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「クラリスタ嬢? ちょっといいかしら?」

「あなた、大聖女だからって、ミカエル様やハント様、ルノワード様を侍らせているっていうじゃない!」

「調子乗ってるのよ! 私たちは、トドリー様やリン様、シャッティ様の代わりに!」


 見ず知らずのおねえさま方にぶん殴られそうになる。これ、よく見るやつ! でも、する相手を間違えてますよ、おねえさま方!
 まぁ、お姉様が痛い思いするくらいなら、いっかな。
 推したちも私のこと鬱陶しく思っているのかな…。

 そんなことを考えていると、私の前に立ちはだかる何かが現れた。




「「「あら? 誰がそんなことをお願いしたかしら?」」」

「「トドリー様! リン様! シャッティ様!」」

「推しの大行列や……眼福」

 私が推しの大行列を拝んでいると、トドリー様が麗しい手を差し出してくれた。


「大丈夫? クラリスタ」

「あなたたち、私たちの大切なクラリスタ嬢に何してくれているのよ!」


 リン様の言葉に私は思わず叫んでしまう。


「わ、私たちの大切なって言ったぁぁぁ」

「ほら見なさい! あなたたちが怖くて、クラリスタ嬢が鼻血を出しちゃったじゃない!」


 あ、鼻血も出た。それを見たシャッティ様が激怒なさっている。




「それは私たちのせいなのでしょうか?」

「ごめんなさい、違うと思」

 フォローしようとしたら、推しの攻撃で私も何も言えませんでした。ごめんなさい。私はできる女の名を返上します。

「「「そうに決まってるでしょ!?」」」






「こんなに怯えちゃって……ほら拭いてあげるわ」

「私が拭いてあげるの」

 あぁごめん。いじめっ子たち。あなたたちのせいじゃないけど、幸せだからあなたたちのせいってことにしておくね……。



「クラリスタ!? 大丈夫!?」

「お姉様!」

「あなたたち……許さないわ! 聖女の魔法! 浄化!」



「「「なんかあったかくて優しい気持ちになりましたーすみませんでしたー」」」



「もう大丈夫だよ!」

 お姉さまに優しく抱きしめられた私。なんか聖女の魔法の方向性が間違ってる気がするけど、どうでもいいやぁ。





「その、クラリスタ嬢! 大丈夫か!?」

「姉上! クラリスタ嬢は無事ですか!?」

「君たちのご実家には戦略的にダメージを与えておこう」



「あ、キラキラ集団。来るの遅い」



 私のぽろっと放った台詞を聞いて慌ててお姉様が口を塞ぎ、攻略対象キラキラ集団は落ち込んでしまったのだった。




「あと、お姉様が反省させてくれたから、ご実家へのダメージは不要です。ルノワード様」

「く、クラリスタ嬢に名前を呼ばれた!?」

「ずるいぞ! ルノワード!」

「僕はもう何度も呼ばれているからね!」

 よくわからない諍いが起き、お姉様と推したちが鎮めてくれた。









ーーーー

「クラリスタ嬢。僕と結婚してくれないか?」

「いや、私と!」

「幸せを保証しよう。結婚してください」


「え? 私、推しに挟まれて幸せなので、結構です」


「「「諦めないからな!」」」
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