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初夜の前に試練
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太陽のような文様を来た浴衣姿の女の子だ――――と私が口をポカンと見ていた。融は、
「滅」と一声。
大量の紅い折鶴が女の子を包みこんだ。ことん、と部屋の床に赤い浴衣を着た少女の木像が落ちた。
続いて落ちてきたのは、血痕だ。
「えっなに!?」
続いて長い黒髪を五色の紐で縛った青年が降って来る。甲子童子だ。ぽたりぽたりと床に落ちる血痕は彼の腕から落ちているようだった。
「寧月融、相変わらず怖い奴だな。おかげで助かったが」
「随分と熱愛されているんですね」
融は木像を拾いあげる。
「庚午童女だ。煮ても焼いても食えぬ関係なんだよ」
融の手元の木像に甲子童子は視線を注ぐ。
「血が出ているし、手当しないと」
ぽたぽたと落ち続ける血液が気がかりだ。甲子童子は首を横に振った。
「この身体はそろそろ朽ちる」
「それじゃあ、あなたはもう?」
死ぬってわけだ、と甲子童子は言う。
「なわけで、雛の器。お前の中に俺の始祖としての記憶を全部入れ込む。その後に新しい木像に移し替えてもらいたい」
私の鼻先に五指から伸びた五色の紐でくすぐった。
「滅」と一声。
大量の紅い折鶴が女の子を包みこんだ。ことん、と部屋の床に赤い浴衣を着た少女の木像が落ちた。
続いて落ちてきたのは、血痕だ。
「えっなに!?」
続いて長い黒髪を五色の紐で縛った青年が降って来る。甲子童子だ。ぽたりぽたりと床に落ちる血痕は彼の腕から落ちているようだった。
「寧月融、相変わらず怖い奴だな。おかげで助かったが」
「随分と熱愛されているんですね」
融は木像を拾いあげる。
「庚午童女だ。煮ても焼いても食えぬ関係なんだよ」
融の手元の木像に甲子童子は視線を注ぐ。
「血が出ているし、手当しないと」
ぽたぽたと落ち続ける血液が気がかりだ。甲子童子は首を横に振った。
「この身体はそろそろ朽ちる」
「それじゃあ、あなたはもう?」
死ぬってわけだ、と甲子童子は言う。
「なわけで、雛の器。お前の中に俺の始祖としての記憶を全部入れ込む。その後に新しい木像に移し替えてもらいたい」
私の鼻先に五指から伸びた五色の紐でくすぐった。
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