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23.シェアルーム

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「よしっと。これでいいかな」

 綺麗になった部屋を見て一息つく。

「収斗、ありがとね!」

 結局奈々の部屋に来て片付けをしていた。
 僕が来るって言ってたのに部屋に下着が干してあったりして、戸惑った。

 あんな赤い色の下着とか着るんだ……。
 いやいや、忘れよう。

 目に焼き付いているのは内緒にして。

「とりあえず、終わったね。新幹線何時だっけ?」

「一時頃のやつだよね?」

「じゃあ、そろそろ行った方がいいね」

「うん!」

 クシャッとした笑みを奈々が僕に向ける。
 胸が高鳴る。
 たまに胸が苦しくなるんだよね。
 これは、何なんだろう。

 駅まで一緒に歩いて向かい、新幹線にのる。
 猛と賢人も同じ時間の新幹線だ。
 各々好きに時間を過ごす。

 二時間半程して迷京都に着いた。
 ホームを降りると人が多い。
 僕は始めてきたから人の多さに驚いた。

 賢人と猛、奈々は元々この人だから驚きはしないみたい。

「凄い人だなぁ」

「ホントだよね? ゴチャゴチャしてて嫌い」

 僕が思わずこぼした言葉に、奈々が答えるが。
 嫌悪感ダダ漏れの返答だった。
 奈々、あんまりここが好きじゃないのかな?

「ほら、行くよ? 離れると迷子になるよ?」

「あっ、ごめん」

 手をパッと繋いで引っ張ってくれる。
 少し冷たいけど凄く柔らかくて。
 優しさに包まれた。

 改札を出ると案内に従って契約したシェアルームに向かう。
 猛と賢人には場所を送っているので自分達で行けるみたい。

 駅は外殻にあるから少し歩くけど四殻の一角に聳え立つマンションについた。
 少し周りと比べると小さめのマンションだけど、新しい感じだ。
 エントランスに猛と賢人がいる。
 どうしたんだろう?

「あっ、収斗。電子契約したのが収斗だからさ。入る時契約した携帯端末が必要みたいなんだ」

「そうなんだ!? ごめん!」

「いや、そんなに待ってねぇから大丈夫だ。さっききたばっかりだしな。どうだった? 奈々との二人の時間は?」

「どどど、どうって? 普通だよ?」

「ふーん」

 ニヤニヤしながら話す賢人は放っておいて。
 動揺しながらもエントランスで携帯端末で手続きをする。
 みんなも入れる様に設定すると中に入れた。

「よしっ! 部屋は五階だね」

 エレベーターに乗ると携帯端末をかざす。
 すると、五階まで自動で移動する。
 扉が開くと玄関の扉だった。

「おぉ! ここのマンションはワンフロア事の部屋なんっすね! いいじゃないっすか!」

 そういう事か。
 それはいいかも。

 部屋を開けて入る。

「おぉー! すごい綺麗だね! いいね!」

 僕は始めてこんな広い部屋に入った。

「いい感じじゃねぇか? ここがシェアルームってのはいいよな」

「いいじゃないっすか! 自分はどこの部屋がいいっすかね?」

「んー! いい感じ! 私は右の一番奥の部屋にしよっかなぁ!」

 部屋の感じは手前が水周りで真ん中がリビングダイニングで四方に部屋って言う感じになっている。

「じゃあ、収斗は左奥な。右手前を俺にして左手前は猛にしようぜ?」

「うん。いいけどなんで?」

 僕が疑問を投げかけると耳元に近づいて言った。

「夜は音楽聴いて聞こえないようにしてるから奈々と仲良くしろよ?」

 瞬間的に顔が熱くなる。
 なんでこんなに熱くなるんだろう。

「な、なんで? 普通に仲良くするよ?」

「ふーん。ま、好きにしろよ」

「う、うん」

 なんだか、この気持ちが賢人に筒抜けになっているような気になってくる。
 僕は奈々をどう思ってるんだろう?
 自分でも分からない。

「収斗! 荷物出して?」

「あっ、うん!」

 部屋に行ってスキルから荷物を出す。
 思ったより荷物が多かったみたい。

「あちゃー。あっちの部屋より少し狭かったみたいだね。荷物が入らないや……」

「そんなに頻繁に使わない物なら、僕の部屋に置く? 僕は荷物少ないし」

「えっ!? いいの? 助かるー!」

 僕の部屋に行き奈々の荷物を一角に奥。
 ホコリを被らないように持っていた布をかける。
 そして自分の物を置いていく。

 本棚を置いて布団を置いて完成。
 僕の荷物少ないんだよね。

「えっ!? 収斗、これだけ?」

「うん。僕、あんまり物を買わないようにしてるんだ」

「なんで? 欲しいものが無いの?」

「んー。と言うか、死んだ時に片付ける人に迷惑かけたくないんだ」

 奈々が悲しそうな寂しそうな顔をする。
 どうしてそんな顔するの?
 僕、変な事言ったかな。

「収斗? そんな事気にしないで、好きな物買いなよ! 収斗は死なせない!」

 奈々……。

「うん。僕も簡単に死ぬ気は無いよ?」

「そりゃそうだぜ! 俺たちのリーダーにそんなに簡単に死なれちゃ困るよなぁ?」

「そうっすねぇ! なんたって、収斗有りきの自分達なんっすから!」

 奈々との会話に急に猛と賢人も入ってきて驚いた。でも、僕がリーダー?

「リーダーは賢人じゃ……」

「なんでだよ? 俺はリーダーって感じじゃねぇ。リーダーは、収斗だ」

 それに猛も奈々もウンウンと頷いている。
 みんなそう思ってたんだ。

 僕は幸せだな。
 こんなに必要とされるだなんて。

「収斗、俺達は死なねぇ! この四人は最強だ! Sランクダンジョンだって行けるさ!」

 賢人が元気付けてくれる。

「ありがとう」

 こうして、迷京都での生活が始まったのだった。
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