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二度目のてきとーなキス

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「えっ、かける先輩?」
 一度私の下唇を噛んで、さらに上唇を甘噛みをしてきた。
 蒸れるような吐息がかかり、文字通り至近距離のかける先輩の睫毛を見て、ひぃぃと心が悲鳴をあげた。

 ――――こ、これは、キスじゃん!

 ひどい、またしてもノリで、てきとーなキスをされてしまう。

 覆いかぶって来ていた先輩の胸を片手で押す。体勢を崩した先輩を押し退けた。
「ひ、ひどいっ。かける先輩もちょうどいいからって。てきとーなキスをっ!」
 私は手首で唇をぬぐう。力強く拭ったら、唇がひりひりと痛んだ。

「え?ちょうどいい?」
「結局、色々言っといても、私にはてきとーでいいと思ってるんだっ」

 気持ちが高まって来ると、目の辺りに熱気がせりあがってきた。熱気は涙の気配だったようで、涙が溢れて来てしまう。
 顔を手で覆う。

「ふぇぇえんっ!」
「えっ!?うらっ?」

「ムカついたからって、嫌がらせしないでよっ!」
「嫌がらせ?」

「陸上やってるのか聞いただけなのに、怒るんだもん。きらい、かける先輩なんか」
「うら、なんで泣いてんの?」

「また、てきとーなノリのキスされた。なんで怒るとキスするの?ひどいよ!」
 え、されたことあんの?とかける先輩が目を見開いた。先輩には言わないよ、と言って立ちあがる。

「てきとーじゃないキスってどんなの?」
 思い浮かばなかった。私にはキスの経験はないのだ。反鳥のてきとーなキスしか経験がない。

 でも多分私は、両想いの大好きな人と、ラブラブな感じでキスしたかったんだ。

 答えようとしたら、さらに涙が出て来そうなので首を振る。
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