ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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好きになってよ

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「勘違い?」
「すぐに好きになっちゃうから」
「じゃ、好きになってよ」
「はい?」

「オレのこと好きになって」
「え、ダメですよ。宮久土先輩も萎えちゃいます。すぐに好きって言うから、どう接していいか分からくなるって、みんな言うから」

 仮に受け入れたとしても、浮気したくなるらしいし、と心の中で付け加える。

「随分贅沢なこと言うんだね、みんな」
 宮久土先輩は淡々と言うのだった。

「いつもタイミングが悪いって言われます。もう少し様子見てから、決めたかったって」
 私がそう言えば、
「じゃあ、過去はさよならして。ここからスタート」
 宮久土先輩は私の唇の前に人差し指をあてがってきた。

「昔々誰かがそう言っていました。でも、今からの未来は言われません。おしまい」
 昔話みたいな言い方をする。

「だから、オレのこと好きになってよ」

 さらりと告げて宮久土先輩は私の口元から人差し指を離した。余韻を残すような離し方をするので、私は先輩の目を見る。
 ライトブラウンの瞳には感情の波が見えないし、やっぱり考えていることは分からない。

 私はすっかりドキドキしてしまっていた。
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