追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥

文字の大きさ
22 / 37

22.ランクアップと上京準備

しおりを挟む
それは突然だった。

「収斗くん達、『 明鏡止水』はみんなDランク昇格です!」

 この日もDランクダンジョンの攻略が終わって帰ってきたら急にそんな事を言われた。
 という事は、Cランクダンジョンに潜れる。

「Cランクダンジョンって何処にあるんですか?」

 僕が聞いてみると、端末を操作して液晶に映し出した。
 僕達がいる場所が点滅していて、Cランクダンジョンが赤く表示されている。

 割と遠いかも。
 でも、電車で行けばそんなに大変でもないか。

「二つ隣の街まで行けばあるわ。けど、南はここと、だいぶ北になるけど一個あるわ」

「それって、他の街行った方が早くないですか?」

「そうね。賢人くんのお父さんの所に行けば沢山ダンジョンがあるわよ?」

 この県のCランクダンジョンを教えてもらったが、二つしかないと言う。

 蒼太くんも大変だったんだろうなぁ。
 Dランクダンジョン沢山攻略してCランクを攻略したんだろうか。

 ダンジョンランクの上がり方として、Cランクに上がる場合、Cランクダンジョンを最低二つは攻略していないといけない。

 Cランクダンジョンの数が、最低数の場合はDランクダンジョンを十五程攻略して回らなければいけない。これが大体の目安だ。

 と言ってもあくまで目安でそもそも強ければいいので、収斗達は攻略しているところを配信しているため、ギルド長からの許可が出たのだ。

 こういう時に配信の機能は便利である。
 ちなみに、蒼太くんは配信は一人ではやりたくないんだそうだ。機会が苦手とかなんとか。

「賢人、この際皆で迷宮の街、迷京都めいきょうとに行ってみる?」

 僕が聞くと悩む素振りを見せた。
 そして、ここで意外な事実が。

「自分の親達も実は迷京都にいるんっすよね」

「実は……私も……」

「えぇ? そうなんだ。なんで田舎に居たの?」

 僕は素朴な疑問をぶつける。
 こんな田舎に居たらランカーにもなれないし、注目もされ────。

 だからか。
 そもそも注目されたくないから。
 だから田舎に居たのか。

 僕とは理由が違うけど、目立ちたくないのは一緒か。
 人がいいことに漬け込んでいた僕みたいな最低な人間とは違うんだろうけど。

「人目につかないためだな」

「自分もそれっすね」

「私も」

「……そっか。どうする?」

 僕が問いただすと少し悩んでいたみたい。
 ここの環境を手放すのも少し抵抗がある。
 せっかく過ごしやすくなったのに。

 でも、Dランクダンジョンを潜って素材を集めて生活する安定した暮らしは細々としたものだ。
 稼ぐには迷京都を目指すのが常識となっている。

「行くか。シェアルーム借りれば行けるだろ」

「いいっすねぇ! 賛成っす!」

「私も…………行く……かな」

 奈々は最近変なんだ。
 何だか上の空って感じなんだよな。

「奈々、大丈夫?」

「う、うん! 大丈夫だよー!? あー! 楽しみだなぁー」

 僕達のパーティーとしての資金は実は百万を超える。
 それも動画がバズったのと素材の買取額が高いということが要因としてはある。

「住むの何処がいいかなぁ」

「迷京都だったら四殻しかく位が良いんじゃねぇか?」

 ここで軽く迷京都の造りについて説明をするね。

一殻いっかく
 S級ダンジョンがあるエリア。
 このエリアにはA級以上の探索者しか入ることは出来ない。
 魔物がダンジョンから出た時のことも考え、大きな壁で覆われているのだ。
 固いコンクリートで作られたビルが建ち並ぶ。
 そのビルの上層階にしか飲食店はない。
 これも安全のため。

二殻にかく
 Aランクダンジョンがあるエリア。
 このエリアにはB級以上の探索者しか入れない。
 ここも壁で覆われている。
 店はシャッターで閉じられていて、探索者カードをかざすと開く仕組みになっている。

三殻さんかく
 Bランクダンジョンがあるエリア。
 フェンスで囲われているエリアになり、ここまで来るとようやく店が普通になる。
 ただし、店員はCランク以上の探索者並に戦闘できないとダメ。

四殻しかく
 C、Dランクダンジョンがあるエリア。
 普通に繁華街がある。
 ここは自由に人が行き来できる。
 なので、住宅街やマンションも多く建ち並ぶ。

外殻がいかく
 一般の人の居住エリアとなっている。
 だいたい四殻で働いている人が多い。

 ていう感じなんだ。

「そうだね。そこで賃貸の物件を探そう」

 少し探しだすと色々な物件がある。
 けど、お金はあるから新しくて綺麗なところを選ぶ。
 部屋はLDK以外に四部屋欲しいよね。

 そうなってくると、必然的にマンションになるんだよね。
 ま、それでもいいか。

「あっ! ここなんてどうかな? 割と安いんじゃない?」

「おぉー。一人五万って感じだな。いいんじゃねぇか? 安い方だろ?」

「だね。求めているものが4LDK以上だからね」

 そう。理想が高いから。

「じゃあ、もう電子契約しちゃうね」

「おう。頼むわ」

 賢人がいいって言うからもう契約しちゃおう。
 奈々と猛はこだわりは無さそうだったからいいでしょ。

 賢人が一番うるさいんだから。
 汚いだの古いだの。

「よしっ! じゃぁ、住むところが決まったから、新幹線のチケットを買って今週末には行くよ!」

「おう! 荷物まとめて準備だな!」

「私も今のアパート解約しなきゃ!」

「自分も片付けなきゃっすね……あっ、片付けと言えば……」

 みんなの視線が僕に刺さる。
 分かってるよ。
 僕のスキルが最適だよね。

「みんなの家にお邪魔して荷物をスキルでしまって行こうか」

「わー! 助かるー!」

 一番喜んでいるのは奈々。
 奈々の部屋……散らかってそう。
 どうしよう。

「収斗、お願いね?」

 上目遣いでお願いしてくる。
 それは反則ではないだろうか。

 従わざるを得ないのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

処理中です...