奈央くんと瑞希さん

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奈央くんと瑞希さん

奈央くんと瑞希さん④※

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「あっ、あっ、あぁっ、」

 ──突かれる度に奈央から漏れる嬌声と、パンパンと肌と肌がぶつかる音が響く、リビング。

 約一時間前、ソファに押し倒されすぐさまチョーカーを着けただけの裸にされた奈央だったが、しかしそれからじっくりと全身を愛撫され、堪らず『いれてください』と何度も何度も泣きじゃくりながら懇願し、ようやく挿れてもらえた、つい先程。
 奈央の蕾から溢れ出る愛液と瑞希の怒張した陰茎から滴る先走りでソファはぐしょぐしょに濡れ、けれどもそんな事すら考えられる隙もなく、奈央は瑞希が与えてくれる快楽に呑まれ、喘ぐしか術がなかった。

「は、あっ、あっ! みずきさ、っ、きもち、ああっ」

 動きづらいソファの上で、上から押さえ込まれるよう抱かれている奈央が、瑞希の腰に足を巻き付け必死にしがみつきながら、喘ぐ。
 瑞希の太く硬く長い陰茎で奈央の蕾はめいっぱい開かれ、その満腹感に奈央はトんでしまいそうになりながら、涙や涎や汗でぐしゃぐしゃな顔のまま、瑞希を見つめた。

「みず、きさっ、あっ」
「っ、う、なお、なお……、可愛い……、なお」

 快感に眉間に皺を寄せ、小さく呻き声をあげながら瑞希が奈央の名前を呼ぶ。
 こめかみから垂れる汗が光る光景がなんとも色っぽく、しっとりと汗ばんだ肌に浮かぶ瑞希の綺麗なタトゥーは、右の耳裏から肩、そして胸元までツルのように様々な方向へ伸びた模様が広がっており、やはりとても美しく。そして胸の真ん中には翼を広げた猛々しい鷹が描かれ、左右の厚い胸筋が動くたびその翼がはためいているように見えるデザインはとても素晴らしく、そして全てバランス良く配置されたタトゥーの圧巻さに、奈央はキュンキュンと胸を疼かせ、目をハートにした。

「はぁ……、あっ、んっ、みずきさ、かっこい、い、っ、すきっ、あっ、あぁっ!」

 ソファの肘置きを掴んでいた手を離し、快感で滲む瞳のまま、瑞希の首へと手を回す奈央。
 ぐぽっぐぽっと繋がった部分からはしたない音が響き、奈央の蕾から溢れ落ちてゆく、泡立った白濁。
 何度も何度も揺さぶられながら奥深くまで突かれ、前立腺をゴリゴリと擦られ、頭が真っ白になりそうなほどの快楽に、奈央が全身を震わせる。
 そして、瑞希もまた内へ内へと誘うよう蠢く奈央の肉壁に息を呑み、腰が砕けてしまいそうなほどの気持ちよさに、唇を噛み締めた。

「あっ、あっ、あっ」

 バチュンッと強く腰をぶつけられるたび、奈央の口からあがる嬌声。
 普段とても穏やかで優しい瑞希だが、的確に気持ち良い所を突いてくる容赦のない少しだけ荒々しいセックスは男らしく、奈央はもう快感やら興奮やらトキメキやらでぐちゃぐちゃな思考のまま、瑞希の背中に無意識に爪を立てた。

「あぅっ、はっ、あっ、みずき、さっ、あっ、も、だめ、いくっ、いく、ぅ……!」

 奈央の奥の奥、自身では触れた事すらない場所まで深く突き刺され、目の前がチカチカと瞬き、頭のなかが真っ白になってゆく。
 強すぎる快楽に丸まる足先がビクビクッと震え、涙や汗、口の端から垂れた唾液でぐちゃぐちゃなまま、ひぅっと声にならない声を漏らす奈央。
 そして、我慢できず二人の腹の間でピクピクと揺れていた可愛らしい陰茎からこぷりと精液を吐き出せば、その瞬間、収縮しうねる中の熱さに瑞希も気持ちよさに表情を歪めた。

「──っ、ぁぁっ……」
「ッ、はっ、なおっ……」

 射精後の気持ちよさに、ぐったりとした奈央が荒い息を吐く。
 そんな奈央を落ち着かせようと瑞希が優しい手つきで奈央の濡れた前髪を梳き、しかしその刺激に奈央は目を閉じたまま、ヒクンと体を震わせてしまった。

「……ぁ、ん……」
「……まだ凄く中がうねってるね……」
「ぁっ、やぁ……いわない、れ……」
「なんで。気持ち良いよ」

 ちゅ、ちゅ。と奈央の可愛らしいおでこにキスをしながら、瑞希が微笑む。
 その穏やかな顔は優しく、しかし濡れた前髪や汗で光る顎先がなんとも魅力的で、奈央はまたしてもトキメキで目をハートにし、無意識にキュッと蕾を収縮させた。

「っ、」
「あっ、あ、」

 敏感なままの奈央が喘ぎ声を漏らし、未だ熱く硬い瑞希の陰茎の形を、まざまざと思い知らされる。
 疼く奥が瑞希の精子が欲しいと貪欲に蠢き、奈央はたった今射精したにも関わらず、もっと欲しい。と言わんばかりに瑞希の腰に回した足に力を込めた。

「っあ、みず、き、さん……、瑞希さんの結び目がほしい……、ください……。結んで……、俺の中で出して……」

 だなんてふしだらにねだる奈央。
 アルファの陰茎は特殊で、確率高く孕ませられるようにと陰茎の根元が膨らみロックの役割をするノットというのができ、そして大量の精子を流し込んだあと、その後数分から数十分はそのノットが萎まず抜けないようになっている。
 それをオメガは結び目と呼ぶ事があり、奈央はまさか自分がアルファの結び目を欲しがるとは思ってもいなかったが、瑞希のだと思えば欲情しどうしようもないほど欲しくなってしまうと、瞳を潤ませた。
 そして昨夜何度も咥え込まされ、そのいっそ暴力的な快感をもう知ってしまっている奈央は、結び目をもらえなければ狂ってしまう。と泣きそうになりながら、腰を揺らした。

「おねがい、みずきさ……、むすんで……、おねがい、……おれのアルファ……」
「っ!」
「っあ!?」

 奈央の必死のおねだりに瑞希が息を飲んだあと、しかし勢い良く奈央の蕾から自身を抜き取る。
 ズリュッと抜け出てゆくその感覚に奈央が声を漏らしたが、しかし泣き言を漏らす間もなく体をひっくり返されうつ伏せにされた奈央は、腰を強く握られそのまま何も言わず深くまでズドンッと一気に陰茎を押し込まれ、目を見開いた。

「ッ──!?」

 いきなりお腹いっぱいになるまで瑞希の陰茎を押し込まれ、その満腹感とチカチカと瞬く快楽に、奈央が声にならぬ声をあげる。
 ブルブルと震える体はその衝撃で甘イキした事を告げ、奈央が目を白黒としたまま口の端から垂れた唾液でソファを汚したが、しかし瑞希は容赦なく奈央の体を貫くだけだった。

「ひっ、う、あっあっ、あぁっ!」

 後ろからどちゅどちゅと深く突かれ、奈央の口から断続的な喘ぎが溢れてゆく。
 先程までも激しかったが、それとは比にもならぬほどの瑞希の本気のピストンに、浮く奈央の体。

「なおっ、なお……、」

 奈央の、“おれのアルファ”という言葉が瑞希の理性を焼ききったのか、更に陰茎を硬く大きくし深く深く、瑞希が奈央の奥を穿つ。
 その荒々しさにしかし奈央はされるがまま、従順なオメガのよう全てを受け入れた。

「あっ、あっ、あぁっ、あっ!」
「なお、かわいい……。なお、愛してる」

 熱に浮かされた声で奈央への愛を呟き、奈央の肩に顔を埋める瑞希。
 そのまま舐めたりきつく吸ったり、そして歯を立ててくる瑞希に奈央は飽和する快楽に泣きじゃくりながらも、多幸感に身を浸した。

「なおっ、」
「ひぅっ、あっ、あっ、ぃっ、ぁんっ」

 段々と瑞希の根元が膨らみ始め、ギチギチと音がしそうなほど奈央の縁が広がってゆく。
 それが苦しく痛いのにとても気持ち良く、昨夜体を拓かれたばかりだというのに奈央はもう瑞希無しでは満足出来ない体になってしまったと自覚しながら、恍惚の表情を浮かべた。

 ビリビリと全身を走る、快感。

 荒い息づかいと低く喉を鳴らす音が耳の後ろから聞こえ、瑞希が自分の体で気持ち良くなってくれている嬉しさが快感へと繋がり、何度目か知らぬ絶頂を迎えそうだと奈央が体を強張らせる。
 もう全身が気持ち良く、恥ずかしいのに抑えきれず口から濁音混じりの汚い喘ぎ声が落ち、奈央は無意識の内に精液を出さずに後孔だけで絶頂を迎えてしまった。

「あッ──ぅっ……!!」
「っ、はっ、うっ……、」

 蠢く肉壁が熱く絡みつき、瑞希も小さく喘ぎ声を漏らしては一際強く奈央の奥へと自身を叩き付ける。

 バチュンッ! と響く音と、奈央の悲鳴のような喘ぎ声。

 奈央の壊れてしまいそうなほど華奢な体が震え、朱色に染まる肌に散らばる数多の痕がどれだけ自分が無体を強いているかを表しており、申し訳ないと思いながらもひどく美しいと快感で満たされた頭でぼんやりと考えながら、瑞希は奈央の最奥へ、精液を吐き出した。

「っ、ぐっ……う、」
「あっ! は、あぁぁ……!」


 自身を飲み込む奈央の蕾からとろとろと溢れ出ている愛液の多さと、噎せ返るような甘い匂い。
 それにクラクラと目眩がし、もう限界まで広がっている奈央の中にそれでも瑞希が本能のまま、自身を深くぐりぐりと押し込む。
 その荒々しさにノットでめいっぱい広がった縁が痛んだが、ドクドクと注ぎ込まれる瑞希の精液で体の奥底まで満たされる唯一無二の気持ちよさが堪らなく、奈央はビクビクッと体を痙攣させた。

「ぁ、ん……、は、あっ……」
「はっ……、なお、だいじょうぶ?」

 奈央に覆い被さったまま、荒い息を吐きながらも瑞希が理性を取り戻し始めたのか、柔らかな声で奈央を気遣う。
 その優しさに奈央は未だ快感に飲まれたまま、それでも微笑みながら頷いた。

「は、い……。んっ、ぁ、きもち、い……です……」

 瑞希の精液をもらえて嬉しい。と言わんばかりのとろんと蕩けた声で呟く奈央。
 それに瑞希が息を飲み、しかし奈央を自身のモノだと主張する内なるアルファによって、ビュル、と奈央の奥に更なる精液を何度も何度も注ぎ込んでしまったのだった。




 
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