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いくつかの真実

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 体温は嘘をつかない。
 輝夜は環からの連絡を受け、返信をした。

 秋彌輝夜自身は、春黎環のすべてを解き明かすつもりはなかった。
 けれども、契約を結んだ後に、ブライダルチェックをしに行った折に、クリニックのスタッフが声をかけてきたことで、一つの事実を知る。

 その事実自体は大きなことではなかったが、その事実に対する環の思いを想像すると、輝夜は切なくなるのだ。

 環が送ってきている体温グラフが意味するものと、スタッフの話を合わせれば、真実に行き当たる。ましてや、子どもを持つ方法を調べつくし、どんな方法でも取ろうとしていた輝夜からすれば、その事実にたどり着くのは容易だった。

 環を傷つけた事実は覆せない。環には謝っても謝りつくせないとは思っている。
 今後も環を傷つけない保証はないし、今そばを離れた方が彼女のためかもしれない。

 だとしても、この契約を破棄するつもりはなかった。
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