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8.小鳥遊の迷い
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だからといって、本社の経営者一族の御曹司でもある小鳥遊を大人の遊びと呼ばれる風俗やキャバクラといった社交場に連れて行くのは気が引ける。
手っ取り早くみるくみくから興味を無くさせるには現実の女性にも話上手で美人はたくさんいると教えてやることだが、それは最初からできなかった。
なにより御厨が嫌だった。
たとえ遊びとはいえ他の女性に鼻の下を伸ばすような場所に行ってほしくなかったのだ。
「……変、だよな」
「えっ?」
小鳥遊がぽそりとつぶやいた。慌てて顔を上げるといつも自信満々に人を見下す小鳥遊がひどく落ち込んでいるではないか。
「いい歳してvにハマってるなんて、変だって自覚はあるんだよ。俺だって」
あるんだ。
声にこそ出さなかったが小鳥遊のようなvとは無縁そうに見える大人がこれほどハマっているというのは、他人からしたらおかしいと言われてもおかしくはない。むしろvチューバーもそれにハマっているオタクのことも鼻で笑っていそうなのに。
「…………」
「御厨?」
御厨も本当に小鳥遊にみるくみくへの興味をなくしてほしいなら「それは変だ」と答えたらいいのだ。そうしたら小鳥遊はみるくみくではなく別のことに興味を持つだろうし、そのほうが小鳥遊のためにもなる。
だけど、みるくみくも御厨もそういう「嘘」を良しとしなかった。
「いいんじゃないですか?」
「え……?」
「大人がvにハマってなにが悪いんです?好きなら好きで追いかけたらいいですよ。誰にも迷惑かけませんし」
「御厨……」
「小鳥遊さんが好きなら好きでいいんですよ」
「そっか……」
「趣味で迷惑かけるわけじゃありませんからね」
タイミングよく運ばれてきたサラダを受け取って、何やら放心している小鳥遊のぶんを取り分けて渡してやった。
「御厨」
「なんです?」
「ありがとう、な……感謝している」
「サラダくらいで大袈裟ですよ」
「いや、そうじゃなくて……どこかれ俺はみるくみくを好きな自分に負い目を感じていたのかもしれない」
「なんで感じるんです?小鳥遊さんが好きなみるくみくは知られて恥ずかしいような存在なんですか?」
「あ……あぁ!そうだな!」
憑き物が落ちたようにすっきりとした顔をして、小鳥遊は次に運ばれてきたピザを切り分け御厨に渡した。
メニューブックに書かれた値段を何度も見比べて追加注文する小鳥遊がおもしろくて上司に向かって声をあげて笑ってしまったが小鳥遊は何も言わず一緒に笑っていた。
手っ取り早くみるくみくから興味を無くさせるには現実の女性にも話上手で美人はたくさんいると教えてやることだが、それは最初からできなかった。
なにより御厨が嫌だった。
たとえ遊びとはいえ他の女性に鼻の下を伸ばすような場所に行ってほしくなかったのだ。
「……変、だよな」
「えっ?」
小鳥遊がぽそりとつぶやいた。慌てて顔を上げるといつも自信満々に人を見下す小鳥遊がひどく落ち込んでいるではないか。
「いい歳してvにハマってるなんて、変だって自覚はあるんだよ。俺だって」
あるんだ。
声にこそ出さなかったが小鳥遊のようなvとは無縁そうに見える大人がこれほどハマっているというのは、他人からしたらおかしいと言われてもおかしくはない。むしろvチューバーもそれにハマっているオタクのことも鼻で笑っていそうなのに。
「…………」
「御厨?」
御厨も本当に小鳥遊にみるくみくへの興味をなくしてほしいなら「それは変だ」と答えたらいいのだ。そうしたら小鳥遊はみるくみくではなく別のことに興味を持つだろうし、そのほうが小鳥遊のためにもなる。
だけど、みるくみくも御厨もそういう「嘘」を良しとしなかった。
「いいんじゃないですか?」
「え……?」
「大人がvにハマってなにが悪いんです?好きなら好きで追いかけたらいいですよ。誰にも迷惑かけませんし」
「御厨……」
「小鳥遊さんが好きなら好きでいいんですよ」
「そっか……」
「趣味で迷惑かけるわけじゃありませんからね」
タイミングよく運ばれてきたサラダを受け取って、何やら放心している小鳥遊のぶんを取り分けて渡してやった。
「御厨」
「なんです?」
「ありがとう、な……感謝している」
「サラダくらいで大袈裟ですよ」
「いや、そうじゃなくて……どこかれ俺はみるくみくを好きな自分に負い目を感じていたのかもしれない」
「なんで感じるんです?小鳥遊さんが好きなみるくみくは知られて恥ずかしいような存在なんですか?」
「あ……あぁ!そうだな!」
憑き物が落ちたようにすっきりとした顔をして、小鳥遊は次に運ばれてきたピザを切り分け御厨に渡した。
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