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エピソード3
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「ルーおにいさま。とうとう来月には、わたくしたちの婚約内定が発表されるわね。ふふふ、わたくし、楽しみだわ」
王宮の王子の部屋のテラスでメリアッセンヌと王子は共に過ごす。少し肌寒い季節だから、王子がメリアッセンヌの肩に自身の上着をかけて、メリアッセンヌはそんな王子にほっとしたように笑った。そして、メリアッセンヌが嬉しそうに、王子にそう話しかける。
「あぁ……そうだね。……でも、いいのかい? メリア。君には慕う人がいるだろう? 僕は協力するよ? 今ならまだ、間に合うだろう?」
王子の言葉に、メリアッセンヌは首を傾げた。
「あら、ルーおにいさまったら、面白いことをおっしゃるわね。わたくしは生まれた時からお兄様の妃となることが決まっていたし、ルーおにいさまのことは大好きよ。素敵な方はたくさんいてもルーおにいさまには敵わないし、ルーおにいさま以外との結婚なんて、考えたことがあると思う?」
そう答えるメリアッセンヌの顔を見て、王子が悲しそうに顔を歪めて言った。
「メリア……。僕の可愛い妹分。そんな泣きそうな顔をしないで。君は自覚していないだけだよ。君は恋をしている。僕の騎士の、ジュ」
「泣きそうなんておっしゃらないで!! わたくし、きちんと笑っていますわ! ねぇ、ルーおにいさま。おにいさまがわたくしと結婚しないなんて言ったら、わたくしの産まれた意味がなくなってしまいますわ。おにいさまから妹のような存在としか見られていないのは自覚しておりますが、他に誰かいるわけじゃないのなら、わたくしの価値を奪わないで! ……わたくしたち、きっといい家族になれると思いますわ! ……そうでしょう?」
「……メリア」
「わたくし、ルーおにいさまと結婚できるの、とても楽しみにしておりますの。それに、わたくしだけじゃなく、お父様もお母様もお兄様たちも。国王のおじさまも王妃のおばさまも弟君も妹君も。城だけじゃなくて、国中の人たちが望んでいますわ。そんな大勢の方々に祝福された結婚を、壊すことなんてできるとお思いで?」
そこまで言ったメリアッセンヌは、王子を見上げて言った。
「ルーおにいさま。冷静におなりなって。わたくし、ルーおにいさまと結婚できるなんて幸せよ? 別のお方とルーおにいさまはよくおっしゃるけれど、わたくしが別のお方との結婚を考えたことなんてある薄情者とお思いなのかしら? わたくしは、ルーおにいさまとの結婚を望むわ。……ルーおにいさまが別の、もっと国益のある方と結ばれることにならない限り。その場合、わたくしは無価値になってしまいますわね」
笑ったメリアッセンヌがそう言って、“聞かなかったことにしておきますわ”と言って、かけてもらった上着を王子の肩に返して立ち去った。残された王子が一人で小さく叫ぶ。
「……なら、そんな悲しそうな表情で笑うなよ、メリア。いつもみたいに“ルーおにいさま、お願い”って僕に強請ってくれよ。メリアが“そんなの、いやよ”と拒否さえしてくれたら、こんな婚約、簡単に壊れるんだから。父上も母上も、メリアのおじさんのおばさんも兄上達もみんな、メリアの幸せを願っているんだから。メリアが拒絶さえ明言してくれれば、僕はメリアのためになんだってできるのに。民の期待なんて、書き換えてみせるのに。いい加減、気づけよ。自分の気持ちに。いい加減、求めろよ。自分の幸せを」
そう言って王子が頭を抱えると、上着が落ちた。王子の後ろに控えていた騎士が、王子の肩から落ちた上着をかけ直した。
「っ、お前も! ジュドーも! メリアに言えよ! 男だろう!? メリアに一緒になろうって、言えよ! お前、いつもいつもメリアのことばっか見てるじゃないか! 僕が揶揄うようにメリアに触ると、必死に見ないように逃げて! メリアのことが好きなら、大切なら、僕からメリアを奪えよ! なんで、なんで僕が世界で一番可愛い妹分の、メリアの幸せを、この僕が、壊さ、なきゃ、いけないんだよ!」
嗚咽しながら崩れる王子に、言われた騎士は無表情で答えた。
「……姫様のお幸せは、殿下の隣におありですから」
「っ、クソ!」
ボロボロと涙をこぼした王子は、そう言ってテラスの柵に縋り付くように慟哭した。
王宮の王子の部屋のテラスでメリアッセンヌと王子は共に過ごす。少し肌寒い季節だから、王子がメリアッセンヌの肩に自身の上着をかけて、メリアッセンヌはそんな王子にほっとしたように笑った。そして、メリアッセンヌが嬉しそうに、王子にそう話しかける。
「あぁ……そうだね。……でも、いいのかい? メリア。君には慕う人がいるだろう? 僕は協力するよ? 今ならまだ、間に合うだろう?」
王子の言葉に、メリアッセンヌは首を傾げた。
「あら、ルーおにいさまったら、面白いことをおっしゃるわね。わたくしは生まれた時からお兄様の妃となることが決まっていたし、ルーおにいさまのことは大好きよ。素敵な方はたくさんいてもルーおにいさまには敵わないし、ルーおにいさま以外との結婚なんて、考えたことがあると思う?」
そう答えるメリアッセンヌの顔を見て、王子が悲しそうに顔を歪めて言った。
「メリア……。僕の可愛い妹分。そんな泣きそうな顔をしないで。君は自覚していないだけだよ。君は恋をしている。僕の騎士の、ジュ」
「泣きそうなんておっしゃらないで!! わたくし、きちんと笑っていますわ! ねぇ、ルーおにいさま。おにいさまがわたくしと結婚しないなんて言ったら、わたくしの産まれた意味がなくなってしまいますわ。おにいさまから妹のような存在としか見られていないのは自覚しておりますが、他に誰かいるわけじゃないのなら、わたくしの価値を奪わないで! ……わたくしたち、きっといい家族になれると思いますわ! ……そうでしょう?」
「……メリア」
「わたくし、ルーおにいさまと結婚できるの、とても楽しみにしておりますの。それに、わたくしだけじゃなく、お父様もお母様もお兄様たちも。国王のおじさまも王妃のおばさまも弟君も妹君も。城だけじゃなくて、国中の人たちが望んでいますわ。そんな大勢の方々に祝福された結婚を、壊すことなんてできるとお思いで?」
そこまで言ったメリアッセンヌは、王子を見上げて言った。
「ルーおにいさま。冷静におなりなって。わたくし、ルーおにいさまと結婚できるなんて幸せよ? 別のお方とルーおにいさまはよくおっしゃるけれど、わたくしが別のお方との結婚を考えたことなんてある薄情者とお思いなのかしら? わたくしは、ルーおにいさまとの結婚を望むわ。……ルーおにいさまが別の、もっと国益のある方と結ばれることにならない限り。その場合、わたくしは無価値になってしまいますわね」
笑ったメリアッセンヌがそう言って、“聞かなかったことにしておきますわ”と言って、かけてもらった上着を王子の肩に返して立ち去った。残された王子が一人で小さく叫ぶ。
「……なら、そんな悲しそうな表情で笑うなよ、メリア。いつもみたいに“ルーおにいさま、お願い”って僕に強請ってくれよ。メリアが“そんなの、いやよ”と拒否さえしてくれたら、こんな婚約、簡単に壊れるんだから。父上も母上も、メリアのおじさんのおばさんも兄上達もみんな、メリアの幸せを願っているんだから。メリアが拒絶さえ明言してくれれば、僕はメリアのためになんだってできるのに。民の期待なんて、書き換えてみせるのに。いい加減、気づけよ。自分の気持ちに。いい加減、求めろよ。自分の幸せを」
そう言って王子が頭を抱えると、上着が落ちた。王子の後ろに控えていた騎士が、王子の肩から落ちた上着をかけ直した。
「っ、お前も! ジュドーも! メリアに言えよ! 男だろう!? メリアに一緒になろうって、言えよ! お前、いつもいつもメリアのことばっか見てるじゃないか! 僕が揶揄うようにメリアに触ると、必死に見ないように逃げて! メリアのことが好きなら、大切なら、僕からメリアを奪えよ! なんで、なんで僕が世界で一番可愛い妹分の、メリアの幸せを、この僕が、壊さ、なきゃ、いけないんだよ!」
嗚咽しながら崩れる王子に、言われた騎士は無表情で答えた。
「……姫様のお幸せは、殿下の隣におありですから」
「っ、クソ!」
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