浅葱色浪漫

彼方

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序章 暗黒

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 時は幕末

 一軒の小さな道場があった

 少人数ながらも、子ども達は剣術を学び、町は生き生きとしていた

 跡取りになる一人の子どもがいた
 幼い頃から剣術を学び  齢十五という若さで道場に通う門人を皆倒していった

 名を   真田 サナダ ハルカといった



 ある晩の事だった 
 突然の 道場破り


 両親と共に遼も必死で闘った



 しかし 圧倒的な人数の差で 両親は目の前で惨殺された
 目の前には数人の男達


 彼等にこの身を切り裂かれるくらいなら

 遼は一息吐き 彼等をまっすぐに見据え 自らの腹に刀をたてた



 しかし

 目の前の男は突如として血を吐き出し その場に倒れこんだ

 あっという間の出来事だった



「……大丈夫か」

 道場の角に追いやられ座り込んでいた遼に手を差し出す男

「生き延びたのはお主だけか……すまない」

 まだかすかに震えている遼は、そう言って去ろうとした男に必死で叫んだ


「あっありがとうございます! 名前……名前を教えて下さい」

「…… 斎藤サイトウ ハジメ






 その後   その子どもは姿を消した

 通っていた門人達もその子供を捜し出そうとしたが見つからなかった



 桜のつぼみが膨らみ始めた 文久三年三月末の事だった
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