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17.出立
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出立の準備を終えた俺達はギルドにその事を報告しに来ていた。
「アンさん、私達この街を出て王都を目指すことにしました! 竜の鱗を加工できる職人を探すつもりです!」
「そうなのねぇ。寂しくなるわぁ。あっ! ギルドカード貸してくれる? この前、盗賊の懸賞金払うの忘れてたのよ。ごめんね?」
「えっ? 懸賞金?」
「そう。賞金首だったみたいよ? 倒した盗賊。凄いわねぇ」
えっ?
アイツら賞金首だったの?
あんなに呆気なかったのにな。
「すみません。知らなかったです」
「いいのよ。こっちの落ち度だから。盗賊団に金貨五十枚だったのよ。ちょっとまっててね」
そういうとアンさんは奥に消えていった。
五十枚?
大金だな!
やったな! ミリア!
「これで……食事は外食しても大丈夫だし。遠出前に食料を買っておこう。一々狩った肉を食べなくてもいいなんて……幸せ」
ミリアの目から小さな雫が頬をつたった。
そんなに嬉しいか。
肉もいいじゃないか。
俺食えないけど。骨だから。
「お待たせ。はい! 金貨五十枚ねぇ」
「ありがとうございます! はい。ナイル」
そのまま俺に袋を渡してくる。
おられが持っていた方が安全だということだろうが。良いのかそれで?
「じゃあ、私たちは行きます!」
「うん! 気が向いたら戻ってきてよ?」
「……はい。気が向いたら」
ミリアは曖昧に微笑むとカウンターに背を向けて出口に向かった。
「おい! テイマー」
ガッチリとした冒険者に行く手を阻まれる。
はぁ。まだ俺達に手を出そうって言う奴がいるのか。学習能力がないこったなぁ。
剣を構えようと────
「ありがとう! この街を救ってくれて! そっちのスケルトンも!」
「「「ありがとう!」」」
前にいた冒険者達皆が頭を下げた。
これまでの分の謝罪も含まれていたのかもしれない。でも、ミリアはスンッとしていた。
「私は、私のやりたい様にやっただけですから」
そう言って冒険者の間をかき分けて出口を出た。俺はその後を追う。
カッコイイじゃん。ミリア。
「ふふふっ。見直した? あぁー。でも、なんかスッキリした。お礼を言われるなんて思ってなかったから」
俺もだ。また絡まれるのかと思ったからな。
「だよねぇ」
そんな話をしながら食料を買って回って準備完了。
街の門をくぐると、広大な草原が広がっていた。王都はどっちだ?
「んーとねぇ、東が隣国だから、西かな?」
なんか、そんなんで大丈夫か?
「どうにか、なるなる!」
心配だなぁ。
そう言いながらも後をついて行くんだけどな。
街道を進むことにした。
その方が魔物は出にくいらしいからだ。
ここから1ヶ月もかかる。
気長に行こう。
「ねぇ、ナイルはさ、前世でも旅とかしたの?」
あぁ。したさ。それこそ、魔王を討伐するような旅もしたな。
「魔王かぁ。大きく出たね。この世界では勇者しか倒せないって言われてるよ?」
はははっ。
そりゃそうだろうな。
前世でもそうだったぞ?
ただな、勇者と一緒について行ってたんだ。
「ふぅーん。勇者って強いの?」
そうだなぁ。
言うなれば、あれは理不尽だ。
「理不尽?」
そう。絶対敵わない物を持っている。
それが勇者だ。
「へぇ。剣聖でもダメなの?」
剣だけなら勝てるぞ。
ただな。スキルも混じえると絶対勝てない。
「ふぅーん。そういうことかぁ。さすが勇者ってことねぇ」
まぁ、そういう事だな。
肉体があった頃が懐かしいなぁ。
「そっかぁ。肉体欲しい?」
そりゃあな。俺も美味いもんを味わいたいし、酒も飲みたいし。
「そうだよねぇ。なんか、損してるよね? そのからだ」
んー。でもなぁ。疲れないしなぁ。
そういう面では凄い便利なんだけどな。
ただ、骨……だからな。
「うん。スケルトンってだけで恐がられたりもしそうだもんね。せっかくナイル優しいのに……」
面と向かってそう言われるとなんか照れるな。
「ふふふっ。また赤くなって────」
ミリア下がれ!
手を引っ張ってミリアを引き寄せる。
横を矢が通り過ぎた。
盗賊か?
矢が飛んできた方をむくとワラワラとゴブリンが歩いてくる。はぁ。ゴブリンか。こういう拓けた所のゴブリンって矢も使うんだな。
矢は厄介だ。
ミリア、これもっててくれ。
「うん! わかった!」
背に背負っていた竜の鱗をミリアに渡す。
それを盾にしていれば被害が行くことは無いだろう。
ゴブリン目掛けて駆ける。
ストロング流剣術 幻剣術
「カタタ(現《うつつ》)」
残像を残して前のゴブリンが攻撃している隙に後ろに抜ける。そして、弓を持っていたゴブリンを斬り捨てる。
剣と棍棒を持っているゴブリンに再び肉薄する。
ストロング流剣術 抜剣術
「カタカタ(皇《すめらぎ》)」
二体を同時に横一閃する。
倒れたところも見ずに違うゴブリンに肉薄する。
ストロング流剣術 幻剣術
「カタタ(現《うつつ》)」
二体のゴブリンの後ろを取り一体の首を刈る。
そして、最後の一体の目の前で大上段に剣を構える。
ストロング流剣術 剛剣術
「カタカタ(覡《かんなぎ》)」
ズドンッッッ
真っ二つになって地に伏す。
ピカッと体が光った。
レベルが上がったようだ。
ミリアの元へ戻る。
ミリア? 俺のレベルっていくつなんだ?
「んー? ちょっと待ってねぇ」
そう言いながらウインドウを操作する。
「今はぁ、あっ! 結構高いね! 32だって!」
ふぅーん。全然だな。
そういや、スキル獲得してないな?
時間見て獲ろう。
「そうだね!」
ミリアとの旅路はまだ始まったばかりだ。
「アンさん、私達この街を出て王都を目指すことにしました! 竜の鱗を加工できる職人を探すつもりです!」
「そうなのねぇ。寂しくなるわぁ。あっ! ギルドカード貸してくれる? この前、盗賊の懸賞金払うの忘れてたのよ。ごめんね?」
「えっ? 懸賞金?」
「そう。賞金首だったみたいよ? 倒した盗賊。凄いわねぇ」
えっ?
アイツら賞金首だったの?
あんなに呆気なかったのにな。
「すみません。知らなかったです」
「いいのよ。こっちの落ち度だから。盗賊団に金貨五十枚だったのよ。ちょっとまっててね」
そういうとアンさんは奥に消えていった。
五十枚?
大金だな!
やったな! ミリア!
「これで……食事は外食しても大丈夫だし。遠出前に食料を買っておこう。一々狩った肉を食べなくてもいいなんて……幸せ」
ミリアの目から小さな雫が頬をつたった。
そんなに嬉しいか。
肉もいいじゃないか。
俺食えないけど。骨だから。
「お待たせ。はい! 金貨五十枚ねぇ」
「ありがとうございます! はい。ナイル」
そのまま俺に袋を渡してくる。
おられが持っていた方が安全だということだろうが。良いのかそれで?
「じゃあ、私たちは行きます!」
「うん! 気が向いたら戻ってきてよ?」
「……はい。気が向いたら」
ミリアは曖昧に微笑むとカウンターに背を向けて出口に向かった。
「おい! テイマー」
ガッチリとした冒険者に行く手を阻まれる。
はぁ。まだ俺達に手を出そうって言う奴がいるのか。学習能力がないこったなぁ。
剣を構えようと────
「ありがとう! この街を救ってくれて! そっちのスケルトンも!」
「「「ありがとう!」」」
前にいた冒険者達皆が頭を下げた。
これまでの分の謝罪も含まれていたのかもしれない。でも、ミリアはスンッとしていた。
「私は、私のやりたい様にやっただけですから」
そう言って冒険者の間をかき分けて出口を出た。俺はその後を追う。
カッコイイじゃん。ミリア。
「ふふふっ。見直した? あぁー。でも、なんかスッキリした。お礼を言われるなんて思ってなかったから」
俺もだ。また絡まれるのかと思ったからな。
「だよねぇ」
そんな話をしながら食料を買って回って準備完了。
街の門をくぐると、広大な草原が広がっていた。王都はどっちだ?
「んーとねぇ、東が隣国だから、西かな?」
なんか、そんなんで大丈夫か?
「どうにか、なるなる!」
心配だなぁ。
そう言いながらも後をついて行くんだけどな。
街道を進むことにした。
その方が魔物は出にくいらしいからだ。
ここから1ヶ月もかかる。
気長に行こう。
「ねぇ、ナイルはさ、前世でも旅とかしたの?」
あぁ。したさ。それこそ、魔王を討伐するような旅もしたな。
「魔王かぁ。大きく出たね。この世界では勇者しか倒せないって言われてるよ?」
はははっ。
そりゃそうだろうな。
前世でもそうだったぞ?
ただな、勇者と一緒について行ってたんだ。
「ふぅーん。勇者って強いの?」
そうだなぁ。
言うなれば、あれは理不尽だ。
「理不尽?」
そう。絶対敵わない物を持っている。
それが勇者だ。
「へぇ。剣聖でもダメなの?」
剣だけなら勝てるぞ。
ただな。スキルも混じえると絶対勝てない。
「ふぅーん。そういうことかぁ。さすが勇者ってことねぇ」
まぁ、そういう事だな。
肉体があった頃が懐かしいなぁ。
「そっかぁ。肉体欲しい?」
そりゃあな。俺も美味いもんを味わいたいし、酒も飲みたいし。
「そうだよねぇ。なんか、損してるよね? そのからだ」
んー。でもなぁ。疲れないしなぁ。
そういう面では凄い便利なんだけどな。
ただ、骨……だからな。
「うん。スケルトンってだけで恐がられたりもしそうだもんね。せっかくナイル優しいのに……」
面と向かってそう言われるとなんか照れるな。
「ふふふっ。また赤くなって────」
ミリア下がれ!
手を引っ張ってミリアを引き寄せる。
横を矢が通り過ぎた。
盗賊か?
矢が飛んできた方をむくとワラワラとゴブリンが歩いてくる。はぁ。ゴブリンか。こういう拓けた所のゴブリンって矢も使うんだな。
矢は厄介だ。
ミリア、これもっててくれ。
「うん! わかった!」
背に背負っていた竜の鱗をミリアに渡す。
それを盾にしていれば被害が行くことは無いだろう。
ゴブリン目掛けて駆ける。
ストロング流剣術 幻剣術
「カタタ(現《うつつ》)」
残像を残して前のゴブリンが攻撃している隙に後ろに抜ける。そして、弓を持っていたゴブリンを斬り捨てる。
剣と棍棒を持っているゴブリンに再び肉薄する。
ストロング流剣術 抜剣術
「カタカタ(皇《すめらぎ》)」
二体を同時に横一閃する。
倒れたところも見ずに違うゴブリンに肉薄する。
ストロング流剣術 幻剣術
「カタタ(現《うつつ》)」
二体のゴブリンの後ろを取り一体の首を刈る。
そして、最後の一体の目の前で大上段に剣を構える。
ストロング流剣術 剛剣術
「カタカタ(覡《かんなぎ》)」
ズドンッッッ
真っ二つになって地に伏す。
ピカッと体が光った。
レベルが上がったようだ。
ミリアの元へ戻る。
ミリア? 俺のレベルっていくつなんだ?
「んー? ちょっと待ってねぇ」
そう言いながらウインドウを操作する。
「今はぁ、あっ! 結構高いね! 32だって!」
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