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69.二度目の奇跡
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『トウカ!?』
「キャァァァ! トウカちゃん!?」
ハッコツ伯爵家の居たあたりがポッカリ穴が空いている。
よく見ると咄嗟に避けたのかホワイトさんとシロンさんと執事のハクトさんは無事のようだ。トウカを探すが見当たらない。
ホワイトさんが瓦礫の中から何かを抱き上げて抱きしめている。
その体にある胸の炎は────。
『ウオオォォォォォォォォォォ!』
命の炎を燃やして魔力を高める。
体から力が溢れてくる。
これは怒りのエネルギーなんだろう。
『ドラゴニック流 太刀術 火竜《かりゅう》の爪撃《そうげき》』
放たれた太刀から炎の斬撃。
ドラゴンの胸には三本の傷をつけた。
「グルルルオォォォ」
暴れ回るドラゴンのシッポが襲ってきた。
────ズシンッ
咄嗟に太刀の腹で受ける。
かなりの距離吹き飛ばされた。
滑りながらもなんとか踏ん張る。
今ならなんでも出来る気がする。
高揚する気持ちに魔力がのる。
────ゴォウッ
俺の体は黄色い炎で燃えていた。
瞬時にドラゴンの目の前に肉薄する。
今ならできる気がした。
『ドラゴニック流 太刀術 奥義 八岐大蛇《やまたのおろち》』
八つの大太刀による斬撃が竜となりドラゴンに迫る。
一つは腕に食らいつき。
一つは足に食らいつき。
一つは首に食らいついた。
そして、最後の斬撃はコアを食い破った。
体から光が漲ってくる。
今はお構い無しに客席へと駆ける。
『トウカ!』
ホワイトさんが抱きしめていたのはトウカの体であった。
胸の炎が消えている。
『トウカはコアが消滅してしまった。トウカはもう……』
まただ。
また俺が守りたかった人が。
どうにかできないのか。
コアが戻れば生き返るのか?
そう考えたら、俺にならできるんじゃないかと思ってしまう。
「トウカちゃん!? 死んじゃったの!?」
『コアが消滅したらしい』
「……トウカちゃん」
ミリアはボロボロと涙を流してトウカの体を抱きしめていた。
『個体名ナイルのレベル100到達を確認しました。進化を試みます』
『それは後だ。いや、他人を生き返らせる事は出来るか?』
『個体名ナイルと繋がりがない者には何もできません』
なら、無理やり生き返らせる。
俺はトウカの体を抱えると自分の胸の青い炎を握りしめた。
体とコアを結んでいる魔力を無理やり引きちぎりながら、ゆっくりとトウカの胸に移動させる。
それだけではトウカの体と結びつかない。
『つながれぇぇ』
残りの繋がりを元に魔力を爆発させる。
────暗転
────個体名ナイルの進化をキャンセル
────完了
────蘇生を開始
────魔力が不足
────必要な魔力を確認
────蘇生を再度実行
────成功
「────ル! ナイル!」
俺の視界に飛び込んできたのは目を泣き腫らしたミリアの顔。
そんな顔してどうしたんだよ。
何泣いてんだ?
次に横から顔を出したのはトウカだ。
『なんて無茶をしたの!? 自分のコアを移すなんて! それでナイルが死んじゃったら私喜べないわよ!?』
こちらも涙を流しているように錯覚する。
『トウカが無事でよかったぜ』
『格好つけてるんじゃないわよ!』
胸を叩かれる。
トントン叩いていたのがドンドンになり、バシンバシンになる。
『ホントに……生きててよかった……』
『あぁ。でも、なんで?』
時を少し遡る。
「ナイル!」
ナイルが動かなくなった。
動揺のあまり頭が働かない。
「ナイル!」
『テイムモンスターが進化状態で消失が確認されました。進化エネルギーを消費して蘇生しますか?』
「する!」
ナイルを光が包む。
しかし、点滅を始めた。
『蘇生に必要な魔力が不足しています』
「私のありったけの魔力! もってけー!」
ナイルを包んでいた光が強くなる。
そしてナイルの胸には炎が再び灯った。
その炎は青ではなくミリアの髪とおなじピンク色であった。
しばらくすると目を開けた。
「って感じだったんだよ? ホントに死んじゃうかと思ったんだからね!」
頬を膨らませるミリア。
『ありがとな』
「一度死んじゃったから、またテイムしなおしだよぉ」
『そっか。すまん』
「もぉぉ。じゃあ、また私と旅してね? テイム!」
こうして俺はまたミリアにテイムされたのであった。
その後、竜の素材は所有権が俺になり、売却した金貨を大量にゲット出来たのであった。
ハッコツ家の人達に非常に感謝され、一財産を築いた。そして、武闘大会実質優勝の二人には賞金が出た上に子爵という地位まで貰ったのである。
二人は人族とスケルトン族の最強夫婦と持て囃さて有名になったんだとか。
片方骨だけどね。
俺が進化できたのかどうかは、この二人のみぞ知る。
――――――――――――――――――――――――
あとがき
ここまで、ナイルとミリアの物語を読んでいただいてありがとうございます!
骨のナイル、美少女のミリアという異色の二人のラブコメ風なお話はいかがでしたでしょうか!?
楽しんで頂けていたら嬉しいです。
宜しければ、別の作品も読んでみてください!
ありがとうございました!
「キャァァァ! トウカちゃん!?」
ハッコツ伯爵家の居たあたりがポッカリ穴が空いている。
よく見ると咄嗟に避けたのかホワイトさんとシロンさんと執事のハクトさんは無事のようだ。トウカを探すが見当たらない。
ホワイトさんが瓦礫の中から何かを抱き上げて抱きしめている。
その体にある胸の炎は────。
『ウオオォォォォォォォォォォ!』
命の炎を燃やして魔力を高める。
体から力が溢れてくる。
これは怒りのエネルギーなんだろう。
『ドラゴニック流 太刀術 火竜《かりゅう》の爪撃《そうげき》』
放たれた太刀から炎の斬撃。
ドラゴンの胸には三本の傷をつけた。
「グルルルオォォォ」
暴れ回るドラゴンのシッポが襲ってきた。
────ズシンッ
咄嗟に太刀の腹で受ける。
かなりの距離吹き飛ばされた。
滑りながらもなんとか踏ん張る。
今ならなんでも出来る気がする。
高揚する気持ちに魔力がのる。
────ゴォウッ
俺の体は黄色い炎で燃えていた。
瞬時にドラゴンの目の前に肉薄する。
今ならできる気がした。
『ドラゴニック流 太刀術 奥義 八岐大蛇《やまたのおろち》』
八つの大太刀による斬撃が竜となりドラゴンに迫る。
一つは腕に食らいつき。
一つは足に食らいつき。
一つは首に食らいついた。
そして、最後の斬撃はコアを食い破った。
体から光が漲ってくる。
今はお構い無しに客席へと駆ける。
『トウカ!』
ホワイトさんが抱きしめていたのはトウカの体であった。
胸の炎が消えている。
『トウカはコアが消滅してしまった。トウカはもう……』
まただ。
また俺が守りたかった人が。
どうにかできないのか。
コアが戻れば生き返るのか?
そう考えたら、俺にならできるんじゃないかと思ってしまう。
「トウカちゃん!? 死んじゃったの!?」
『コアが消滅したらしい』
「……トウカちゃん」
ミリアはボロボロと涙を流してトウカの体を抱きしめていた。
『個体名ナイルのレベル100到達を確認しました。進化を試みます』
『それは後だ。いや、他人を生き返らせる事は出来るか?』
『個体名ナイルと繋がりがない者には何もできません』
なら、無理やり生き返らせる。
俺はトウカの体を抱えると自分の胸の青い炎を握りしめた。
体とコアを結んでいる魔力を無理やり引きちぎりながら、ゆっくりとトウカの胸に移動させる。
それだけではトウカの体と結びつかない。
『つながれぇぇ』
残りの繋がりを元に魔力を爆発させる。
────暗転
────個体名ナイルの進化をキャンセル
────完了
────蘇生を開始
────魔力が不足
────必要な魔力を確認
────蘇生を再度実行
────成功
「────ル! ナイル!」
俺の視界に飛び込んできたのは目を泣き腫らしたミリアの顔。
そんな顔してどうしたんだよ。
何泣いてんだ?
次に横から顔を出したのはトウカだ。
『なんて無茶をしたの!? 自分のコアを移すなんて! それでナイルが死んじゃったら私喜べないわよ!?』
こちらも涙を流しているように錯覚する。
『トウカが無事でよかったぜ』
『格好つけてるんじゃないわよ!』
胸を叩かれる。
トントン叩いていたのがドンドンになり、バシンバシンになる。
『ホントに……生きててよかった……』
『あぁ。でも、なんで?』
時を少し遡る。
「ナイル!」
ナイルが動かなくなった。
動揺のあまり頭が働かない。
「ナイル!」
『テイムモンスターが進化状態で消失が確認されました。進化エネルギーを消費して蘇生しますか?』
「する!」
ナイルを光が包む。
しかし、点滅を始めた。
『蘇生に必要な魔力が不足しています』
「私のありったけの魔力! もってけー!」
ナイルを包んでいた光が強くなる。
そしてナイルの胸には炎が再び灯った。
その炎は青ではなくミリアの髪とおなじピンク色であった。
しばらくすると目を開けた。
「って感じだったんだよ? ホントに死んじゃうかと思ったんだからね!」
頬を膨らませるミリア。
『ありがとな』
「一度死んじゃったから、またテイムしなおしだよぉ」
『そっか。すまん』
「もぉぉ。じゃあ、また私と旅してね? テイム!」
こうして俺はまたミリアにテイムされたのであった。
その後、竜の素材は所有権が俺になり、売却した金貨を大量にゲット出来たのであった。
ハッコツ家の人達に非常に感謝され、一財産を築いた。そして、武闘大会実質優勝の二人には賞金が出た上に子爵という地位まで貰ったのである。
二人は人族とスケルトン族の最強夫婦と持て囃さて有名になったんだとか。
片方骨だけどね。
俺が進化できたのかどうかは、この二人のみぞ知る。
――――――――――――――――――――――――
あとがき
ここまで、ナイルとミリアの物語を読んでいただいてありがとうございます!
骨のナイル、美少女のミリアという異色の二人のラブコメ風なお話はいかがでしたでしょうか!?
楽しんで頂けていたら嬉しいです。
宜しければ、別の作品も読んでみてください!
ありがとうございました!
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