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当てつけなんて大嫌い
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先日男性側の服装が変わっていた程度で、目撃した姿そのままだ。
息を飲んだら、隣の宮久土先輩が私の方を見た。そして視線を辿る。
「あれ、兄さん?」
宮久土先輩が呼ぶともなく、その名前を口にした。そのとき、ひっと強く息を吸ってしまい、宮久土先輩が驚いたようにこっちを見る。
「芦野さん?」
心配そうにこちらをうかがうその声に、
「うら?」
とその声がかぶさって来た。顔をすぐにはそちらには向けない。分かっているからだ。誰が誰に声をかけてきているのか。
「かける先輩、行きましょーよ」
女の子の声がして来て、私は顔を向けるまでもなく状況を把握するのだ。
「うら。なんで、馳といんの?」
「え?兄さん、芦野さんのこと知ってるの?」
そんな風に妙にちぐはぐな会話が始まり、私はようやく覚悟を決めて顔を向けた。
かける先輩の顔を正面から見る。
かける先輩の好奇心旺盛で表情豊かな瞳は、じっとこちらを見ている。朗らかな笑顔は鳴りを潜めていて、真意を問うような顔つきをしていた。
息を飲んだら、隣の宮久土先輩が私の方を見た。そして視線を辿る。
「あれ、兄さん?」
宮久土先輩が呼ぶともなく、その名前を口にした。そのとき、ひっと強く息を吸ってしまい、宮久土先輩が驚いたようにこっちを見る。
「芦野さん?」
心配そうにこちらをうかがうその声に、
「うら?」
とその声がかぶさって来た。顔をすぐにはそちらには向けない。分かっているからだ。誰が誰に声をかけてきているのか。
「かける先輩、行きましょーよ」
女の子の声がして来て、私は顔を向けるまでもなく状況を把握するのだ。
「うら。なんで、馳といんの?」
「え?兄さん、芦野さんのこと知ってるの?」
そんな風に妙にちぐはぐな会話が始まり、私はようやく覚悟を決めて顔を向けた。
かける先輩の顔を正面から見る。
かける先輩の好奇心旺盛で表情豊かな瞳は、じっとこちらを見ている。朗らかな笑顔は鳴りを潜めていて、真意を問うような顔つきをしていた。
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