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39.竜の谷
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意識が戻った俺は少し進むと、竜の谷のそばまで来ていることに気がついた。
『ここは……』
目の前は崖になっており、対岸までは確認できるがかなり距離がある。
崖は一応人が来ることを想定しているのだろう。下りれるように降りていく道が出来ている。
下を見下ろすと底が見えないくらい深い。
ゆっくりと下におりて行く。
あの時のファイヤードラゴンの親子は元気だろうか。少し進化について知ってたら聞きたいものだな。
底の方が近づいてくると、だんだんと全容が見えてきた。崖には大きな穴が空いていて、その中に竜達が寝ているようだ。
その光景はさながら、カプセルホテルのようであった。俺の歩く音に少しのドラゴン達が反応して起き上がった。
「ガルルガルガルルァ?(人間が何の用だ?)」
そう声をかけていたのは緑の鱗の竜であった。
フードを外す。
すると、目を見張って身を引いた。
『俺はスケルトンです。ファイヤードラゴンの友人親子に会いに来ました』
「グルグルアグルルルアグルルルルァ!?(スケルトン風情が友人だとぉ!?)」
「グアア! グルルアグルルルル!(おい! 私の友人だ!)」
後ろから一回り大きいファイヤードラゴンが姿を現した。
すると、頭を下げてどこかに飛び立っていく。
「グルルルア。グルルルア?(久しいな。娘はどうした?)」
『それが、人間に殺されました』
「グルル。グルルルア……グルルグルルア?(そうか。それで一人で……何が聞きたい?)」
『進化についてなんです。俺はある人に進化する時にマスターを生き返らせることができるかもしれないと聞きました。今はそれを信じて行動しています。しかし、確実ではないんです。何か知っていることがあれば教えて欲しいんです』
それから、ミリアに対しての思いと絶対に生き返らせるという意志をファイヤードラゴンに伝えた。
「グルルルルア……(そういえば……)」
そこからファイヤードラゴンは昔聞いた竜騎士の話をしてくれた。
その人間の竜騎士と竜はとても仲が良く色んなところに暴動を鎮圧したり小競り合いを収めたりしていたそうだ。
そんな時、人の悪意でその竜騎士は罠に嵌められて死罪になったんだそうだ。その竜は竜騎士の形見のペンダントを持っていて、怒りのあまり人間の国を一つ滅ぼしたそうだ。
その際にレベルが上がり、進化の条件を満たしたらしい。そして、ペンダントが光り輝き竜騎士は復活したんだとか。
なにか特殊なペンダントだったのかどうかは分からないが、昔にそういう話を聞いたことがあるとの事。
やはり進化の過程で何かが起きそうだということは分かった。それだけで十分だろう。
『ありがとうございます。今度は、ミリアも連れてきます!』
「グルア。グルルルル(あぁ。待ってるよ)」
ファイヤードラゴンに見送られながら崖を登り始めたその時だった。
空から黒い竜が突然襲いかかってきた。
後ろに何かが乗っている。
咄嗟に太刀を抜き放ち防いだが、流石は竜。攻撃が重い。
「グルルルア! グルルグルルルルアアア!(貴様ァ! 私の客人だぞ!)」
ファイヤードラゴンが割って入るが。それもお構い無しにブレスの動作に入る。
口に黒い闇を溜めている。
『正気じゃない! よけろ!』
俺も必死に崖を下りる。
下で戦わないと足場が悪い。
ドオォォォンッッ
後ろを振り返ると崖に穴が空いている。
相当な威力のようだ。
黒い竜は何かに操られている?
「グルルルァ!(くらえ!)」
ファイヤードラゴンも炎のブレスで応戦する。
だが、ヒラリと飛んで躱された。
俺は後ろに乗っているのをどうにかしよう。
ファイヤードラゴンが気をひいている隙に後ろに回り込んで背中に飛び乗る。
そのまま駆け上がって斬る。
それはいきなりこちらを振り返ってナイフでガードした。
コイツ……!?
物だと思っていたのはローブを被った人で、目に傷のある男だった。
俺の事を始末しに来たのか?
そいつは、有難い!
我流 刀術
『鬼灯《ほおずき》』
切っ先の狙いを定め、手前に引き絞った大太刀を全部の力を乗せて突き出す。
「くっ!」
咄嗟に避けたようだが、左腕を斬りさいた。
ナイフで胸目掛けて突いてくる。
俺は微動だにせずその攻撃を受けた。
ガジルさんの作ってくれたこの皮鎧はワイバーンの皮を使っているのだが、普段の皮鎧と違い二重構造になっているのだ。
その辺のナイフでは切れるはずがない。
ミリアはこのナイフで死んでしまった。
ズバンッ
太刀を縦に振りナイフを斬った。
鋼鉄であろうとこの太刀は斬り裂くことができるようだ。
だが、その男は諦めず胸元からまたナイフを出して襲ってきた。今度は両手に持っている。
いつの間にか左腕は血が止まっている。
回復魔法か?
だが、動きがぎこちない。
腕に力を入れ、筋肉で止血しているようだ。
そんな事しなくても大丈夫だぞ?
今地獄に落としてやるからな。
我流 刀術
『金剛纂《やつで》』
そいつを中心に八本の斬撃が放たれる。
「ぐあっ!」
腕からも足からも血が流れている。
ミリアは毒で死んだ。
さぞ辛かっただろう。
今仇をとる!
俺の胸からの青い炎の魔力を剣に巡らせる。すると、剣から灼熱の炎が噴き出した。これは魔力伝導率の高さとファイヤードラゴンの鱗から作ったからできた副産物だろう。
我流 刀術
『焔一閃《ほむらいっせん》』
ズバァァァァンッッ
その炎の斬撃は男を斬り裂き、黒い竜の首をも真っ二つに斬り裂いた。
炎に包まれた男と竜は俺の目の前で火達磨となって地獄に落ちた。
『ここは……』
目の前は崖になっており、対岸までは確認できるがかなり距離がある。
崖は一応人が来ることを想定しているのだろう。下りれるように降りていく道が出来ている。
下を見下ろすと底が見えないくらい深い。
ゆっくりと下におりて行く。
あの時のファイヤードラゴンの親子は元気だろうか。少し進化について知ってたら聞きたいものだな。
底の方が近づいてくると、だんだんと全容が見えてきた。崖には大きな穴が空いていて、その中に竜達が寝ているようだ。
その光景はさながら、カプセルホテルのようであった。俺の歩く音に少しのドラゴン達が反応して起き上がった。
「ガルルガルガルルァ?(人間が何の用だ?)」
そう声をかけていたのは緑の鱗の竜であった。
フードを外す。
すると、目を見張って身を引いた。
『俺はスケルトンです。ファイヤードラゴンの友人親子に会いに来ました』
「グルグルアグルルルアグルルルルァ!?(スケルトン風情が友人だとぉ!?)」
「グアア! グルルアグルルルル!(おい! 私の友人だ!)」
後ろから一回り大きいファイヤードラゴンが姿を現した。
すると、頭を下げてどこかに飛び立っていく。
「グルルルア。グルルルア?(久しいな。娘はどうした?)」
『それが、人間に殺されました』
「グルル。グルルルア……グルルグルルア?(そうか。それで一人で……何が聞きたい?)」
『進化についてなんです。俺はある人に進化する時にマスターを生き返らせることができるかもしれないと聞きました。今はそれを信じて行動しています。しかし、確実ではないんです。何か知っていることがあれば教えて欲しいんです』
それから、ミリアに対しての思いと絶対に生き返らせるという意志をファイヤードラゴンに伝えた。
「グルルルルア……(そういえば……)」
そこからファイヤードラゴンは昔聞いた竜騎士の話をしてくれた。
その人間の竜騎士と竜はとても仲が良く色んなところに暴動を鎮圧したり小競り合いを収めたりしていたそうだ。
そんな時、人の悪意でその竜騎士は罠に嵌められて死罪になったんだそうだ。その竜は竜騎士の形見のペンダントを持っていて、怒りのあまり人間の国を一つ滅ぼしたそうだ。
その際にレベルが上がり、進化の条件を満たしたらしい。そして、ペンダントが光り輝き竜騎士は復活したんだとか。
なにか特殊なペンダントだったのかどうかは分からないが、昔にそういう話を聞いたことがあるとの事。
やはり進化の過程で何かが起きそうだということは分かった。それだけで十分だろう。
『ありがとうございます。今度は、ミリアも連れてきます!』
「グルア。グルルルル(あぁ。待ってるよ)」
ファイヤードラゴンに見送られながら崖を登り始めたその時だった。
空から黒い竜が突然襲いかかってきた。
後ろに何かが乗っている。
咄嗟に太刀を抜き放ち防いだが、流石は竜。攻撃が重い。
「グルルルア! グルルグルルルルアアア!(貴様ァ! 私の客人だぞ!)」
ファイヤードラゴンが割って入るが。それもお構い無しにブレスの動作に入る。
口に黒い闇を溜めている。
『正気じゃない! よけろ!』
俺も必死に崖を下りる。
下で戦わないと足場が悪い。
ドオォォォンッッ
後ろを振り返ると崖に穴が空いている。
相当な威力のようだ。
黒い竜は何かに操られている?
「グルルルァ!(くらえ!)」
ファイヤードラゴンも炎のブレスで応戦する。
だが、ヒラリと飛んで躱された。
俺は後ろに乗っているのをどうにかしよう。
ファイヤードラゴンが気をひいている隙に後ろに回り込んで背中に飛び乗る。
そのまま駆け上がって斬る。
それはいきなりこちらを振り返ってナイフでガードした。
コイツ……!?
物だと思っていたのはローブを被った人で、目に傷のある男だった。
俺の事を始末しに来たのか?
そいつは、有難い!
我流 刀術
『鬼灯《ほおずき》』
切っ先の狙いを定め、手前に引き絞った大太刀を全部の力を乗せて突き出す。
「くっ!」
咄嗟に避けたようだが、左腕を斬りさいた。
ナイフで胸目掛けて突いてくる。
俺は微動だにせずその攻撃を受けた。
ガジルさんの作ってくれたこの皮鎧はワイバーンの皮を使っているのだが、普段の皮鎧と違い二重構造になっているのだ。
その辺のナイフでは切れるはずがない。
ミリアはこのナイフで死んでしまった。
ズバンッ
太刀を縦に振りナイフを斬った。
鋼鉄であろうとこの太刀は斬り裂くことができるようだ。
だが、その男は諦めず胸元からまたナイフを出して襲ってきた。今度は両手に持っている。
いつの間にか左腕は血が止まっている。
回復魔法か?
だが、動きがぎこちない。
腕に力を入れ、筋肉で止血しているようだ。
そんな事しなくても大丈夫だぞ?
今地獄に落としてやるからな。
我流 刀術
『金剛纂《やつで》』
そいつを中心に八本の斬撃が放たれる。
「ぐあっ!」
腕からも足からも血が流れている。
ミリアは毒で死んだ。
さぞ辛かっただろう。
今仇をとる!
俺の胸からの青い炎の魔力を剣に巡らせる。すると、剣から灼熱の炎が噴き出した。これは魔力伝導率の高さとファイヤードラゴンの鱗から作ったからできた副産物だろう。
我流 刀術
『焔一閃《ほむらいっせん》』
ズバァァァァンッッ
その炎の斬撃は男を斬り裂き、黒い竜の首をも真っ二つに斬り裂いた。
炎に包まれた男と竜は俺の目の前で火達磨となって地獄に落ちた。
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