43 / 79
その竜。伝説だとしても怯えています
しおりを挟む
ピュルルルゥゥ~と不思議な音が響く山頂。
まるで火山の火口のように直径十五メートル程、大きく口を広げる縦穴は山頂の風が吹き込む事で時折音を鳴らす。
「ちょっと。これ、聞いてないんだけど?」
「ルシアン様……間違いないんですか?」
ルカとベネットは二人で抱き合うようにして、その大穴を覗き青ざめていた。
底は見えない。
そして、その穴の外周に沿って階段とは言えないが、ゴツゴツとした岩が段を作り。少しずつ螺旋状に縦穴を下りて行く道を作っている。
少しずつ。少しずつ。グルグルと底の見えない闇へと下りて行けそうではある。
「この底に泉がある。足元に気を付けながら下へ行く。作戦はそれだけだ」
「作戦でも何でもないわよそんなの」
「私、聞いた事あります。この山に住む最古のドラゴンの伝説。この大陸で一番古いドラゴンが住んで居たって!ここの事じゃないんですか?」
「さすがベネットは地元だけあるな。その通りだよ。でも、今は何も住み着いてない筈だ」
ドラゴンは警戒心が強く、同じ巣穴に長居しないのだ。
ゲームの設定ではここの巣穴のドラゴンも、既に引っ越ししている筈だ。
だがドラゴンがいないといっても、足場は僅か。
踏み外せば、まっ逆さまに落ちる。
いくら下に泉があるとはいえ、底も見えないような高さから落ちたら、例え水面であっても潰れて死ぬだろう。
「本当に飛竜はもう大丈夫なのか?」
「えぇ。待っててもいつになるか分からないし、ありがとうございます。後は僕達は泉から別のルートで出るので」
「別のルート?」
誰しもが不思議な表情と不安な表情を混在させる中、俺は一人笑顔でおじいさんにお礼を言う。
そんな俺につられてルカやベネットも、とりあえずおじいさんに手を振って飛竜を見送った。
俺を先頭に、ルカ、ベネットの順番で下へと下っていく。
左手を壁に触れたまま時計回りに、慎重に足元を見て下りて行く。
少しでも目線を右にやると、大穴の中心の闇が果てしなく見えて高所恐怖症でなくとも足がすくむ。
しかも時折不規則な風が舞うから余計だった。
「まさかこれ、山の下まで続いてるんじゃないでしょうね?」
「心配しなくても半分もないよ」
「それでも底が見えませんよ。ってかルシアン様は本当によく知ってますよね?」
また余計な知識を披露してしまった。そろそろ言い訳も難しくなってくる所だ。と、そんな事を思っていると、風の流れが変わった。
慌てて上を見ると何かがスゴい速度で落ちてくる。
大きな縦穴の幅いっぱいいっぱいの巨体。それは、もの凄い速度で俺達の目の前を通り過ぎて下へと向かった。
少し遅れて凄い風圧が襲い、壁沿いの足場の悪い所を下りていた俺達は危うく落ちそうになった。
確かに俺には見えた。
俺達には気付いていない感じだったが、その姿。それは、今はこの巣穴にいる筈のない主。
ドラゴンに違いなかった。
「次も気付かれないとは限らない。出来るだけ気配を絶つんだ」
「ちょっと!ルシアン。ドラゴンは、いないって言わなかった?」
「例外もあるって事だよ」
「とにかく、急いだ方がよいですね」
急ごうにも足場は悪いのだが。
しかし、次にドラゴンが上昇してくる前に、ある程度下には行きたい所だった。
二十分程下り、漸く底が見え始めた辺りでドラゴンは再び動き出した。今度は巣穴を出る為の離陸。
再び激しい風が下から上に吹き荒れた。
足場を踏み外さないように堪える。ふと上を見るとルカとベネットが必死でスカートを押さえていた。
(ルカはピンクでベネットは、くまさんかぁ……)
そこまで細かいキャラデザをしたつもりは無いが、これはこれでなかなか得した気分になった。
しかし、そんな事も言ってられない。上昇するドラゴンと確実に目が合ったのだ。
空高く舞い上がるかと思われたドラゴンは、急に動きを変え。高度を落としてきた。
「不味い。ルカ、剣に魔法をかけてくれ!」
「え!?わ、分かった」
ドラゴンが下りて来て俺達を睨む。
その口が大きく開かれた。
ここで襲われては、下に落ちるかドラゴンに喰われるかの二択になってしまう。
(黙って喰われてたまるか!)
喰いにきた時が勝負だ。そこで斬らなければやられるのだから。そして、俺の剣に赤い光が宿った。獣には炎。ルカの判断は悪くない。
俺はドラゴンを睨み付けて剣を構えた。
すると、ドラゴンは急に首を退いた。まるで、何かに驚くような仕草に見える。慌てる様に翼をバタバタ激しく動かし、急に俺達から逃げるように、空へと向かい縦穴を上昇していったのだ。
「あれ?行っちゃいましたね」
「どうなってんだ?とにかく、今のうちに急いで下へ行こう!」
俺達は、このチャンスを逃すまいと急いで下へと向かった。
螺旋状に下りてるので、底が見えてからもそこそこ時間はかかったが、ドラゴンに襲われる前に底に辿り着く事が出来た。
丁度穴の中心に大きな泉がある。
ルカとベネットは素早く泉の水を汲んで、俺に尋ねる。
「ところで、ここからどうやって帰るの?またアレを上るの?」
「え~!私、もう怖いんですけどぉ」
「心配するな。ここからは………」
帰る方法を説明してると、もの凄い音が聞こえて全員が耳を塞いだ。ドラゴンの鳴き声。
そう。再びドラゴンは巣穴に帰ってきた。
もの凄い速度でそれは下りてくると、泉の上にザバンっと着々する。
溢れる泉の水で俺達は足元をすくわれ、全員が転倒した。
「ルカ。もう一度頼む!」
それは勿論、既に散ってしまった、剣への魔法をもう一度かけろとの意味だ。
地にシッカリ足が着いているなら戦える。ドラゴン相手でも何とかなる気がしていた。
そしてルカの魔法で再び俺の剣が赤く光った。
しかし――――
またもドラゴンは、慌てて逃げるように飛び去ったのだ。そしてルカが思い出した様に叫んだ。
「あー!あのドラゴン。カーラの滝の洞窟にいたやつじゃないの!?」
そういえば第一の泉の洞窟に、巣を作ってたドラゴンがいたのを俺は思い出していた。
まるで火山の火口のように直径十五メートル程、大きく口を広げる縦穴は山頂の風が吹き込む事で時折音を鳴らす。
「ちょっと。これ、聞いてないんだけど?」
「ルシアン様……間違いないんですか?」
ルカとベネットは二人で抱き合うようにして、その大穴を覗き青ざめていた。
底は見えない。
そして、その穴の外周に沿って階段とは言えないが、ゴツゴツとした岩が段を作り。少しずつ螺旋状に縦穴を下りて行く道を作っている。
少しずつ。少しずつ。グルグルと底の見えない闇へと下りて行けそうではある。
「この底に泉がある。足元に気を付けながら下へ行く。作戦はそれだけだ」
「作戦でも何でもないわよそんなの」
「私、聞いた事あります。この山に住む最古のドラゴンの伝説。この大陸で一番古いドラゴンが住んで居たって!ここの事じゃないんですか?」
「さすがベネットは地元だけあるな。その通りだよ。でも、今は何も住み着いてない筈だ」
ドラゴンは警戒心が強く、同じ巣穴に長居しないのだ。
ゲームの設定ではここの巣穴のドラゴンも、既に引っ越ししている筈だ。
だがドラゴンがいないといっても、足場は僅か。
踏み外せば、まっ逆さまに落ちる。
いくら下に泉があるとはいえ、底も見えないような高さから落ちたら、例え水面であっても潰れて死ぬだろう。
「本当に飛竜はもう大丈夫なのか?」
「えぇ。待っててもいつになるか分からないし、ありがとうございます。後は僕達は泉から別のルートで出るので」
「別のルート?」
誰しもが不思議な表情と不安な表情を混在させる中、俺は一人笑顔でおじいさんにお礼を言う。
そんな俺につられてルカやベネットも、とりあえずおじいさんに手を振って飛竜を見送った。
俺を先頭に、ルカ、ベネットの順番で下へと下っていく。
左手を壁に触れたまま時計回りに、慎重に足元を見て下りて行く。
少しでも目線を右にやると、大穴の中心の闇が果てしなく見えて高所恐怖症でなくとも足がすくむ。
しかも時折不規則な風が舞うから余計だった。
「まさかこれ、山の下まで続いてるんじゃないでしょうね?」
「心配しなくても半分もないよ」
「それでも底が見えませんよ。ってかルシアン様は本当によく知ってますよね?」
また余計な知識を披露してしまった。そろそろ言い訳も難しくなってくる所だ。と、そんな事を思っていると、風の流れが変わった。
慌てて上を見ると何かがスゴい速度で落ちてくる。
大きな縦穴の幅いっぱいいっぱいの巨体。それは、もの凄い速度で俺達の目の前を通り過ぎて下へと向かった。
少し遅れて凄い風圧が襲い、壁沿いの足場の悪い所を下りていた俺達は危うく落ちそうになった。
確かに俺には見えた。
俺達には気付いていない感じだったが、その姿。それは、今はこの巣穴にいる筈のない主。
ドラゴンに違いなかった。
「次も気付かれないとは限らない。出来るだけ気配を絶つんだ」
「ちょっと!ルシアン。ドラゴンは、いないって言わなかった?」
「例外もあるって事だよ」
「とにかく、急いだ方がよいですね」
急ごうにも足場は悪いのだが。
しかし、次にドラゴンが上昇してくる前に、ある程度下には行きたい所だった。
二十分程下り、漸く底が見え始めた辺りでドラゴンは再び動き出した。今度は巣穴を出る為の離陸。
再び激しい風が下から上に吹き荒れた。
足場を踏み外さないように堪える。ふと上を見るとルカとベネットが必死でスカートを押さえていた。
(ルカはピンクでベネットは、くまさんかぁ……)
そこまで細かいキャラデザをしたつもりは無いが、これはこれでなかなか得した気分になった。
しかし、そんな事も言ってられない。上昇するドラゴンと確実に目が合ったのだ。
空高く舞い上がるかと思われたドラゴンは、急に動きを変え。高度を落としてきた。
「不味い。ルカ、剣に魔法をかけてくれ!」
「え!?わ、分かった」
ドラゴンが下りて来て俺達を睨む。
その口が大きく開かれた。
ここで襲われては、下に落ちるかドラゴンに喰われるかの二択になってしまう。
(黙って喰われてたまるか!)
喰いにきた時が勝負だ。そこで斬らなければやられるのだから。そして、俺の剣に赤い光が宿った。獣には炎。ルカの判断は悪くない。
俺はドラゴンを睨み付けて剣を構えた。
すると、ドラゴンは急に首を退いた。まるで、何かに驚くような仕草に見える。慌てる様に翼をバタバタ激しく動かし、急に俺達から逃げるように、空へと向かい縦穴を上昇していったのだ。
「あれ?行っちゃいましたね」
「どうなってんだ?とにかく、今のうちに急いで下へ行こう!」
俺達は、このチャンスを逃すまいと急いで下へと向かった。
螺旋状に下りてるので、底が見えてからもそこそこ時間はかかったが、ドラゴンに襲われる前に底に辿り着く事が出来た。
丁度穴の中心に大きな泉がある。
ルカとベネットは素早く泉の水を汲んで、俺に尋ねる。
「ところで、ここからどうやって帰るの?またアレを上るの?」
「え~!私、もう怖いんですけどぉ」
「心配するな。ここからは………」
帰る方法を説明してると、もの凄い音が聞こえて全員が耳を塞いだ。ドラゴンの鳴き声。
そう。再びドラゴンは巣穴に帰ってきた。
もの凄い速度でそれは下りてくると、泉の上にザバンっと着々する。
溢れる泉の水で俺達は足元をすくわれ、全員が転倒した。
「ルカ。もう一度頼む!」
それは勿論、既に散ってしまった、剣への魔法をもう一度かけろとの意味だ。
地にシッカリ足が着いているなら戦える。ドラゴン相手でも何とかなる気がしていた。
そしてルカの魔法で再び俺の剣が赤く光った。
しかし――――
またもドラゴンは、慌てて逃げるように飛び去ったのだ。そしてルカが思い出した様に叫んだ。
「あー!あのドラゴン。カーラの滝の洞窟にいたやつじゃないの!?」
そういえば第一の泉の洞窟に、巣を作ってたドラゴンがいたのを俺は思い出していた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜
咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。
そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。
「アランくん。今日も来てくれたのね」
そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。
そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。
「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」
と相談すれば、
「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。
そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。
興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。
ようやく俺は気づいたんだ。
リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる