元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる

ゆる弥

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48.グンガさんと一戦

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「その太刀は飾りじゃねぇよな? 斬りあおうぜ?」

『どうしたんです?』

「ワシも実は太刀を嗜むんじゃよ。一応流派もあってな」

『それは興味深いですねぇ』

 グンガさんは立ち上がると木刀を二本とって一本を俺に渡してきた。

「リーチはちと違うが勘弁してくれ。その大太刀とは斬り合えばこちらの太刀がダメになるだろう」

『わかりました。是非』

 俺は立ち上がるとグンガさんと一緒に外に出た。家の前で向かい合うと少し距離をとる。

「ではのぉ。やるか。来て良いぞ?」

 こちらに先に良いぞと言われたのは前世を含めて一体何年ぶりだろうか?
 俺は自分がそういう事はあっても、言われることなんぞまず無かったからなぁ。

『では、本気で行きます』

 我流 刀術
『竜胆《りんどう》』

 縮地で肉薄し、胴への横薙ぎの一撃を放つ。
 元々隙はなかった。流石は流派のある太刀術を名乗るだけはある。

 俺の一撃はフワリと当てられた木刀に受け流された。なんとか体制を崩さないように踏ん張る。

 我流 刀術
『暁《あかつき》』

 下に向いてしまった体を今度は上に翻して切り上げの一撃を放つ。

「むっ!」

 咄嗟にバックステップで避けられた。
 やはり、動きが只者ではない。
 だが、逃がす気は無い。

 再び縮地で肉薄すると、木刀を引き絞った。

 我流 刀術
『鬼灯《ほうずき》』

 渾身の突きを放つ。

「ぐっ!」

 俺の突きは頬を掠めた。

「ハッハッハッ! やるのぉ。これはどうじゃ?」

 グンガさんは木刀を自然とダランと垂らす。

 なにか来る!

「ドラゴニック流 奥義」

 凄まじい刀圧だ。

「八岐大蛇《やまたのおろち》」

 俺は対抗するように。

 刀を振るった。

 我流 刀術
『金剛纂《やつで》』

 二人の八つの斬撃は交錯し、やがて俺の咲かせた八つの斬撃は、八つの龍に飲み込まれた。

 気がついた時には仰向けに倒れていた。

『ははははははっ! あー! 久々に負けた! 楽しいなぁ!』

 俺は前世でも負け無しだったのだが、こんな所に俺より強い人がいるとは。俺の刀術は我流ゆえに奥義までは昇華させることができていない。

 敗因といえばそれだろう。
 剣術のストロング流ならどうか分からんが。

「お前さん只者じゃねぇな?」

『一応、剣聖と呼ばれた事があります』

「ハッハッハッ! やはりか。太刀は我流か?」

『そうです。剣術は流派があったんですが』

「なるほど。ワシもな刀聖《とうせい》と呼ばれておったこともある。そうじゃ。ナイルとやら、ワシの流派を継がんか?」

『いいんですか?』

「どうせ今はワシしか名乗るものはいない。それでいいと思っておったが。こんな機会を神様が与えてくださるとはな」

 グンガさんの瞳が少しキラキラと光を放っている。すこし鼻をすすりながら。歳をとるといけねぇな。と言って後ろを向いた。

『是非、俺に流派を伝授してください!』

「基本は教える。後は奥義も見せたから、自分で辿り着くんじゃ。ナイルなら出来るじゃろう」

『はい!』

 そこからはグンガさんの指導が始まった。基本的な動作から技の一つ一つを俺の中に植え付けてくれる。

 そんな中放ったらかしにしていたミリアは家の前に座って嬉しそうに目を垂らしながらこっちを眺めている。

 俺が学んでいる姿をみて楽しいのかは分からないが、自分は楽しい。今まで関わってこなかった流派のことが知れるし技が知れる。こんなに楽しいことは無い。

 一通りの事を教えてもらい、今日も泊めてもらう事になった。
 ミリアは流石にまた酒を飲むことはなく。
 普通に水魔法で出した水を飲む。

「グビッ……はぁぁ。今日の酒は一段と美味いな」

 諦めていた流派を継ぐことができてなんだか晴れやかな顔になっている。やはり、プレッシャーみたいなものがあったんだろあうか。

『そういえば、ゴッツさんとクーガさんって知ってますか?』

「んあぁ? あーーなんかそんなやつらと会ったような気がするのぉ」

『未開拓地帯にいるお爺さんに戦い方を教えてもらったと言っていました。グンガさんのことでは無いですか?』

 少しの沈黙の後、目を見開いて手を叩いた。

「おぉー! おったおった! あの素手で戦っておったやつじゃな? 鬼を連れていたな」

『今はクーガさん、進化して剣を持っていますよ?』

「ほぉ。次に会ったらまた来るように伝えてくれ。ワシはまだ教えたいことがあるとな」

 グンガさんは目を少し垂らしながら、頬を緩めてそう言った。

「はぁーい! 私も聞いてもいいですかぁ!?」

「あぁ。えぇぞぉ。なんじゃ?」

「グンガさんって、流派って何個を修めてるんですか?」

『ミリア? 流派ってのは一子相伝で────』

「何個じゃろうのぉ。十は超えておると思うぞ?」

『えっ!?』

 ミリアの問いにグンガさんはそう答えた。その目は悪戯っぽく好奇心に溢れていた。

「ミリアと言ったか、なぜそう思ったんじゃ?」

「私、色んな人の動きを後ろから見ていることが多くて、ナイルは剣士の動きですけど、グンガさんは戦士でもあり、魔法士でもあり。ちょっとなんて言っていいかわかりませんが、得体がしれない感じでした」

 視線を左右に揺らしながらそういうミリアを発言の後は、少しの沈黙が部屋を支配した。

「ダーッハッハッハッ! 面白い! ミリアとやら、少し俺が稽古をつけてやるわい! また明日な!」

 そこからまた一日、ミリアも戦い方教室を受けることになり、出発が遅れたのであった。
 なんと、体術に関してかなり戦えるようになっていることに驚いたのであった。
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