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いっそのこと、浮気彼氏と初体験を
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しおりを挟む「宮久土先輩の好きな子は、さっきのひ」
かぷりと、首筋に何か当たった感覚があって、それが唇だと気づくのに数秒かかった。
じゅっと熱い吐息が首筋にかかったところで、ひぁああっと声をあげてしまう。即座に口元を手の平で押さえられた。
「襲ってるみたいに見えちゃうから、静かにして」
と静かなトーンで言う。
「お、襲ってる?」
「でも、これで上書きした」
宮久土先輩は淡々と言うのだけれど、私はどんな顔をいいのか分からない。宮久土先輩の行動がまるで理解できないのだ。
そこで、宮久土先輩は腕をほどいて解放してくれた。ふり返ってその顔を見あげて見れば、少しだけ頬が赤い。宮久土先輩は恥ずかしそうに頬を指先で軽くなぞった。
そんな表情を見るのは初めてだ。
「なんで逃げたの?」
「だってっ、邪魔しちゃいけないし」
「邪魔してよ、昔話は興味ない」
「宮久土先輩、なんで部活も学校も休んでいたんですか?」
「今週は服喪中だったんだ。両親が事故に遭った日の前後は服喪期間」
「服喪期間?」
「そう。両親が亡くなった日の前後は、オレも兄さんもこの期間だけはオフにする。そう決めてるんだ」
「それは私が聞いてもいい話ですか?」
宮久土先輩がご両親が亡くなっている、と以前に言っていたけれど。こんな風に聞くことになるとは思わなかった。
「うん、もちろん。なんで?」
「私のせいじゃないんですか?私がしつこくマネージャーなんかするから。釣り合わないのに、無理やり近づいたから。勝手に家にも行くし、覗き見して最悪だしっ」
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