ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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彼氏ができたらしい

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 もちろん付き合う相手は誰でもいいわけじゃない。好きだって言って受け入れてもらったことはあるけれど、こんなのストレートに告白されたのは初めてだ。

 静かな瞳が今は少しだけ熱っぽい潤みを怯えている。そしてひたすらにある指へ熱視線を送っていた。
 そのてらいのないストレートな行動を見ていると、にわかに愛おしくなる。

 宮久土先輩の熱心な視線が注がれる指に、私は右手の人差し指でタッチした。
「圧力、感じたんですけど」
 おずおずと告げたら、バレた?と宮久土先輩は小首をかしげて見せる。そうかと思えば、送ってく、とさらりと切り替えるのだ。

 別れ際に、宮久土先輩は、
「やった、芦野さんが彼女になった」
 といつものトーンで言う。

 何だか、まんまと振り回されていると思う。そして、足首をあげて、くるぶしを見せてきた。
「いつでも齧っていいよ」
「いやいやっ、ダメですよっ。週末大会なんですってばっ!前日ちゃんと連絡……」
 と言いかけて、私は宮久土先輩の連絡先を知らなかったことを知る。

 あ、とお互いに顔を見合わせて、連絡を交換した。
 
「また明日、芦野さん」
 と言って軽やかに去って行く背中を見て、私は少し前の憂鬱をすっかりと忘れてしまっていたのだ。

 私には宮久土先輩という彼氏が、出来たらしい。
 噛みしめたら、なんだかむずむずする。そして嬉しかった。
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