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てきとーなキス

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 そう言ったら反鳥の顔が曇る。
 ズルい。
 その辺の野草には手軽に触れて来て、高嶺の花には慎重だ。そう、手が届かないからこそ「高嶺」なんだけれど。

「高嶺の花じゃないけど、大事にされたいんだよ。私が一番だって言われたいんだよ。好きじゃない相手にでも、てきとーなキス出来ちゃう反鳥とは違うの!」

「は?てきとーなキスじゃ」

 反鳥が言葉を止めて、親指で自分の唇に触れた。薄めの唇が目について、私は頭を振る。

「お姉ちゃんにはテコ入れしとくよ。反鳥のこといい奴だって言っとく。上手くいけばいいね!」

 私は階段を降りて行く。あーくそっ、と反鳥が髪をかき乱したことを、私は知らなかった。

 頬が熱くて、涙が流れた場所が少しジリッと痛い。

 ――――私バカみたい。手軽で悪かったな!
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