。
摺り合って火花が散る。
体制が大きく崩れたが、俺は何もしない。
「うおぉぉぉぉ!」
今度は横からの大振り。
また刃を添えて上へと受け流す。
大きく体制を崩すが、俺は何もしない。
「はははは! ビビッて攻撃もできないか!?」
そう感じていたのかということに失望した。
本当に何もわかっていない。
戦いというものを。真剣を握るとはどういうことなのかという事を。
「うらぁぁぁ!」
渾身の袈裟斬りだったのだろう。再び受け流して床に刃を叩きつけた。
大きな隙ができた。俺は今までの鬱憤を晴らすことにした。
わき腹を蹴り飛ばす。
「お前! 卑怯だぞ!」
そういうと刀を振り回し始めた。
呆れてもう何も言えないので手首に刃引きされた刀を叩きつける。
────ゴキッ
「あぁぁぁぁ! 手があぁぁ!」
(うるせえな。秀人の苦しみはこんなもんじゃなかったはずだ。コイツは許さねぇ)
刀を振り上げる。
「刃!」
────バギッ
武岩総長の止める声を聞き入れながら刀を持った拳で顔をぶん殴ってやった。
恐らく鼻はしばらく使い物にならないだろう。
「がぁぁぁぁ!」
泣き喚いている萬田。魔力を使うまでもなかった。
「麻里亜、連れて行ってくれ」
「しかたありませんわねぇ」
呆れたようにいう白衣を着たロングヘアの成須隊長。
萬田が居なくなったところで刀剣部隊員達に向き直る。
「俺が今日から刀剣部隊の隊長になる。武藤刃だ! よろしく頼む! 魔物相手の戦いは慣れていた記憶がある。天地とは親友だ。今度の討伐任務は行きたい者だけにしようと思う! 行きたい者は今日中に俺の所へ来てくれ!」
そう宣言し、背中を見せて訓練場を後にしようとする。
「武藤隊長お待ちください!」
呼び止められて振り返る。
皆の目はギラギラと今にも魔物を射殺しそうであった。
「我々の中に行きたくない者などいません! ただ、全員は連れていけないと思います! 選抜してください!」
「君の名前は?」
俺は今初めて刀剣部隊の面々にちゃんと会う。失礼だと思うが名前も知らない。だが、雰囲気でわかった。この男がこの中では一番強い。
「鎖那 幸地です!」
「いきなりで酷なことはわかっているが、鎖那の信頼できるものを二名選んでくれ。大会議室で待っている」
それだけ告げると俺は訓練場を後にした。
呼び出された人をみると俺だけではないようだ。
一応紹介されたが、聞き流していいだろう。
第一部隊 魔法銃部隊 隊長 飛田 純希。
第二部隊 刀剣部隊 隊長 萬田 影虎。
第三部隊 遠距離魔法部隊 隊長 波多野 美優。
第四部隊 生産部隊 隊長 皇佐 拓磨。
刀剣班 班長 武藤 刃。
魔法銃班 班長 有真 有栖。
第五部隊 治癒部隊 隊長 成須 麻里亜。
総勢七人と武岩総長が席についている。
胃が痛い。それには理由がある。この後に総長から俺が正式に刀剣部隊の隊長になると発表があるからだ。
「集まって貰ってすまないな。今日はな、先日牛鬼の討伐に行った部隊が全滅したのは知っているな?」
皆一様にコクリと頷く。
「牛鬼の討伐をするべく再び出動する」
「いよいよですかぁ!?」
元気よくそう声を上げたのは萬田である。コイツが天地を送り出した張本人なのだ。俺は腸が煮えくり返りそうになる。拳に力が入ってしまう。
「そうだ。だが、ここで隊長の変更をする。萬田。お前は下ろす。刀剣班の現班長である武藤刃に兼任してもらうことになった」
萬田は歯を食いしばりながらこちらを睨み付けた。だが、俺も頭に来ていた為睨み返す。
「刃、貴様、俺に向かってなんて目ぇしてやがんだぁ?」
「お言葉ですが、あなたのせいで天地が死んだと言っても過言ではないかと思いますけど?」
「なぁんだとぉ? あれはアイツの実力不足だろうがぁ!」
その言葉を聞き、さらに怒りがつのる。
「武岩総長へ刀剣部隊は天地の一パーティだけでいいと進言したそうじゃないですか? 未知の戦力に対して、些か軽率な意見ではないですか?」
「あぁ? 俺がわりいっていいてえのかぁ?」
「そうです。わかりづらかったですか?」
「魔人になったからって強くなった気でいるのかぁ? 力の差をわからせてやろうかぁ?」
「そうしましょう」
そういうと俺は部屋を出て訓練場へと向かった。そこでは刀剣部隊が訓練をしていた。そこに隊長達が集まった為、異様な空気である。
訓練用の刃引きされた刀を手に取る。
「なぁ。俺は使い慣れた刀がいい。このままでいいかぁ?」
口角をあげてそういう萬田。刀で俺の事を切りたいのだろうと考えた。
(どこまでも馬鹿なやつだ。自分の実力不足を露呈することになるとも知らず。まぁ、いいだろう)
「いいですよ。その方がいい訳できないでしょうから」
「きぃさぁまぁ! どこまで俺を侮辱すれば気が済むんだぁぁ!」
刀を抜き去ってぶん回しながら大声で罵倒してくる。
こいつは昔から気に入らなかったのだ。偉そうなうえに何もしない。戦闘ともなれば後輩に戦わせていい所だけ持っていくと聞き及んでいる。
こんな奴の下に秀人がいたかと思うと哀れでしょうがない。いっそのこと葬ってしまおうかと思ってしまう。
「御託はいいからかかってきてくださいよ」
「きさまぁぁぁ!」
真っ正面から最上段に構えた刀を一気に振り下ろしてくる。
刃を合わせるように添える。そして斜め下へと受け流す。
摺り合って火花が散る。
体制が大きく崩れたが、俺は何もしない。
「うおぉぉぉぉ!」
今度は横からの大振り。
また刃を添えて上へと受け流す。
大きく体制を崩すが、俺は何もしない。
「はははは! ビビッて攻撃もできないか!?」
そう感じていたのかということに失望した。
本当に何もわかっていない。
戦いというものを。真剣を握るとはどういうことなのかという事を。
「うらぁぁぁ!」
渾身の袈裟斬りだったのだろう。再び受け流して床に刃を叩きつけた。
大きな隙ができた。俺は今までの鬱憤を晴らすことにした。
わき腹を蹴り飛ばす。
「お前! 卑怯だぞ!」
そういうと刀を振り回し始めた。
呆れてもう何も言えないので手首に刃引きされた刀を叩きつける。
────ゴキッ
「あぁぁぁぁ! 手があぁぁ!」
(うるせえな。秀人の苦しみはこんなもんじゃなかったはずだ。コイツは許さねぇ)
刀を振り上げる。
「刃!」
────バギッ
武岩総長の止める声を聞き入れながら刀を持った拳で顔をぶん殴ってやった。
恐らく鼻はしばらく使い物にならないだろう。
「がぁぁぁぁ!」
泣き喚いている萬田。魔力を使うまでもなかった。
「麻里亜、連れて行ってくれ」
「しかたありませんわねぇ」
呆れたようにいう白衣を着たロングヘアの成須隊長。
萬田が居なくなったところで刀剣部隊員達に向き直る。
「俺が今日から刀剣部隊の隊長になる。武藤刃だ! よろしく頼む! 魔物相手の戦いは慣れていた記憶がある。天地とは親友だ。今度の討伐任務は行きたい者だけにしようと思う! 行きたい者は今日中に俺の所へ来てくれ!」
そう宣言し、背中を見せて訓練場を後にしようとする。
「武藤隊長お待ちください!」
呼び止められて振り返る。
皆の目はギラギラと今にも魔物を射殺しそうであった。
「我々の中に行きたくない者などいません! ただ、全員は連れていけないと思います! 選抜してください!」
「君の名前は?」
俺は今初めて刀剣部隊の面々にちゃんと会う。失礼だと思うが名前も知らない。だが、雰囲気でわかった。この男がこの中では一番強い。
「鎖那 幸地です!」
「いきなりで酷なことはわかっているが、鎖那の信頼できるものを二名選んでくれ。大会議室で待っている」
それだけ告げると俺は訓練場を後にした。
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