詩物語 

嶋野の狂犬

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ハルノオト

ハルノオト 〜Haruna side〜 2

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昼休み、私とソウマ君は一緒に昼食をとっていた。中庭のベンチに座って食べるのが日課になっていた。

「ハルナ、今日も美味しいよ」

手作り弁当を食べてくれるソウマ君を見つめながら私も自作弁当をつまむ。
お弁当を食べ終わった後、ふと朝の事を思い出した。

「ねぇ、、、ソウマ君。今日日直だったんだよね?実は私も日直なの忘れててさ」

「そうだったのか?ハルナは忘れっぽいからなぁ、、、ははっ」

彼はそう笑っていたけど、あのプリントが気になってつい聞いてしまった。

「ソウマ君だって、プリント取りに来てなかったじゃん!」

その瞬間、周りに異様な雰囲気が漂うのを感じた。私、何か変なことを言ってしまっただろうか。

「あぁ、、、別れた後、急に腹が痛くなってね。それで遅れたんだ」

釈然とはしなかった。ソウマ君が焦っている様に感じたからだ。

「ふーーん、お腹痛いのは治ったの?」

私の問いかけに、彼から答えは返って来なかった。その代わりに私の口は、彼の口で塞がれてしまった。
最初、何が起こったのか分からなかった。
彼の口が離れた時、急に恥ずかしくなり席を立とうとするも、彼は手を握って話してくれなかった。

「ーーーーーー!」

「俺たち、付き合ってもうすぐ半年だろ?そろそろ次のステップへ進みたいな」

そして彼はもう一度口を重ねてきた。肩に乗せていた手が少しずつ下に下がり胸に差し掛かった時、私は我に返った。

「嫌っ!」

彼を突き飛ばし、その場から駆け出した私は一目散にクラスへ駆け込んだ。そして自分の席に座ると。前の席で心配そうにみているアリサがベッドホンを外し話しかけてきた。

「どったの?」

「な、なんでもない、、、」

言えなかった、彼氏に体を触られて嫌で突き飛ばしてきたなんて、、、

「あっそ」

アリサはヘッドホンをつけ直し、音楽鑑賞に浸っていた。
その後の授業はなんだかよく覚えていない。いつの間にか放課後になってしまっていた。
流石に謝ろうとソウマ君のクラスへ向かったがどうやら既にクラスを出た後だったようだ。
渋々部室へ向かう途中、階段を降りながら近づいてくるソウマ君の声が聞こえてくる。謝るチャンスだと思い、私は降りてくるのを待った。近づくに連れてソウマ君と副部長の会話が聞こえてくる。

「ソウマ、まだお前ハルナとヤッてないのか?意外だなぁ」

「ハルナはガードが固くて全然ヤラせてくれないんだぜ?顔も体も良いけど、、、正直物足りないんだよなぁ」

私は咄嗟に物陰に隠れてしまった。やはり私ではソウマ君には釣り合わないのだろうか。

「物足りないって、、、お前、その為に身体の関係もってんの何人もいるじゃねーかw」

「馬鹿野郎、、、誰が聞いてるかわかんねぇだろうが」

頭が真っ白になった。どうしたら良いかわからない。そうだ、、、部活へ行かなければ、、、
部室へ走り出したものの何故か涙が溢れてきた。どうしても止められない。
階段の前を横切る際に見知った顔が見えた。

「あっ、、、」

ハルトくんには申し訳ないことをした。目が合いながら何も話せなかった。
そこから先の記憶はほとんどない、気づけば部活が終わり、皆でコートの整備をしていた。
いつもなら彼と一緒に帰る予定だったが、そんな気分でもなく、1人で下校していた時だった。

「ハルナ姉!」

私を呼ぶ声に振り返ると、そこには制服姿のハルトくんがいた。

「あぁ、、、ハルトくん。今帰り?」

「そーそー。今日は部長と帰らないの?」

胸が張り裂ける様な気分だった。私は悟られない様懸命に笑ってみた。

「今日は1人で帰りたい気分だったんだ、、、たまにはね、、、」

渋々絞り出した1人で帰る理由がこれだ。
もうちょっと上手く隠せればよかった。

「一緒に帰ろう?話したい事があるんだ」

気を使わせてしまっただろうか。

「そうだね、、、帰ろ?」

ハルトくんは帰りながら、色々な話をしてくれた。話しているうちに少し今までのもやもやが薄れてきた様に感じた。

「あはは、、、ハルトくんは面白いよね。なんか元気出てきたよ」

自宅前の歩道橋に差し掛かった時、歩道橋から夕陽が沈みかけた街並みがすごく魅力的に見えた。その時だった。

「俺、、、やっぱり好きだ」

「ん?何か言った?」

実際はしっかり聞こえていた。ハルトくんが俯いて赤くなっているのをみて何が好きなのか私は察してしまった。

「いや、、、!ただの独り言!」

こんなズルい私に好意を持ってくれている事がすごく嬉しかった。そう思ってしまった時に私は、溜め込んだもの、我慢していたものが一気に溢れてしまった。

「私、、、部長と別れちゃった、、、」

言ってしまった、、、実際別れたわけでは無いが、あんな話を聞いた後ではもう一緒に居られない。

「えっ、、、なんで?」

「私の他にも、、、お付き合いしてる人が居たみたいなんだ、、、」

話すはずじゃなかったのに、、、話してしまった。話して楽になりたかった。

「な、なんだよそれ、、、」

「あはは、、、やっぱり私なんかじゃ部長と釣り合わないって事だよね、、、」

その時目に溜まった涙が溢れて流れてしまった。私は涙を拭おうと顔へ手を伸ばしたが、その前にハルトくんの指が涙を拭ってくれた。

「ハルナ姉、、、俺、、、好きだ、ハルナ姉の事が、だから泣かせる様な奴を許しせないんだ!」

ハルトくんが見つめる先に、こちらを見つめる部長が立っていた。何食わぬ顔でこちらに近づいてくる。

「ハルナ、、、探したぞ?一緒に帰ろう?」

「ふざけんな、、、部長、、、何人も付き合ってる奴がいるってのは本当なんですか!」

部長は一瞬驚いた様子だったが、すぐにいつもの表情に戻る。

「ハルナはすごく魅力的だ。でも、、、物足りないんだよ?ヤリたいことも出来ない、満たされないんだ」

「お前の欲求満たすための彼女じゃないだろ!ふざけんな!」

部長に掴み掛かるハルトくんを止めようと割って入る。
そんな中部長は高らかに笑い出した。

「おい、二年坊。部長の俺に逆らっていいと思ってんのか?レギュラーから外すことも出来んだぞ?」

「いいぜ、外してみろよ。全ては実力勝負だろ?次の大会メンバー決めるリーグ戦で見せてやるよ、お前みたいなカスに絶対負けねぇから」

睨み合う2人に私はどうすることも出来ないでいた。

そして数日後の今日、いよいよ大会メンバー選抜リーグ戦が始まる
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