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5章~豪華客船爆破テロ事件~
豪華客船爆破テロ事件②
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穏やかに揺られながら遊覧していく。
二日目の朝が来た。
優しく流れていく波と霜焼けの朝。顔を洗いぼやけた視界をすっきりさせる。
優雅に朝ご飯を頂く。バターを付けて頂くクロワッサン。新鮮なレタスや輪切りオニオン。ウインナー、ハム、スクランブルエッグがご飯を進ませる。
この船には様々な施設がある。時間を潰すことは容易だった。
昼に近づき、無謀な挑戦を行った。客船クルーから「何言ってるんすか」と聞く耳を持たれない。当たり前だ、未来から過去に戻ってきたなんて信じる訳もないのだから。そんな彼は後に爆弾を解除するのに協力する一人であった。
「流石に、直談判は厳しいですかねぇ。」
爆弾が持ち込まれてあるなんて、他人からしたらただの戯言に過ぎない。入客の段階で厳重な警備によって持ち運ばれないようにされていたのだから尚更だ。
そこに電話が鳴る。
モタローが受話器を取った。
「何の用か分からないけど船頭デッキに来てくれだって。」
彼に付いていき、船の外にやってきた。備え付けのプールは稼働していない。一月の外のプールは絶望的に寒すぎる。吹き晒す風が寒さを与える。
船先に立つ一人の男。
和服姿の細長い男だ。サングラスをかけている。そして、近くには例の男が付いていた。
潮風に打たれながら、彼は顔だけをこっちに向けた。
「急に呼んで悪かったのぅ。」
生まれつきの鋭い瞳がチラリと見える。
彼はこちらを向き、船先の手すりに手を置いた。
「何の用事だい? いやぁ、寒いから早く終わらしたいと思ってるんだけどねぇ。」カジノでイカサマによって負けさせられたことを根に持っているのか、どこか風のように冷たい。
「実はのぅ、昨日のカジノでイカサマまでして勝たせて貰ったんよ。その理由も含めて紙に書いといたから読んでくれへんか。それと、一つ言い訳でもさせてくれへん。仕方なかったんよな。どうしても負かせなきゃあかんかったんよ。」
近づいて来て、一枚の紙を渡してきた。
その際に肩に手を置いていた。
その紙を見てはすぐに閉じる。
「ほれ、そこに大事を書いとった。上手く飲み込んでや。それと他人に見せたら混乱するんと思うで、見せん方がええで。これは忠告やなくてアドバイスやな。」
まるでヤクザみたいな出で立ちに勝手に付与される圧。その先はこのまま部屋に戻るのが以前の流れだった。だが、今回は違う風に進んでいくようで、モタローが口を開いていった。
「実は信じられないとは思うけど、《過去を変える力》で過去へと戻り未来を変えようとしている人を知っているんだ。」
肩に手を置かれた。
「そうだよね、ルイン君。」
「えぇ。そうですね。」
その流れを見て「そうやったんか」と驚きを隠せないでいる姿を見せている。
すぐに彼は簡単に笑っては素面に戻った。
「じゃあ、伝えといても簡単に飲み込んで貰えそうやなぁ。」
彼のオーラが一気に変わっていった。
「驚くことなかれ。ウチは《未来を変える力》を持っとるんや。ただ、条件があってな。ワシはその能力を扱えのぅでな。」
少し矛盾した内容に首を傾げる。
「ワシの力は配下に力を与えるっちゅう能力や。配下とするには、ちょいとワシに屈しないといけへんのよ。そんな訳で、カジノで大敗して貰う必要があった訳なんや。」
「なるほど、それでイカサマまでして勝つ必要があったのですね。能力を分け与えるために。」
「そうや。この船は大変な事が起きるんや。ワイのボディガードを勤める熊谷昌苅もワシの能力を与えられた者なんや。」
親指で指差しされた彼は軽く会釈した。やはり、無口っぽい人柄みたいで、言葉は発していない。
「して、コイツの能力は【未来を予知する力】や。遠い未来や確定しない未来程、ぼやけて曖昧になっちまうが、近い未来は簡単に予測できるんや。」
そこでようやく無口な彼が口を開いた。
低音が響く力強くも抑揚のない声だった。
「この船、爆弾が仕掛けられてて、ドカーンするかもしれない。明日、みんながパニックになってる。みんな大慌てで。壁とかに……『エメーゲンクイ?』と『ダンゲー』の文字がいっぱい出てくる。」
「そんな訳で、アンタらの力が必要なんや。アンタらの力添え次第で、爆破を防げるかも知れへんらしいからなぁ。」
「安心すると良いよ。元々、爆破テロを止める気でこの船に乗り込んでいるからね。」
「そりゃあ、頼もしいなぁ。」
少し笑みが零れているようだった。
話が一段落ついた。ここで終わりかと思いきや、まだ話したいことがあったようだ。
「実はもう一つ大事な事があるんや。」
「何だい。そろそろ寒すぎて凍えそうなんだけどなぁ。」
露骨に腕を体に擦り寄せて寒そうな演技をしている。
「理由はあれども、イカサマまでして仲間だったアンタに酷い目を合わしちまった。これで解散じゃ筋が通らへんもんな。」
彼は予め渡す予定だったのか、すっと二枚のチケットを渡してきた。
「部屋のチケットや。ワンランク、いやツーランクぐらい上の部屋を用意しとったから、明日まではゆっくりと楽しんできな。」
それはただでさえ豪遊のこの旅に、さらに金をかけたほんの少し豪華な部屋。普通に手も足も出ないはずの部屋だった。思わず「こんな豪華なものを……」と言いかけた。
「いいんや。ってか、貰っとくんやな。客船クルーにそれを持って言えば、すぐにでも変えてくれるはずや。」
「いいのかい。貰っちゃうよ。」
「こりゃあなぁ、金の話や。なあなあじゃあかんやろ。それぐらいすんのが当たり前っちゅう話やからなぁ。」
彼と、金太のボディガードはそこから去っていった。
「寒いし、早く室内に戻ろうか。」
室内へと向かう道中、気になったことを共有する。「未来で起きる壁に出てくる文字『エメーゲンクイ』と『ダンゲー』とはどのような意味なんでしょうね」と。
そのことについて全く興味がないようで「それはあんまり考える必要はないと思うよ」と返された。
エメーゲンクイ。ダンゲー。どういう意味か、頭に引っかかって取れない。
それに気付いたモタローがそれを外す。「多分、それ、緊急事態――emergency――とか、危険――danger――とか、じゃないかな。」
それを聞いて「あ!」と漏らした。そう、爆破テロが起きることを知っている二人にはもう必要ない情報だったのだ。
*
二人組みの客船クルーがすんなりと受け入れて対応する。一人は短髪の男性で社会人生活も慣れてきていそうな雰囲気がある。片方は少し色黒の男性で、社会人経験が浅そうな若者だ。
こうなることを予知していたみたいに動き出しが早い。
「お話に聞いております。お荷物をお持ち致しましょう。」キャリーケースを託す。
その二人のことを見たことがあった。爆発があった過去に置いて、共に爆弾を探した五人の内の二人だった。
先頭を歩く二人がボソボソと何かを話し始めた。若い男が同じ社員に話しかけ「やっぱりあのディーラーさんの言ってたことが本当になったじゃないっすか。やっぱり未来が見えるって本当なんすかね?」「んな訳ねぇだろ。初めから部屋を予約してただけだろ。んなことより集中しろ。客様の前だぞ。」「承知っす。」そんなコソコソ話が聞こえた。
階を跨ぎ、三階へとやって来た。
空室だった、これから二人の宿となる部屋へと入っていく。
綺麗に整備された狭い一室。されど、先程の部屋よりも充実した設備となっている。すぐそこの浴室。トイレ。手洗い場。縦にも横にも長めに作られた机。鏡台のようなものも付いており、その下にはタンス式となっている。そこに座ってメイクもできるように工夫されてある。ツインベッドはとても広くより優雅である。
もちろんこの部屋ではないものの、この部屋と同じ内装の部屋で爆弾を探したこと、そこで爆発があったことが思い出された。
荷物を出し終え、部屋へと出た。
そこに一人の女性と遭遇した。
色白のスレンダーボディ。女性にしては背が高め。スラリと伸びるワンピースが華やかさを彩っている。
彼女は会釈をして、隣の部屋へと入っていった。
「あの人、女優の結城燐音じゃないかい。」
その姿にピンときたモタローの言葉を聞いて、スマホで検索する。結城燐音、五十二歳。最近は女優活動を控えているみたいだ。同じく芸能人だった夫に先立たれ、一人残りの半生を過ごしているようだ。
また、爆弾を探すのを手伝った一人であった。
何も無い扉を見ながら、あの景色を思い返していた。
「やはり、豪華客船ともなると名のある人と出会いやすくなるのかねぇ」などと浮かれている。
その足で喫茶店のある場所へと向かった。
その道中で見た事のある制服を来た男性を見た。深緑の制服。その服にはアトムの文字があった。
「アトムの……警備員さん?」
「おや、貴方は確かモタローさんとルインさんかぁ。社長から耳にしておりますよぉ。」
語尾の長い人だった。
見た目は金髪でスッとした顔立ちでイケメンと言える分類だが、声は変にゆっくりしていて独特なため、カッコ良さを打ち消している感じを与える。
「貴方達によってぇ、怪盗エーワンの件で社長の不祥事を明らかにしたじゃないですかぁ。そのせいでツルヒグループの傘下から離脱することになったのですよぉ。それにぃ、ツルヒは警備部門を独自に作ったせいでぇ、戻る所もなくなりましたしぃ。」
「それはご愁傷さまだねぇ。」
「全く貴方らのせいじゃないですかぁ。梯子を下ろされた我々はマジで窮地に立たされてるのですからぁ。」
ゆったりとした言葉を放つ彼が続ける。「自己紹介忘れてましたねぇ。俺ぇ、こう見えて組織の幹部なんすよぉ。それだけヤバイから俺が送られたんですけどねぇ。そんな俺の名ぁ、前原雨譚って言うんですよぉ。まー、覚えといてぇ。」
独特なオーラが溢れ出ていた。
そんな彼に普通なら奇天烈な未来の事実を伝える。この船には爆弾が仕掛けられていて、後に爆破テロに合う、と。
「そんなことないじゃないですかぁ。来る時に検査されましたよねぇ? 持ち込むなんて不可能なんですよぉ。」
「もし最初に仕組まれていたとしたら可能かも知れませんよ。その爆弾に関わった人を一人知っていまるんです。これも同じ未来で見た話ですが、その人は嘴平亥という人です。知っていますか。」
少しだけ動揺した表情を見せた。
「我が社員ではあるがぁ。いーやいやぁ。もし爆弾があればすぐに気付くんだよぉ。各通路に検査機が仕掛けられてあるからぁ、危険物や薬物が通ればぁ、すぐに気付くからぁ、そんな心配ぃ、しなくていいんだよぉ。」
何ともないような顔を見せるが、汗が残っていた。しかし、これ以上は聞く耳を持たなそうだ。
「まぁ、何事も無いからぁ、楽しい旅を楽しんでなぁ。」
そのまま歩き直していった。
それを見て、二人も歩き直す。
「やはり、受け入れられないですよね。」
「そうだねぇ。まぁ、それも込みで俺たちも動かなきゃならないねぇ。」
対策はしたくとも、どうしようもならない現実。現実逃避も含めて、喫茶店でエスプレッソを口に入れた。苦い味が目を覚ましていく。
*
ついに三日目がやって来た。
午前中はソワソワしながら過ごすも何事もなかった。しかし、夕暮れ過ぎになると異変が現れた。
どうにかして対策したいが対策できない二人は船内を歩いていた。そこに深緑の制服を来た警備会社アトムの社員雨譚が慌てふためいていた。その動揺はまるで荒波に揺れているかのようだ。
「黒フード黒マスクに包まれた不審者が箱型のアタッシュケースを持ち込んだんだよぉ。その不審なケースの中に検査機が反応してさぁ、この豪華客船を丸ごと吹き飛ばす程の威力ある爆弾が入っているって出たんだよぉ。」
それを聞いた二人の客船クルーがその不審者の元へと向かう。
憔悴しきった彼が「本当なんだよぉ。見るかい、この画面」と言い、その画面を見せようとする。チラリと不審者の姿が映っていた。
それを聞いて、見て「爆弾の一件、本当でしたでしょう」と言い、客船クルーの後ろを追った。
電子版のような物が壁に、英語で緊急事態や危険という文字がデカデカと映し出されていた。それを見た人々は慌てふためいている。
怪しい人物のいる部屋は奇しくもモタロー達の部屋と同じ階にある。
階段を登った先に部屋がある。
ここまで来る間に「不審者が不審物を持ち込んだ。その不審物はこの豪華客船を丸ごと吹き飛ばす程の威力ある爆弾が入っている」という情報が既に出回り、逃げ惑う人々も出てきた。だからと言って、船のため逃げる場所なんてないのだが。
階段を急いで降りてくる一つの影。真っ黒のフードにマスク。長いボサボサの髪が目を隠している。その人物こそ爆弾を持ち込んだ不審者だった。
「ルイン君。俺は運命的に彼を追わなきゃいけないみたいなんだ。爆弾の方は任せたよ。」
そんなことを言って、不審者を追って行った。
残されたルインは階段を登っていく。
三階へと辿り着いた。
一人の女性が声を掛けてきた。すらりとした老いを感じさせない出で立ちの彼女の名は燐音。「騒がしくて外に出ましたら『爆発物が見つかった』と聞きまして。わたくしも爆発物を探すのを手伝いに行こうと思っていた所ですの。貴方もソレを探す手伝いをしにいくのですわよね?」「えぇ。」「では、わたくしもついていきますわ。少なくとも役には立って見せますわ。」
例の部屋へ二人で向かう。
部屋に辿り着くと、そこには先客クルーが二人と、カジノにいたおじいさんがいた。
そこに居合わせたのは五人。
五人で部屋の隅々を探していく。
浴室を覗く。箱型のケースが入れられそうな場所は限られているため、ここにはないと考えられた。また、船内をよく知る客船クルーが手洗い場にもないと宣言した。
「ワシは月下美家具屋の経営者――竹月や。家具のことなら任せとき。」
長めの机を調べていく。ありとあらゆる引き出しを調べていくが、めぼしい物は何も見つからなかった。引き出しの棚をとりだすも、やはり何も無い。
燐音は「ベッドが怪しいんじゃないかしら」と若いクルーと共に調べていく。しかし、布団にもそれは見当たらない。その下にもない。ましてや、ベッドの中を破いていったものの何も見つからなかった。
探している間にもそれなりに時間が経ってしまっていた。
「なんで見つからないんすかね。」
「ちっ。あぁ、うぜぇ。んなにも見つからねぇってこたぁ、きっと不審物を持って部屋を出たんだ。ここに隠されたと、はっきりとは言えねぇからなぁ。」
「マジっすか。じゃあ俺っち達がやってること意味無かったってことっすか?」
「知らねぇよ。ただ、そういう可能性があるってこった。ひとまず俺は、持ち出されていたことを考えて部屋の外を確認するわ。」
客船クルー同士の会話から、先輩と思われる男がそこから離脱した。
残された四人。以前はここでルインも離脱した。しかし、そこで爆風に巻き込まれたのだ。つまり、「僕はこの部屋にあると思うんですよ」と考えられた。
「いいや、外にあるに違いない。こんなに探してもないなら、ここにあるはずがない」と竹月。
彼はそう言いくるめて残った客船クルーに「そうっすかね」と言わせ、部屋から出させた。また、女性も外へと出させることに成功する。残されたのはルイン一人だけだった。
「アンタも早く外を探さんかい。」
強引に襟を掴まれた。
突然の出来事に扉近くへと進んでしまう。そこで振り払うことに成功した。
「何をしとるんだね。時間がないのだよ。中にはない。外を探すしかないんだ。」
「いいえ。爆弾はきっと中にあるんですよ。」
「そんなことはない。」段々と頭に血が上っている。
「実は、この未来を経験したことがあるんですよ。その時は部屋の方から爆発が起きたんです。ありえない思われると思いますが、これだけは事実なんですよ。」
「その未来での出来事は気の所為だ。まだ一回しか経験したことがないのに、よく断定できるな。」無我夢中で繰り出された言葉だろう。
それを聞いて我が物顔で踵を返す。
それを見て、ハッとした表情を浮かべていた。
「そこまで必死になって外に出そうとするのには理由があるんですよね。もしや、部屋の中にあるのでしょうかね? プレイヤーXさん。」
「知らんな。だが、もうタイムアップだ。アンタらは時間を掛けすぎてる。爆発の場所まで来てしまったからな。」口調が変わった。
彼は窓の外を見ていた。
チラリとその方向を向く。建ち並ぶビルの夜景。夜更けの中に光が目立ち初めている。建物――いや、町が近い証拠だ。
「爆弾について何か知ってるのか。答えろ、プレイヤーX!」もはや余裕はない。刻刻一刻の時間は過ぎていた。
「さぁな。そもそも教える訳ねぇだろ。」
彼はポケットに手を入れては戻した。そして、ため息を吐いていた。
「まあ、いい。もうそろそろタイムアップだ。」
ちょっとした沈黙。
そして、その後にピーという音が響いた。
目の前が真っ白の煙で覆われる。体が熱い。だが、そう感じたのも束の間、意識はそこにはなくなっていた。
突如、放たれる爆発に巻き込まれたのだ。
船は木っ端微塵となり、近くの建物を巻き込んで、夜の町に悲しい音を響かせた。その時、海は大荒れし、堤防にうち返った波が雨のように降り出していった。
*
目の前には真っ白な景色が広がっていた。茶色系の本棚が良いアクセントになっている。
手に持った光る本。
「早く爆弾を見つけなければ。しかし、何も検討がつかないね。」
そこに、椅子に座った彼女が話しかけた。
「あの人と協力し合えればいいのですけどね。」
「あの人とは……プレイヤーXのことですか?」
「はい。そう名乗ってるみたいです。協力し合えれば、きっとこの事件も何とかできるのではないかと思いますよ。」
そう言われても、プレイヤーXと協力し合える予感は一切感じなかった。
何も手応えがないまま本を開いた。
とりあえずページに手のひらを置いた。光に包まれていく。
二日目の朝が来た。
優しく流れていく波と霜焼けの朝。顔を洗いぼやけた視界をすっきりさせる。
優雅に朝ご飯を頂く。バターを付けて頂くクロワッサン。新鮮なレタスや輪切りオニオン。ウインナー、ハム、スクランブルエッグがご飯を進ませる。
この船には様々な施設がある。時間を潰すことは容易だった。
昼に近づき、無謀な挑戦を行った。客船クルーから「何言ってるんすか」と聞く耳を持たれない。当たり前だ、未来から過去に戻ってきたなんて信じる訳もないのだから。そんな彼は後に爆弾を解除するのに協力する一人であった。
「流石に、直談判は厳しいですかねぇ。」
爆弾が持ち込まれてあるなんて、他人からしたらただの戯言に過ぎない。入客の段階で厳重な警備によって持ち運ばれないようにされていたのだから尚更だ。
そこに電話が鳴る。
モタローが受話器を取った。
「何の用か分からないけど船頭デッキに来てくれだって。」
彼に付いていき、船の外にやってきた。備え付けのプールは稼働していない。一月の外のプールは絶望的に寒すぎる。吹き晒す風が寒さを与える。
船先に立つ一人の男。
和服姿の細長い男だ。サングラスをかけている。そして、近くには例の男が付いていた。
潮風に打たれながら、彼は顔だけをこっちに向けた。
「急に呼んで悪かったのぅ。」
生まれつきの鋭い瞳がチラリと見える。
彼はこちらを向き、船先の手すりに手を置いた。
「何の用事だい? いやぁ、寒いから早く終わらしたいと思ってるんだけどねぇ。」カジノでイカサマによって負けさせられたことを根に持っているのか、どこか風のように冷たい。
「実はのぅ、昨日のカジノでイカサマまでして勝たせて貰ったんよ。その理由も含めて紙に書いといたから読んでくれへんか。それと、一つ言い訳でもさせてくれへん。仕方なかったんよな。どうしても負かせなきゃあかんかったんよ。」
近づいて来て、一枚の紙を渡してきた。
その際に肩に手を置いていた。
その紙を見てはすぐに閉じる。
「ほれ、そこに大事を書いとった。上手く飲み込んでや。それと他人に見せたら混乱するんと思うで、見せん方がええで。これは忠告やなくてアドバイスやな。」
まるでヤクザみたいな出で立ちに勝手に付与される圧。その先はこのまま部屋に戻るのが以前の流れだった。だが、今回は違う風に進んでいくようで、モタローが口を開いていった。
「実は信じられないとは思うけど、《過去を変える力》で過去へと戻り未来を変えようとしている人を知っているんだ。」
肩に手を置かれた。
「そうだよね、ルイン君。」
「えぇ。そうですね。」
その流れを見て「そうやったんか」と驚きを隠せないでいる姿を見せている。
すぐに彼は簡単に笑っては素面に戻った。
「じゃあ、伝えといても簡単に飲み込んで貰えそうやなぁ。」
彼のオーラが一気に変わっていった。
「驚くことなかれ。ウチは《未来を変える力》を持っとるんや。ただ、条件があってな。ワシはその能力を扱えのぅでな。」
少し矛盾した内容に首を傾げる。
「ワシの力は配下に力を与えるっちゅう能力や。配下とするには、ちょいとワシに屈しないといけへんのよ。そんな訳で、カジノで大敗して貰う必要があった訳なんや。」
「なるほど、それでイカサマまでして勝つ必要があったのですね。能力を分け与えるために。」
「そうや。この船は大変な事が起きるんや。ワイのボディガードを勤める熊谷昌苅もワシの能力を与えられた者なんや。」
親指で指差しされた彼は軽く会釈した。やはり、無口っぽい人柄みたいで、言葉は発していない。
「して、コイツの能力は【未来を予知する力】や。遠い未来や確定しない未来程、ぼやけて曖昧になっちまうが、近い未来は簡単に予測できるんや。」
そこでようやく無口な彼が口を開いた。
低音が響く力強くも抑揚のない声だった。
「この船、爆弾が仕掛けられてて、ドカーンするかもしれない。明日、みんながパニックになってる。みんな大慌てで。壁とかに……『エメーゲンクイ?』と『ダンゲー』の文字がいっぱい出てくる。」
「そんな訳で、アンタらの力が必要なんや。アンタらの力添え次第で、爆破を防げるかも知れへんらしいからなぁ。」
「安心すると良いよ。元々、爆破テロを止める気でこの船に乗り込んでいるからね。」
「そりゃあ、頼もしいなぁ。」
少し笑みが零れているようだった。
話が一段落ついた。ここで終わりかと思いきや、まだ話したいことがあったようだ。
「実はもう一つ大事な事があるんや。」
「何だい。そろそろ寒すぎて凍えそうなんだけどなぁ。」
露骨に腕を体に擦り寄せて寒そうな演技をしている。
「理由はあれども、イカサマまでして仲間だったアンタに酷い目を合わしちまった。これで解散じゃ筋が通らへんもんな。」
彼は予め渡す予定だったのか、すっと二枚のチケットを渡してきた。
「部屋のチケットや。ワンランク、いやツーランクぐらい上の部屋を用意しとったから、明日まではゆっくりと楽しんできな。」
それはただでさえ豪遊のこの旅に、さらに金をかけたほんの少し豪華な部屋。普通に手も足も出ないはずの部屋だった。思わず「こんな豪華なものを……」と言いかけた。
「いいんや。ってか、貰っとくんやな。客船クルーにそれを持って言えば、すぐにでも変えてくれるはずや。」
「いいのかい。貰っちゃうよ。」
「こりゃあなぁ、金の話や。なあなあじゃあかんやろ。それぐらいすんのが当たり前っちゅう話やからなぁ。」
彼と、金太のボディガードはそこから去っていった。
「寒いし、早く室内に戻ろうか。」
室内へと向かう道中、気になったことを共有する。「未来で起きる壁に出てくる文字『エメーゲンクイ』と『ダンゲー』とはどのような意味なんでしょうね」と。
そのことについて全く興味がないようで「それはあんまり考える必要はないと思うよ」と返された。
エメーゲンクイ。ダンゲー。どういう意味か、頭に引っかかって取れない。
それに気付いたモタローがそれを外す。「多分、それ、緊急事態――emergency――とか、危険――danger――とか、じゃないかな。」
それを聞いて「あ!」と漏らした。そう、爆破テロが起きることを知っている二人にはもう必要ない情報だったのだ。
*
二人組みの客船クルーがすんなりと受け入れて対応する。一人は短髪の男性で社会人生活も慣れてきていそうな雰囲気がある。片方は少し色黒の男性で、社会人経験が浅そうな若者だ。
こうなることを予知していたみたいに動き出しが早い。
「お話に聞いております。お荷物をお持ち致しましょう。」キャリーケースを託す。
その二人のことを見たことがあった。爆発があった過去に置いて、共に爆弾を探した五人の内の二人だった。
先頭を歩く二人がボソボソと何かを話し始めた。若い男が同じ社員に話しかけ「やっぱりあのディーラーさんの言ってたことが本当になったじゃないっすか。やっぱり未来が見えるって本当なんすかね?」「んな訳ねぇだろ。初めから部屋を予約してただけだろ。んなことより集中しろ。客様の前だぞ。」「承知っす。」そんなコソコソ話が聞こえた。
階を跨ぎ、三階へとやって来た。
空室だった、これから二人の宿となる部屋へと入っていく。
綺麗に整備された狭い一室。されど、先程の部屋よりも充実した設備となっている。すぐそこの浴室。トイレ。手洗い場。縦にも横にも長めに作られた机。鏡台のようなものも付いており、その下にはタンス式となっている。そこに座ってメイクもできるように工夫されてある。ツインベッドはとても広くより優雅である。
もちろんこの部屋ではないものの、この部屋と同じ内装の部屋で爆弾を探したこと、そこで爆発があったことが思い出された。
荷物を出し終え、部屋へと出た。
そこに一人の女性と遭遇した。
色白のスレンダーボディ。女性にしては背が高め。スラリと伸びるワンピースが華やかさを彩っている。
彼女は会釈をして、隣の部屋へと入っていった。
「あの人、女優の結城燐音じゃないかい。」
その姿にピンときたモタローの言葉を聞いて、スマホで検索する。結城燐音、五十二歳。最近は女優活動を控えているみたいだ。同じく芸能人だった夫に先立たれ、一人残りの半生を過ごしているようだ。
また、爆弾を探すのを手伝った一人であった。
何も無い扉を見ながら、あの景色を思い返していた。
「やはり、豪華客船ともなると名のある人と出会いやすくなるのかねぇ」などと浮かれている。
その足で喫茶店のある場所へと向かった。
その道中で見た事のある制服を来た男性を見た。深緑の制服。その服にはアトムの文字があった。
「アトムの……警備員さん?」
「おや、貴方は確かモタローさんとルインさんかぁ。社長から耳にしておりますよぉ。」
語尾の長い人だった。
見た目は金髪でスッとした顔立ちでイケメンと言える分類だが、声は変にゆっくりしていて独特なため、カッコ良さを打ち消している感じを与える。
「貴方達によってぇ、怪盗エーワンの件で社長の不祥事を明らかにしたじゃないですかぁ。そのせいでツルヒグループの傘下から離脱することになったのですよぉ。それにぃ、ツルヒは警備部門を独自に作ったせいでぇ、戻る所もなくなりましたしぃ。」
「それはご愁傷さまだねぇ。」
「全く貴方らのせいじゃないですかぁ。梯子を下ろされた我々はマジで窮地に立たされてるのですからぁ。」
ゆったりとした言葉を放つ彼が続ける。「自己紹介忘れてましたねぇ。俺ぇ、こう見えて組織の幹部なんすよぉ。それだけヤバイから俺が送られたんですけどねぇ。そんな俺の名ぁ、前原雨譚って言うんですよぉ。まー、覚えといてぇ。」
独特なオーラが溢れ出ていた。
そんな彼に普通なら奇天烈な未来の事実を伝える。この船には爆弾が仕掛けられていて、後に爆破テロに合う、と。
「そんなことないじゃないですかぁ。来る時に検査されましたよねぇ? 持ち込むなんて不可能なんですよぉ。」
「もし最初に仕組まれていたとしたら可能かも知れませんよ。その爆弾に関わった人を一人知っていまるんです。これも同じ未来で見た話ですが、その人は嘴平亥という人です。知っていますか。」
少しだけ動揺した表情を見せた。
「我が社員ではあるがぁ。いーやいやぁ。もし爆弾があればすぐに気付くんだよぉ。各通路に検査機が仕掛けられてあるからぁ、危険物や薬物が通ればぁ、すぐに気付くからぁ、そんな心配ぃ、しなくていいんだよぉ。」
何ともないような顔を見せるが、汗が残っていた。しかし、これ以上は聞く耳を持たなそうだ。
「まぁ、何事も無いからぁ、楽しい旅を楽しんでなぁ。」
そのまま歩き直していった。
それを見て、二人も歩き直す。
「やはり、受け入れられないですよね。」
「そうだねぇ。まぁ、それも込みで俺たちも動かなきゃならないねぇ。」
対策はしたくとも、どうしようもならない現実。現実逃避も含めて、喫茶店でエスプレッソを口に入れた。苦い味が目を覚ましていく。
*
ついに三日目がやって来た。
午前中はソワソワしながら過ごすも何事もなかった。しかし、夕暮れ過ぎになると異変が現れた。
どうにかして対策したいが対策できない二人は船内を歩いていた。そこに深緑の制服を来た警備会社アトムの社員雨譚が慌てふためいていた。その動揺はまるで荒波に揺れているかのようだ。
「黒フード黒マスクに包まれた不審者が箱型のアタッシュケースを持ち込んだんだよぉ。その不審なケースの中に検査機が反応してさぁ、この豪華客船を丸ごと吹き飛ばす程の威力ある爆弾が入っているって出たんだよぉ。」
それを聞いた二人の客船クルーがその不審者の元へと向かう。
憔悴しきった彼が「本当なんだよぉ。見るかい、この画面」と言い、その画面を見せようとする。チラリと不審者の姿が映っていた。
それを聞いて、見て「爆弾の一件、本当でしたでしょう」と言い、客船クルーの後ろを追った。
電子版のような物が壁に、英語で緊急事態や危険という文字がデカデカと映し出されていた。それを見た人々は慌てふためいている。
怪しい人物のいる部屋は奇しくもモタロー達の部屋と同じ階にある。
階段を登った先に部屋がある。
ここまで来る間に「不審者が不審物を持ち込んだ。その不審物はこの豪華客船を丸ごと吹き飛ばす程の威力ある爆弾が入っている」という情報が既に出回り、逃げ惑う人々も出てきた。だからと言って、船のため逃げる場所なんてないのだが。
階段を急いで降りてくる一つの影。真っ黒のフードにマスク。長いボサボサの髪が目を隠している。その人物こそ爆弾を持ち込んだ不審者だった。
「ルイン君。俺は運命的に彼を追わなきゃいけないみたいなんだ。爆弾の方は任せたよ。」
そんなことを言って、不審者を追って行った。
残されたルインは階段を登っていく。
三階へと辿り着いた。
一人の女性が声を掛けてきた。すらりとした老いを感じさせない出で立ちの彼女の名は燐音。「騒がしくて外に出ましたら『爆発物が見つかった』と聞きまして。わたくしも爆発物を探すのを手伝いに行こうと思っていた所ですの。貴方もソレを探す手伝いをしにいくのですわよね?」「えぇ。」「では、わたくしもついていきますわ。少なくとも役には立って見せますわ。」
例の部屋へ二人で向かう。
部屋に辿り着くと、そこには先客クルーが二人と、カジノにいたおじいさんがいた。
そこに居合わせたのは五人。
五人で部屋の隅々を探していく。
浴室を覗く。箱型のケースが入れられそうな場所は限られているため、ここにはないと考えられた。また、船内をよく知る客船クルーが手洗い場にもないと宣言した。
「ワシは月下美家具屋の経営者――竹月や。家具のことなら任せとき。」
長めの机を調べていく。ありとあらゆる引き出しを調べていくが、めぼしい物は何も見つからなかった。引き出しの棚をとりだすも、やはり何も無い。
燐音は「ベッドが怪しいんじゃないかしら」と若いクルーと共に調べていく。しかし、布団にもそれは見当たらない。その下にもない。ましてや、ベッドの中を破いていったものの何も見つからなかった。
探している間にもそれなりに時間が経ってしまっていた。
「なんで見つからないんすかね。」
「ちっ。あぁ、うぜぇ。んなにも見つからねぇってこたぁ、きっと不審物を持って部屋を出たんだ。ここに隠されたと、はっきりとは言えねぇからなぁ。」
「マジっすか。じゃあ俺っち達がやってること意味無かったってことっすか?」
「知らねぇよ。ただ、そういう可能性があるってこった。ひとまず俺は、持ち出されていたことを考えて部屋の外を確認するわ。」
客船クルー同士の会話から、先輩と思われる男がそこから離脱した。
残された四人。以前はここでルインも離脱した。しかし、そこで爆風に巻き込まれたのだ。つまり、「僕はこの部屋にあると思うんですよ」と考えられた。
「いいや、外にあるに違いない。こんなに探してもないなら、ここにあるはずがない」と竹月。
彼はそう言いくるめて残った客船クルーに「そうっすかね」と言わせ、部屋から出させた。また、女性も外へと出させることに成功する。残されたのはルイン一人だけだった。
「アンタも早く外を探さんかい。」
強引に襟を掴まれた。
突然の出来事に扉近くへと進んでしまう。そこで振り払うことに成功した。
「何をしとるんだね。時間がないのだよ。中にはない。外を探すしかないんだ。」
「いいえ。爆弾はきっと中にあるんですよ。」
「そんなことはない。」段々と頭に血が上っている。
「実は、この未来を経験したことがあるんですよ。その時は部屋の方から爆発が起きたんです。ありえない思われると思いますが、これだけは事実なんですよ。」
「その未来での出来事は気の所為だ。まだ一回しか経験したことがないのに、よく断定できるな。」無我夢中で繰り出された言葉だろう。
それを聞いて我が物顔で踵を返す。
それを見て、ハッとした表情を浮かべていた。
「そこまで必死になって外に出そうとするのには理由があるんですよね。もしや、部屋の中にあるのでしょうかね? プレイヤーXさん。」
「知らんな。だが、もうタイムアップだ。アンタらは時間を掛けすぎてる。爆発の場所まで来てしまったからな。」口調が変わった。
彼は窓の外を見ていた。
チラリとその方向を向く。建ち並ぶビルの夜景。夜更けの中に光が目立ち初めている。建物――いや、町が近い証拠だ。
「爆弾について何か知ってるのか。答えろ、プレイヤーX!」もはや余裕はない。刻刻一刻の時間は過ぎていた。
「さぁな。そもそも教える訳ねぇだろ。」
彼はポケットに手を入れては戻した。そして、ため息を吐いていた。
「まあ、いい。もうそろそろタイムアップだ。」
ちょっとした沈黙。
そして、その後にピーという音が響いた。
目の前が真っ白の煙で覆われる。体が熱い。だが、そう感じたのも束の間、意識はそこにはなくなっていた。
突如、放たれる爆発に巻き込まれたのだ。
船は木っ端微塵となり、近くの建物を巻き込んで、夜の町に悲しい音を響かせた。その時、海は大荒れし、堤防にうち返った波が雨のように降り出していった。
*
目の前には真っ白な景色が広がっていた。茶色系の本棚が良いアクセントになっている。
手に持った光る本。
「早く爆弾を見つけなければ。しかし、何も検討がつかないね。」
そこに、椅子に座った彼女が話しかけた。
「あの人と協力し合えればいいのですけどね。」
「あの人とは……プレイヤーXのことですか?」
「はい。そう名乗ってるみたいです。協力し合えれば、きっとこの事件も何とかできるのではないかと思いますよ。」
そう言われても、プレイヤーXと協力し合える予感は一切感じなかった。
何も手応えがないまま本を開いた。
とりあえずページに手のひらを置いた。光に包まれていく。
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